駿河湾の湾口部にある御前崎港(静岡県御前崎市)は自動車や鉄鋼、パルプなどを国内外に送り出す、県中西部の物流拠点として大きな役割を果たしている。現在、同港では荒天時でも女岩地区(西ふ頭)岸壁泊地などの静穏度が確保できるよう、防波堤(西)の改良工事が進んでいる。国土交通省中部地方整備局が発注し、みらい建設工業が施工を担当する。本社管理本部総務部に籍を置く2015(平成27)年4月入社の海老原千秋さんが現場を訪れ、陣頭指揮を執る吉冨三矢所長に工事内容などを聞いた。
曲線部分の施工に工夫、安全確保に細心の注意
海老原 工事概要を教えてください。
吉冨 既存防波堤のうち女岩地区の正面にある防波堤(西)を強化する工事として、先端部にある既設ブロックの撤去や浚渫、新しいブロックの設置などを行っています。港内にある泊地の静穏度を確保するとともに、万が一津波が押し寄せた場合に港を守り、被害を軽減する目的もあります。施工延長は約150mで、工事は既設の消波ブロックなどを撤去した後、海底の浚渫や洗掘防止材の敷設を行い、続けて根固ブロックや被覆ブロック、消波ブロックを設置していきます。
海老原 工事の進捗状況はいかがですか
吉冨 工期は昨年7月から今年3月末までの約9ヵ月間で、2月5日からブロック据付作業が本格化しました。海底の浚渫は濁りが出ないよう細心の注意を払って作業を進め、ブロック据付では根固ブロックを109個、被覆ブロックを大小合わせて649個マウンドに設置し、さらにいったん撤去した127個の消波ブロックも再設置する計画です。
工事場所は防波堤の先端部で、曲線を描きながら海底を浚渫しブロックを据え付ける必要があります。直線部分は作業計画を立てやすいですが、曲線部分は起重機船でブロックを海底に沈める際に座り具合などを潜水士が確認・調整しながら据え付けないと、上手く積み上げることができません
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先端のブロックをどのように設置すれば計画通りの曲線を描けるのか、下から上に積み上げるにはブロックをどう配置するべきなのか、綿密な検討と正確な作業が求められました。現場の最大水深は−17mにもなり、潜水士が減圧症になる危険も高くなるので、安全対策にも万全を期しました。