近年、コンテナ取扱貨物量が急増している酒田港(山形県酒田市)の国際ターミナルで、コンテナ船が着岸する岸壁を延長する工事が進んでいる。国土交通省東北地方整備局の発注による「酒田港外港地区岸壁(−14m)築造工事」で、大型ケーソン2函を据え付け、岸壁を約40m延伸させる工事だ。施工はあおみ建設株式会社。現場代理人を務める酒田港作業所の貝田喜郎所長は、国際ターミナルを供用しながらの工事となるため、コンテナ船の入出港や荷役作業に支障のないよう気を配る。また、波浪条件の厳しい冬が来る前に完成させるため、ケーソン据え付け後すぐに上部工に着手しなければならず、二つのケーソンの天端(高さ)をいかに既設岸壁と合わせるかも課題だという。管理本部経理部の岸本まみさんが現場をリポートしてくれた。
岸本 この工事の内容を教えてください。
貝田 貨物を運ぶ国際ターミナルの岸壁延伸工事です。メインはケーソン2函の据え付けで、約40m延伸します。現在、海底の床掘作業を行っていて、7月から捨て石を投入してケーソンを設置する基礎マウンドを構築し、均し作業に入る予定です。ケーソン製作工事は別会社に発注されていて、9月には完成します。酒田港の本港地区で製作されたケーソンを、国際ターミナルのある外港地区までえい航してきて、9月の中ごろに据え付けを行うつもりです。
週4日はコンテナ船が酒田港に
岸本 工事を進める上で難しい点はありますか。
貝田 国際ターミナルを供用しながらの工事となるため、週4日は定期便のコンテナ船が酒田港に入ってきます。1日に1隻程度ですが、朝に入ってきて夕刻に出ていきます。入出港時には作業を中断し、コンテナ船が着岸して荷役をしている間に作業を行うようにしています。別の作業船基地から作業船を持ってくる場合には、コンテナ船が入港した後に港内に入れるよう配慮します。現在は起重機船で作業をしていますが、これからさまざまな作業船を使うことになります。また、起重機船は、係留アンカーを張り出してコンテナ船の航行を邪魔しないようスパッド式とするとともに、できるだけ(岸壁の延長線より)内側に船を入れて作業をしています。
岸本 ケーソンの据付作業について聞かせてください。
貝田 ケーソンの大きさは、長さ20.0m×幅13.4m(底幅は14.9m)×高さ15.5mです。波を打ち消すため、前面側に細長い穴の空いた「スリットケーソン」と呼ばれる構造を採用しています。えい航してくる際には、スリットに止水板を取り付けます。据付作業は2函連続で行うつもりです。海水を注入してケーソンを沈めますが、2函の据え付けに2日程度はかかるとみています。さらに止水板を外し、中詰材を投入して蓋コンクリートを打つのに8日程度はかかると思います。トータルで10日程度を見込んでいます。ケーソンの据え付けは大がかりになるので、港湾管理者である山形県とも(コンテナ船の入港時間などを)調整しながら、作業を行うことになると思います。