臨海部に鉄鋼や石油精製などの多くの有力企業が立地し、原材料や製品の物流拠点となっている国際拠点港湾・和歌山下津港。ここで今、港の機能をさらに拡充する事業が進んでいる。より大きな船舶の入港を可能にし、大型クルーズ船の受け入れ環境も整備しようという取り組みだ。東洋建設が6月から施工しているのが「和歌山下津港本港地区泊地(-13m)拡幅工事」。より大きな船が通れるように古い防波堤を撤去し、航路を拡幅する工事だ。10月下旬に予定されているケーソンの撤去に向けた準備が着々と進む現場を、経営管理本部広報部の藤富円さんが訪ねた。
藤富 これまで現場を何箇所か見学してきましたが、和歌山下津港は初めてです。ここではどのような仕事をしているのですか。
石田 最近の船舶の大型化に対応し、大型船が安全・円滑に港に出入りできるようにするため、古い防波堤を撤去し、海底を浚渫して航路を拡幅するという一連の工事を進めています。
藤富 この事業に対しては、地元の期待がとても大きいと聞きました。
石田 バルク貨物などを積んだ大型の外航船などが多く出入りできるようになると、輸送コストの削減や荷役の大幅な効率化につながります。
藤富 近年は各地の港でクルーズ船の入港も増えていますね。
石田 和歌山下津港でこれまで受け入れたクルーズ船は最大でも11万t級までだそうです。航路幅を広げることで、17万tクラスのクルーズ船を受け入れることができるようにするのも、この事業の大きな目的の一つになっています。実際、来年10月には17万t級の外航クルーズ船が来ることが決まっていると聞いています。大型クルーズ船の入港は地域経済にも大きなインパクトを与えるので、地元の期待も大きいのです。
藤富 工事はどのように進めているのですか。
石田 6月からの準備工を経て、7月に防波堤両側の海底にある根固ブロックと三方錐ブロックを撤去する作業に入りました。並行して8月からは防波堤の上部コンクリートを重機で破砕・撤去する作業を進めています。9月中旬からはいよいよ、この工事のクライマックスともいえる防波堤本体のケーソンを撤去する作業の準備に入ります。