宮崎県北部開発の拠点となる細島港。太平洋に面した同港では港内の静穏度を保つため、南沖防波堤の築造工事が急ピッチで進められている。細島港(外港地区)防波堤(南沖)築造工事はその防波堤の一部を構築するもので、厳しい気象・海象条件の中で、国内最大級の約9,000トンのケーソン2函を据え付けた。発注者は国土交通省九州地方整備局、施工は株式会社大本組が担当した。同社東京支店管理部の山川菜摘さんが同工事の赤木政義作業所長に工事内容などを聞き、我が社の現場を紹介した。
山川 工事の概要を教えていただけますか。
赤木 細島港の南沖防波堤を築造する工事です。南沖防波堤は完成すると、延長が600mとなりますが、すでに330mが出来上がっています。当社はその先の60m分の堤防工事を担当しました。国内有数の規模を誇る9,000トンのケーソン2函を据え付けるのが主な工事内容です。まずケーソンを据え付けるためのマウンドを海底に整備し、ケーソンを曳航して所定の位置に据え付けた後、ケーソンの中詰めや上部工を行い、周囲に被覆ブロックを設置しました。
後工程を逆算してケーソン据え付け日を決定
山川 工事は順調に進んだのですか。
赤木 細島港は外洋に面していますので、波浪が厳しく、気象・海象の状況を予測しながら、施工計画を立てました。昨年7月から測量などを行い、マウンドの整備に入ったのですが、ガット船の入港が遅れ、実際に捨て石などの投入ができたのは8月のお盆明けからでした。台風の影響などで作業ができないこともあり、できるだけ前倒しで作業を進めていきました。ケーソンは2函とも12月初旬に据え付け、中詰めと蓋コンを12月中に終えました。年明けから上部工、被覆ブロックなどを施工し、工期に余裕を持って工事を終えることができました。
山川 ケーソンの据え付け日はどのようにして決めたのですか。
赤木 ケーソンは約3km離れた仮置き場に設置されていたのですが、大潮時の満潮でないと、仮置き場から引き出せないため、1度チャンスを逃すと2週間程度作業ができなくなります。このため、ケーソンを据え付けた後の工程をまず想定し、それから逆算して一定の期間を決め、それに気象・海象状況を予測して1函目を12月3日に、その数日後に2函目を設置することを決めました。その設置に間に合うようにマウンド整備を行い、ほぼ計画通り施工できました。
山川 計画通りにできた要因はなんでしょうか。
赤木 工程を左右する最大の要因はケーソンの据え付けです。1函目の12月3日はべた凪で順調に作業ができました。2函目はその3日後の6日に行ったのですが、この日を外すと次の大潮まで延ばさないと行けないというぎりぎりのところでした。据え付け精度も数センチの誤差しかなく、高精度に据え付けられたと自負しています。