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台風で被災した護岸の復旧工事
 年々激甚化する台風・豪雨被害。2019年には9月に台風15号、10月に台風19号が立て続けに関東地方を直撃し、記録的な暴風によってインフラ施設の損壊が相次いだ。横浜市金沢区の福浦地区では、埋立地に造成された工業団地の護岸が約600mにわたって倒壊する被害が発生。現在もなお復旧工事が続いている。その現場の一つ、不動テトラが手掛ける被覆工の施工現場を土木事業本部工事部工務課の横路成美さんが訪ねた。
独自ブロックの採用で安全に工期短縮
横路 どのような工事が行われているのですか。
 令和元(2019)年台風15号によって被災した福浦水際線護岸を復旧する、横浜市港湾局発注の工事です。当社が施工する「その9」工事は、延長1,116.2mの「福浦B区間」の半分、延長550mの被覆工を行うものですが、保有技術の「エックスブロック」を使用することで、同じ2tの被覆ブロックでありながら底面積が大きい分だけ施工延長が延び、結果的に620mを施工しています。現場は事務所がある現在地(横浜市鶴見区末広町)のブロック製作ヤードと、据え付け場所(横浜市金沢区福浦1~2丁目地先)の2カ所に分かれています。
横路 当社が保有するブロックにもいろんな種類がありますが、エックスブロックについて教えてください。
  堤防、護岸、消波、根固めとブロックには幅広い用途がありますが、形状から見るとテトラポッドに代表される立体型のほか、平型、階段型などがあり、エックスブロックは平型に分類されます。混成堤マウンドの被覆材や河川の根固め工などに用いられ、Xのシンプルな形状で施工性に優れるのが特徴です。当初の設計仕様では縦×横が1.5m×1.5mで同じ2tの平型ブロックを使用することになっていましたが、より施工性に優れ、工期短縮が可能なエックスブロックの採用を提案し、承認が得られました。エックスブロックは1.6m×1.6mで、縦と横が10cmずつ大きいので、ブロック製作数は同じでも施工延長がその分、延びる形となりました。
エックスブロックの製作手順をレクチャー
製作・運搬・据え付けのサイクル維持
横路 現場事務所の前の敷地では着々とブロック製作が進んでいますね。
  工事数量は、基礎工の捨て石均しが7,498㎡、被覆・根固め工の被覆ブロック製作・運搬・据え付けが5,054個となっており、この製作ヤードでは1日に54個のブロックを製作しています。型枠組み立てからコンクリート打設、養生・脱型を経て、所定の強度が出るまで概ね2週間。その後、まず鶴見川の河口まで陸上運搬して仮置きし、社有船である300tの起重機船にブロックを280個積んで、据え付け現場まで20km近くを海上運搬します。基礎工の捨て石均しは6月に終盤を迎えます。ブロック製作は春先の雨の影響もあって7月半ばまで続く見通しです。台風シーズン前の完了が命題です。
s横路 建設工事はどうしても天候の影響を受けてしまいますね。雨天の時、ブロック製作はどうするのですか。
  雨天時のブロック製作ヤードはテントやシートで養生してコンクリートの品質が低下しないようにしています。雨量が1時間当たり10mm以上の作業中止基準を上回るような降雨だったり、強風を伴ったりする際は作業を中止します。予報を確認して前日に中止判断をする場合もあります。
横路 今回の工事を進める上で最も難しいのは気象や海象条件の判断でしょうか。
  ブロック製作、浜出し、据え付けと、各工程をうまくサイクルに乗せて、滞留させないよう回していくことに気を配っています。一遍に全部を作っておけないし、積み出し場の広さも限られます。起重機船に積み込み、空いたところにブロックを補充。海象条件を見計らいながら据え付けていく。特殊な難工事というわけではありませんが、気象・海象条件と運搬・据え付けのタイミングを読みながら、製作スピードを落とさないよう、その一方、どこかで滞留が起きないよう、常に注意を向けています。
横路 この現場には若手社員も配属されているようですが。
  6人体制のうち、年齢層が50代以上と20代で3対3。中間の30代から40代の世代がいません。これは当社に限った話ではなく、建設業界全体に共通する課題だと思いますが、中堅どころの世代の人員が少ない。入社1、2年目の若手に先輩として施工管理のノウハウを教えられるような役回りの世代がいてくれると助かります。30歳近い年齢ギャップを埋めるのはなかなか大変だというのが本音です。
横路 建設業界の若手にアドバイスをお願いします。
  当事者意識を持ってほしいですね。現場に出たら、「自分で仕切る」ぐらいの気持ちで業務に向き合ってほしい。海の中の仕事は完成品が地上からは見えないので、やりがいを感じづらい面があるのは否めないが、当事者意識を持って臨めば現場はもっと面白くなると思います。
(取材は6月1日に行われました)
次々と製作され積み出しを待つエックスブロック
工事概要
工事名 金沢(福浦B)地区水際線護岸災害復旧工事(その9・被覆工)
発注者 横浜市港湾局
施工場所 横浜市金沢区福浦1丁目から福浦2丁目地先公有水面ほか1カ所
工期 2021年1月14日~7月30日
取材を終えて
現場サポートへさらに努力
 天気に恵まれ晴れやかな空の下、製作されていくブロックを眺めながらの見学となりました。今回の工事は、限られたスペースでいかに効率よくブロックを製作し、運搬をしていくのか。天候に左右される中での工期厳守や、安全面への配慮と様々な条件が絡み合う中で進められており、現場での気苦労は絶えないだろうと感じました。
 工務課員として工事にかかわる業務を担っておりますが、現場見学をする機会は中々なかったため、今回のように書類上で見ているものを実際に見てお話を伺うことによって現場への理解が一層深まりました。今まで以上に現場をサポートしていけるよう、努力していこうと思えました。
 このまま台風など大きな影響なく、無事に竣工を迎えられるよう願っております。貴重な機会を頂き、ありがとうございました。
(横路成美)
 

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