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東北地方太平洋沖地震で被災した防波堤を復旧
 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、東北・関東の太平洋沿岸の港湾施設に甚大な被害をもたらした。福島県の相馬港も大津波に襲われ、総延長2,730mの沖防波堤の9割が滑動・転倒した。相馬港本港地区防波堤(沖)(災害復旧)築造工事(その2)は、その被災した防波堤(ケーソン)を撤去し、新設するもの。施工は東洋建設・株木建設JVが担当している。東洋建設㈱経営管理本部経営企画部の阿部凡海(ひろみ)さんが現場を訪ね、志喜屋義春所長(東洋建設)から工事概要などの話を聞き、「我が社の現場」をリポートしてもらった。
砕岩棒で被災ケーソンを壊し、撤去する
状況に応じて効率的な作業を
阿部  工事内容を教えていただけますか。
志喜屋  東北地方太平洋沖地震で被災した防波堤を壊して撤去し、新たなケーソン(支給材料)を据え付けるというのがメインの工事です。この工事に付随してケーソンのマウンド整備や被覆工なども行います。
阿部  被災したケーソンを砕いて撤去するのは大変ではないですか。
志喜屋  被災した防波堤を砕岩棒で壊して撤去する作業は、すでに数カ所の被災港湾で行われています。このため、各種の施工上の情報は得ていますが、その海域の海象条件や作業船(グラブ浚渫船)などによって状況が異なりますので、この方法が最適というのはありません。ケーソンの傾斜や浸水状況なども作業に影響するため、実際の状況を見ながら作業を進めています。この現場では2隻のグラブ浚渫船を投入し、2カ所に分けて45トンと55トンの砕岩棒を使ってケーソンを壊しています。ワイヤやクレーンに大きな負担がかかるため、定期的な点検作業を行い、作業ロスを防いでいます。
コンクリート塊は中詰めに再利用
被災後の相馬港  提供:東北地方整備局
阿部  砕いたコンクリート塊はどうするのですか。
志喜屋  この現場はマイナス9.5mの水深を確保できれば良いとされています。このため、ケーソンをすべて壊すのではなく、そこまでの水深が確保されれば、そのまま存置します。海底に沈んだコンクリート塊は浚渫用のグラブバケットで撤去し、陸上に運搬します。陸上ではコンクリート塊を小さく砕き、新たに据え付けるケーソンの中詰め材として再利用します。撤去対象のケーソンは15函ですが、南側に位置する4函は所定の水深まですでに壊しています。現在、北側にある11函の破砕・撤去作業を進めており、6月下旬までにはすべての作業を終える予定です。
阿部  撤去するケーソンは15函で、据え付けるケーソンが12函ということですが、被災したケーソンと新設ケーソンは大きさが違うのですか。
志喜屋  新設するケーソンは標準型で幅約15m×延長20m×高さ12mの大きさで、被災したケーソンよりも大型です。製作は別の施工業者が担当しました。5月下旬から陸上で製作されたケーソンを海上に吊りおろし、仮置き(16函)に着手し、6月中旬から捨石投入などの基礎工を開始します。基礎捨石マウンドの築造には起重機船を使用した『機械均し工法』を採用し、工期短縮を図ります。その後、順次ケーソンの据え付けを行い、今夏までにすべての据え付けを完了する予定です。
阿部  現在の工事の進捗状況はどのくらいですか。相馬港全体ではどうですか。
志喜屋  本工事の出来高は4月末で3割ぐらいです。沖防波堤の復旧工事全体では、詳細は分かりませんが7割ぐらいではないでしょうか。現場を見ていただいて分かるように、相馬港では複数の復旧工事が並行して実施されており、多くの作業船が稼働していますので、各工区と調整しながら安全第一で作業を進めています。
海象条件が厳しいため、前倒しで施工
作業中止基準を波高1m以上に
海上から現場を見る志喜屋所長と阿部さん
阿部  相馬港は海象条件が厳しいと聞いています。
志喜屋  相馬港はうねりが大きなところです。作業中止基準を波高1m以上としていますが、毎日、早朝から現場海域の状況を把握し、作業実施の有無を判断しています。秋から冬にかけてはかなり海が荒れることが予想されているため、春から夏までにできるだけ作業を進めたいと考えています。仮に午前中は海が穏やかでも、急に午後から荒れることもありますので、常に気象・海象情報を入手し、作業船への情報伝達を早めに行って事故防止に努めています。
阿部  現在の作業体制はどうなっていますか。現場で苦労されていることはありますか。
志喜屋  事務所の職員は東洋建設5人、株木建設2人の計7人体制です。海上担当と陸上担当をそれぞれ2人ずつ配置し、日々の安全管理・施工管理・工程管理を行っています。工事は概ね順調に進んでいますが、コンクリート塊の仮置き場への運搬など陸上作業での手配に苦労しています。海上工事ではどこの被災港湾も同じかもしれませんが、荷役会社がすでに岸壁を利用している中で工事を進めなければなりませんので、陸上作業場所や作業船使用岸壁の調整を行うとともに、大型船舶の入出港時の作業船航行に細心の注意を払っています。いずれにしても夏までにできるだけ出来高を上げたいので、今後パワー全開で工事を進めていきます。
砕岩棒でケーソンを壊している様子工事名
工事概要
工事名 相馬港本港地区防波堤(沖)(災害復旧)築造工事(その2)
工事場所 福島県相馬市及び相馬郡新地町相馬港内
発注者 国土交通省東北地方整備局
工期 2014年1月28日〜2014年12月26日
施工内容
 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震で被災した相馬港本港地区沖防波堤のケーソンなどを撤去し、新たなケーソンの据え付けを行う。具体的には被災した消波ブロック381個、ケーソン15函を撤去する。その後、基礎捨石(約6,825m3)、捨石均し(約6,331m2)などを行い、支給されたケーソン12函を据え付ける。据え付け後は被覆石15,938m3、根固工70個(1個当たり41.4トン)、上部工、消波工(異形ブロック73個据付)、ケーソン進水・仮置き16函、ケーソンヤード撤去などを行う。東洋建設・株木建設JVの松下和樹現場代理人は相馬港の海象条件が厳しいことを踏まえ、「波の影響が少ないお盆までにできるだけ前倒しで施工したい」と今後の予定を説明した。
取材を終えて
自然を相手に行う工事
 私が訪ねた日は幸いにも「べた凪」でしたが、荒れて船が出せない日も少なくないそうで、海上作業ができるか否かの判断を毎朝海の状況を確認してから決定するなど、自然を相手に行う工事は日々臨機応変な判断が求められる厳しいものだと感じました。また、東北地方太平洋沖地震の復旧工事を見学させていただき、被害の大きさを知るとともに、着実に復興している姿を見て、建設会社の仕事がいかに社会に貢献しているかを改めて実感しました。親切に案内してくださった現場のみなさま、ありがとうございました。(阿部凡海)
 

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