2016年4月に事業化された阪神高速道路大阪湾岸道路西伸部。六甲アイランド北(神戸市東灘区)から駒栄(同長田区)に至る延長14.5kmのバイパス事業で、そのルートの一部は六甲アイランドとポートアイランドを橋梁で結ぶ。神戸港第五防波堤撤去等工事は、第五防波堤の一部を撤去し、橋梁の橋脚設置に伴う新港航路の切り替えを目的に実施されている。施工は若築・本間JVが担当。防波堤の破砕時にコンクリート殻が海上に落ちないよう落下防止設備を取り付け、船舶の航行に細心の注意を払いながら進められている施工現場を、若築建設大阪支店営業部の大北伸子さんが訪ねた。
大北 今回の工事は、防波堤の撤去工事のうち、どの部分になるのでしょうか。
松下 工事は防波堤のうち、ケーソン上にある上部コンクリートを壊し、そのコンクリート塊を海上輸送して作業ヤードで小割りし、ダンプによって指定場所まで陸送するものです。第五防波堤は全長約1,200mありますが、当JVの担当は西端から275m分、ケーソンで言うと21函分となります。工事の進捗率は47.1%(12月5日現在)で、16函分の上部工の撤去を終えています。
大北 具体的にはどのようにして上部コンクリートを壊すのですか。
松下 まず防波堤にコンクリート殻の落下防止柵を取り付けます。大型ブレーカーを装備したバックホウを防波堤の上に置き、コンクリートを順に砕いていきます。砕いたコンクリート塊は別のバックホウで集め、防波堤の脇につけた310t吊りの起重機船に乗せて海上輸送し、指定の作業ヤードに揚陸します。上部コンクリートを砕く時は両端を残し、防波堤の中央部分をまず先に砕き、できるだけコンクリート殻が海中に落ちないようにしています。コンクリート数量は7,000㎥弱となります。
大北 バックホウはどうやって防波堤まで持ってくるのですか。落下防止柵というのは特殊なものですか。
松下 バックホウは起重機船で運びます。週末や荒天などで作業ができない日は、バックホウを防波堤に放置しておくことができないため、起重機船に載せ、安全な停泊地まで移動させます。一方、落下防止柵はこうした防波堤撤去工事では必ず取り付けます。ただ、その取り付け方や柵の構造は各社によって異なります。今回の落下防止柵は以前当社が施工した神戸港の第六南防波堤撤去工事の施工ノウハウを生かし、当社の技術提案の一つとしてさまざまな工夫を凝らしています。