title
title
title
Back Number
名古屋港の機能維持へ浚渫土を排送
 総取扱貨物量が全国1位の名古屋港。コンテナを満載した大型の貨物船が24時間、港内を行き交う。物流の要となる船舶の安全な航行を維持するため、庄内川から流下する土砂の継続的な浚渫が欠かせない。その浚渫土砂を中継ポンプ台船で受け入れ、海上から浚渫土砂処分地のポートアイランドへ揚土・排送する工事を、りんかい日産建設名古屋支店が施工している。管理本部経理部経理課の亀田果穂さんが現場を訪ね、港湾の浚渫・排送作業の実際を見聞した。
船舶の安全な航行へ24時間体制で
亀田 どのような工事内容なのですか。
新井 名古屋港は、港湾機能の強化・維持のため航路・泊地の継続的な浚渫が必要になっており、国土交通省中部地方整備局名古屋港湾事務所所属の浚渫兼油回収船「清龍丸」が24時間稼働し、浚渫作業を行っています。清龍丸は他の船舶の航行を妨げずに、自ら航行しながら海底にたまった土砂を吸い上げることができますが、泥艙に積み込んだ土砂を浚渫土砂処分地へ直接、揚土することはできないため、いったん中継ポンプ台船を経由してポートアイランドに排出します。飛島ふ頭東航路を船舶が安全に航行できるよう、水深15mへ増深するために浚渫した土砂を中継ポンプ台船で揚土・排送する作業がこの工事の内容です。
亀田 浚渫土の排送作業も24時間体制で行われるのですか。
新井 そうです。清龍丸は泥艙が満杯になると、中継ポンプ台船に接舷し、吐出管から浚渫土を台船の泥槽(4,000㎥)に移します。清龍丸による浚渫作業は月曜から金曜まで24時間、繰り返し行われますので、排送作業も3交代で24時間の就労体制となります。「舷外排送に関する作業要領」に基づき、清龍丸と有資格者が無線で連携を取りながら作業を進めます。
亀田 排送作業は24時間で何回くらい行うのですか。
新井 およそ9回です。中継ポンプ台船の泥槽に受け入れた浚渫土は、直径760mm、延長約600m(海上部約200m、陸上部約400m)の排砂管で浚渫土砂処分地のポートアイランドへ揚土します。浚渫土砂は粘土分も多いため、こびりついた泥を落とすために泥槽や排砂管は排送作業のたびに毎回、洗浄する必要があります。排砂管は細かい砂で詰まらないよう、念入りに管洗浄します。浚渫土の受け入れ、排送、洗浄。これを1サイクルとして、24時間におよそ9サイクル繰り返します。

新井所長に工事内容を取材する亀田さん

円滑な揚土作業に向け設備の維持管理徹底
亀田 排送作業で気を付けていることは。
新井 泥槽は深さが5m近くあり、その洗浄作業は甲板上での高所作業となるうえ、夜間も実施しますので、海中転落災害や泥槽内墜落災害の防止が極めて重要となります。また、排砂管が劣化などで損傷すると、浚渫土砂の流出による海洋汚染につながったり、清龍丸の計画的な運航に支障が出たりすることになるので、洗浄とともに維持管理の徹底が求められます。環境保全に関しては、揚土作業期間中は毎日、ポートアイランド周辺の水質管理に当たっています。
亀田 排送作業が現在は休止中とお聞きしました。
新井 清龍丸の浚渫作業は年度ごとに運航予定が定められ、定期修理の日程も組み込まれています。今回は9月下旬から12月中旬にかけての約2カ月半が定期修理期間となりました。ドックでのメンテナンスが終わり、12月中旬以降に帰港し浚渫を再開したら当社の工期内の排送作業を行います。
亀田 新型コロナウイルスの影響はありましたか。
新井 船内の限られた区域内での作業環境であることから、濃厚接触とならないようルールを作り、全員が順守するよう呼びかけました。非接触検温装置とAI顔認証による勤怠管理システムも導入しました。船内にマスク完全使用箇所を定める一方、夏場は熱中症への注意も必要になることから、消毒液だけでなく、ドリンクの支給なども併せて実施しました。これらの取り組みにより、感染防止は周知徹底できました。
亀田 工期末まであと少しとなりました。
新井 当社の揚土作業は残りわずかとなっていますが、最後まで協力会社の皆さんと一丸となって無事故・無災害で完工できるよう頑張ります。
(取材は12月7日に行われました)

操作室で揚土作業の説明を受ける

工事概要
工事名 令和2年度名古屋港飛島ふ頭東航路泊地(-15m)浚渫土排送工事(その3)
発注者 国土交通省中部地方整備局
施工場所 名古屋港内(ポートアイランド)
工期 2021年3月22日~2022年1月31日 (揚土期間 2021年5月17日~12月24日)
取材を終えて
建設会社の社会的役割を再確認
 港湾機能の強化・維持のため、名古屋港の浚渫土砂を港内のポートアイランドに揚土する現場を見学させていただきました。普段は経理の仕事をしており、「浚渫」「作業船」といった用語は知っていたものの、実際の工事現場を見学したのは今回が初めて。作業着を着たのも、中継ポンプ台船に乗船したのももちろん初めてで、とても貴重な経験となりました。現場の皆さん、ありがとうございました。
 取材当日は作業休止中でしたが、浚渫作業は24時間行われ、浚渫土の受け入れや揚土作業も24時間体制で行っており、特に泥槽の洗浄は高所での作業となることから危険と隣り合わせのため、とりわけ夜間の作業では安全の確保がより一層重要になると伺いました。
 今までは工事現場と聞くと、建築のイメージが強かったのですが、今回の取材を通じて、人々が安心して豊かな生活を送るために、見えないところで支えてくれている人がいることを知ることができました。これからも建設会社の社員であることに誇りを持って日々の業務に取り組んでいきたいと思います。
(亀田果穂)
 

Back Number