最上川の河口に位置する酒田港。日本海の荒波が押し寄せる同港では、港を取り囲むように北防波堤(2,000m)、第二北防波堤(計画2,050mのうち1,255mが完成)、南防波堤(2,048m)がある。酒田港北港地区防波堤(北)(第二)外築造工事は第二北防波堤の築造工事をはじめ、5ヵ所の防波堤関連工事を施工する。発注者は国土交通省東北地方整備局。施工は株式会社本間組。同社新潟本社管理本部総務部総務課の大越由貴さんが工事現場を訪ね、作業所長の小石修弘氏(東北支店土木部工事課担当課長)に工事内容などを聞き、我が社の現場をリポートした。
大越 工事の概要を教えてください。
小石 この工事の特徴は、工事内容が新設、改良、復旧と多岐にわたっていることや、それに伴い施工場所も複数に分かれていることです。その内訳は、第二北防波堤が新設の築造と劣化が著しい上部工の復旧、北防波堤が本体ケーソン部の穴空き箇所の補修、上部工および消波工の嵩(かさ)上げ改良、加えて南防波堤の消波工設置となっています。このように内容が盛りだくさんなので、一般的な防波堤工事に比べ施工管理上配慮すべき点が多い工事です。酒田港は私自身過去に何度か工事を担当したことがありますので、その経験を活かしながら取り組んでいます。
最適な施工方法を提案
大越 施工場所が計5カ所に分かれていますが、作業が輻輳していろいろと大変ではないですか。
小石 5カ所の作業を並行して円滑に進めるために、まず重要と考えたのが、作業船をいかに効率良く使いまわすかという点です。特にミキサー船と起重機船の使い方は、コンクリートの打設待ちが極力発生しないよう、天候もみながら入念に計画しました。また、第二北防波堤の上部工復旧工と北防波堤のケーソン補修工は、発注者からも施工提案を期待されました。事例が少なく、また、固有の施工条件や不安定な海象を踏まえての施工検討でしたが、発注者とは当初から自由な協議が行えるようになっていましたので、ベストの提案ができたと思います。
大越 実際に現地の工事に着手されたのはいつごろですか。
小石 実際に現地で工事を始めたのは4月末でした。まず第二北防波堤の突端に設置された被覆ブロックを撤去し、事前測量で現地の状況を確認した上で、ケーソン据付のためのマウンド整備を行いました。6月中にはこの作業をほぼ終え、7月上旬に発注者から引き渡されるケーソン(5,280トン)をすぐにも設置する予定でしたが、台風などの影響で工程が遅れ、ケーソンの据付は7月22日となりました。この日は天候にも恵まれ、据付精度も目標に対して2〜5cmと良好でした。現在、上部工の施工などを行っています。これと並行して5月には北防波堤の嵩上げ改良に着手し、6月中旬には完成しています。