関東地方の海運拠点として整備が進む茨城港常陸那珂港区では現在、新たな石炭灰処分場を建設するためのプロジェクトが進行している。茨城県と国土交通省関東地方整備局が協力して行う「茨城港常陸那珂港区次期廃棄物処分場建設事業」は、全周約3,000mの護岸を整備。石炭灰による埋立面積は約56haに達し、完了後には県のふ頭用地港湾管理用地として活用される。県発注のRCケーソン製作工事その4は株木建設・東康建設工業JVが施工。茨城本店建築部の黒田郁子さんが現場を指揮した的射場猛所長に工事の内容やポイントを聞き、我が社の現場を紹介する。
黒田 まず工事概要を教えて下さい。
的射場 茨城港常陸那珂港区の中央ふ頭地区に建設する次期廃棄物処分場の護岸に据え付けるRCケーソン4函を、茨城港日立港区のヤードで製作しました。ケーソンの大きさは24.9m×5.5m(土台部は7.5m)×11.0mで、重量は1,190t。ヤードに「函台」と呼ばれる土台を四つ造って地耐力試験を行った後、それぞれの函台の上でRCケーソンを製作しました。作業時期が秋から冬だったことをもあり、風や波浪、気温といった気象・海象条件の変化を予測して施工計画を立案しました。ヤードの整備に着手したのが2015(平成27)年10月末。生コンクリートは年度末に向かうに従い需要が増えるので、確実に生コンを確保するため、年末完了を目標にケーソン2函を先行して製作し、年明けから残り2函を製作するスケジュールを組みました。
黒田 現場を指揮する上で特に気を配った点は何ですか。
的射場 ケーソンは1函を40日間で製作しました。1函を造るのに必要な生コンの量は460m3で、生コン車115台分に相当します。現場製作は2015年の11月中旬から始めたのですが、日照時間が短くなり、寒さも増す時期だったので苦労しました。外気温によってコンクリートの仕上がりの品質は変化するので、現場では午前7時から打設を開始して、打ち継ぎ処理剤の散布や養生など必要な作業を午後4時までに終えるよう、心掛けました。冬場の屋外作業は作業員に大きな負担を掛けます。体調を崩すことがないよう、防寒対策には非常に気を配りました。作業員が一人でも欠けると、他の作業員の負担が増してしまい、結果的に工程管理や品質管理に影響が出るので気を配りました。