Umidas 海の基本講座

umidas 海の基本講座

海底には、地球内部と地表を結ぶ割れ目がある。そこから内部の熱い溶岩が噴き出し、海底は拡大している

海底の堆積物から発見される化石 [上]珪藻(産地:東京湾/時代:第四紀)[下]放散虫(産地:北太平洋/時代:第四紀) 出典:国立博物館


マンガン団塊(マンガンノジュール)はマンガンや鉄などの酸化物と水酸化物の混合物。水深約4,000mの海底に広く分布。大きさは1mm以下からサッカーボール程度の大きさのものまで存在するが、多くはジャガイモぐらいの大きさで、形状もジャガイモに似ている。切断すると、同心円状の模様があり、中心部にはサメの歯や別の岩石の欠片などが核となっている。マンガン団塊は中に含まれている化石の研究より、数10万年から100万年程度の時間を掛けて形成したことが分かっている。

陸地よりはるかに雄大な海底地形

 海底…この言葉からあなたは何を想うだろう? 暗く、不気味な生物がうごめく恐ろしい場所だろうか。神秘的な魅力に溢れた未知なる世界だろうか。
 海底とはその字の通り『海の底』。学術的に定義すると「固体地球表面のうち海水におおわれている地域(平凡社世界大百科事典より)」だそうだ。そして、地球の約70%がこの海であり、だからこそ地球は青い惑星なのだ。
 地球の誕生はおよそ46億年前。このできたての地球に多くの微惑星がぶつかり、そこから放出された二酸化炭素や水蒸気が地球の大気の主成分だった。最初は熱い星だった地球も、太陽から適度な距離に位置していたので、数億年経つうちにだんだんと冷え、大気中の水蒸気は大雨となって地上に降り注いだ。この土砂降りの雨は、なんと数百年もの間続いたと考えられている。これが、地球に生命の源である海を誕生させたのだ。
 では、海はいったいどのくらい深いのか。以前は、陸地からだんだんと深くなり、海洋の真ん中辺が一番深くなっていると考えられていた。しかし、1950年代から盛んに行われてきた調査によって、かなり起伏に富んだ地形であることがわかった。たとえば、海の平均深度3,800mを地上でいう平野とすると、2,000〜3,000mクラスの山脈が1万km以上にもわたって大洋の真ん中につながっているのだ(大洋中央海嶺)。かと思えば、比較的陸地に近いあたりに、深さ10,000mに達する深い谷(海溝)が長くのびている。高度1,000mクラスの海底火山も点在する。海底地形のスケールは、陸上とは比較にならないほど雄大なのである。

海底調査から、何がわかるか

 誕生以来、海洋全体は一度も凍りつくことなく、蒸発してなくなることもなく、安定した環境を保ってきた。その間、海底には様々な堆積物(プランクトンの死骸や陸から運ばれた粒子など)が降り積もっている。この堆積物は、地球や海の歴史の記録といえよう。
 その海底の調査は、私たちに多くのことを教えてくれる。たとえば、堆積物から気候の変動サイクルが分かったり、わずか1mmに満たない現生生物の化石の殻一粒から氷河期の大陸氷河の量が推測できる。さらに大きな発見は地球自身の生命活動だ。海底から見つかる岩石は、どんなに古くても2億年前のもの。海底は、海の山脈である海嶺付近で生み出され、そこから離れていくにつれて古くなり、やがて海溝の下で消失している。つまり生まれ変わっているのだ。そして、年間数cmの速度で海底は動いているという。
 深海底の調査は、まだまだ始まったばかり。マントルにまで達する深海掘削計画もあるという。そこで私たちは、地球のどんな歴史を、そして未来を発見するのだろうか。


日本で今、最も注目されている『与那国海底遺跡」。1986年に地元ダイバーが発見し、2002年から本格調査が始まった。遺跡ポイントの規模は東西250m、南北150m、水深25m。これまでの調査によると、約1万年前の超古代文明の遺跡ではないかといわれている。

出典:マリンクラブサーフェスヨナグニ

 2002年1月17日、主な新聞紙上に「世界最古の都市発見」の大きな見出しがあった。インド西部グジャラート沖のカンベイ湾海底で9500年前(紀元前7500年)のものとみられる古代都市の遺跡が見つかったというのだ。
私たちは、およそ5000年前、大河付近にほぼ同時発生的に4大文明がおこったのが始まりと学校で教わった。しかし、この記事では、それよりはるか以前に文明があったことを伝えているのだ。
 そして、実はこのような超古代文明の遺跡と思われるものが、世界各地の海底で、日本周辺の海底でも発見されている。
地球の歴史の調査が進むにつれ、今から2万〜数千年前、およそ130mもの海面上昇がおこったことが証明された。現在の大陸棚まで陸地だったのだ。今、海底で発見されている超古代文明都市は、この海面の変動で沈んだのではないかといわれている。