コンテナ船やフェリー、自動車運搬船などが利用する静岡県の御前崎港。周辺には自動車や電気機器、楽器などの特色ある企業が立地し、国内外の物流拠点として一層の発展が期待されている。現在、同港では荒天時における西ふ頭岸壁の前面泊地の静穏度を確保するため、防波堤(東)の整備が進められている。発注者は国土交通省中部地方整備局。施工は(株)不動テトラが担当。同現場の山本等現場代理人(所長)に入社1年目の本社管理本部企画財務部の菊池恭享(きょうすけ)さんが工事内容などを聞き、我が社の現場をリポートした。
菊池 工事概要を教えてください。
山本 今回の工事は防波堤(東)の先端部分を施工するものです。まず捨て石を投入して潜水士がそれを均して平らにし、基礎マウンドを構築します。その後別工事ですでに製作済みのケーソン1函をマウンドの上に据え付けます。同時にこの工事では防波堤の先端部分で潮流が激しいため、ケーソンの周囲に捨て石を均し、その上に8トンの被覆ブロック約200個、50トンの被覆ブロック約350個を設置します。
菊池 工事の進捗状況はどうですか。
山本 工期は昨年3月から今年の3月26日までです。ただし、諸手続もあり、準備工事に着手したのは昨年5月の連休明けでした。捨て石を投入したのは昨年7月初めからで、まず被覆ブロック基礎マウンドの捨石均しを先行して行い、ケーソン据付時期に合わせて途中からケーソンマウンドの捨石均しを並行して進めました。ケーソンの据付は昨年12月9日に行い、現在は被覆ブロックの据付などの作業を進めています。工事の進捗率は2月中旬時点で約94%です。
ケーソンの据付日は北西の風で判断
菊池 ケーソンの大きさはどのくらいで、どのようにして設置したのですか。
山本 ケーソンは高さ11.5m、幅17.9m、奥行き15.8mで、重量は約1,900トンあります。ちょうど3階建ての建物と同じ高さになります。防波堤の内側に仮置きしてあったケーソンの中の水をポンプでくみ上げ、水面に浮かべた状態のままタグボートで曳航し、据付現場近くで起重機船に受け渡します。起重機船でケーソンを吊り上げて位置を調整しながら再び内部に注水して所定の位置に据え付けます。法線出入りの据付精度の許容範囲は20cmだったのですが、先端部がプラスマイナスゼロでした。非常に精度良く据え付けられ、気持ち良かったです。
菊池 ケーソンの据付日はどのようにして決めるのですか。
山本 全体工期の中から、どこまでに何をしなければいけないかを考え、それから逆算して工程スケジュールを決めます。ケーソンの据付日は昨年末までに上部工コンクリートの打設を最低でも1回行いたいと思い、そこから逆算して11月初旬に12月9日と決めました。11月中に据え付けることも考えたのですが、12月には西の風が吹いて海が穏やかになると聞いて、12月の据付日を決めました。
菊池 西の風が波に影響するのですか。
山本 この現場は外洋に面しており、非常に海象条件の悪いところです。丘側からの西の風が吹くと、海側から入ってくるうねりを打ち消してくれます。ただし、風が強すぎると逆に波が激しくなります。ケーソンの据付作業は現場にとって一大イベントですから、何とか気象、海象の条件が整ってくれることを祈っていたのですが、据付日当日はおかげさまで〝べた凪〟で、段取り替えもなく、一発で作業を終えました。