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供用中の滑走路下の液状化対策を実施
 航空機の年間発着回数が38万回を超える国内最大の空港、東京国際空港(羽田空港)。1931(昭和6)年の開港以来、何度も拡張工事が行われ、A〜Dの4本の滑走路が供用中だ。東京国際空港C滑走路地盤改良工事は、南北方向に伸びるC滑走路の下を地盤改良し、液状化を防ぐ工事。施工は東亜建設工業・鹿島JVが担当している。飛行機の離着陸が終了した夜間に行われる同工事の現場に東亜建設工業㈱経営企画部広報室の藤田紀美子さんが訪ね、施工を担当する新庄幸作所長(東亜建設工業)に工事概要や苦労話などを聞き、「我が社の現場」をレポートしてもらった。
CPG工法で固結体を造り、地盤密度を高めて液状化を防止
地盤内に〝お団子〟状の固結体を造成
藤田  最初に工事の施工内容から聞かせていただけますか。
新庄  液状化対策工事にはさまざまな工法がありますが、ここでは固結体造成工(CPG工法)と薬液注入工(浸透固化処理工法)の二つの工法が採用されています。CPG工法は対象地盤の中に柔らかいモルタルを強制的に注入し、〝お団子〟状の固結体をいくつもつくって周辺地盤を圧縮し、地盤の密度を増加させて液状化を防ぐ工法です。一方、浸透固化処理工法は砂地盤の間に含まれる地下水を薬液(注入材)に置換え、その薬液がゲル状に固結することにより、液状化現象を防ぎます。施工範囲のうち、CPG工法で9割、浸透固化処理工法で1割を施工しています。
藤田  なぜこの二つの工法が採用され、どういう使い分けがされているのでしょうか。
新庄  地盤改良工事は通常、施工時に振動や衝撃を地盤に与えながら行うものが多いのですが、CPG工法と浸透固化処理工法は振動や衝撃を与えずに施工ができます。供用中の滑走路の下を地盤改良しますので、滑走路に影響を与えない工法として両工法が採用されたと思います。特に浸透固化処理工法は、薬液を低圧で浸透させるだけですので地下埋設物にも影響を与えません。このため、コスト的にはやや高めの浸透固化処理工法が地下埋設物(雨水排水管)のある場所だけ採用されています。
週休2日だが、体力的にきつい夜間工事
東京国際空港(羽田空港)の位置図
藤田  CPG工法は地盤の中に〝お団子〟状のものをつくると言われましたが、どのように施工するのですか。
新庄  1個のお団子は高さ30cm、幅50cmぐらいの大きさです。施工はまず滑走路面に約20cmの穴を鉛直方向にあけ、そこから注入管を入れて下から順々にお団子をつくっていきます。滑走路にあけた穴は、鋳物の蓋をし、飛行機の離着陸に影響を与えないようにしています。
藤田  施工上もいろいろ気をつかうことが多いと思うのですが。
新庄  施工時間はその日の最終便の発着が終了した午後11時30分から翌朝午前6時までです。ただ、実質の作業時間は作業準備や後片付けなどもありますから、4時間半程度です。作業終了時には滑走路内にゴミや石が落ちていないか、水たまり(凍結防止)ができていないかなどを空港関係者と点検するため、午前5時ころには作業を終えています。C滑走路は火・金曜日が夜間利用日となっていて作業ができません。このため、完全週休2日制で作業を行っていますが、常に夜間作業ですので、体力的にはきつい仕事です。
夜間に工事車両100台、作業員200人体制の人海戦術で
作業員に対する安全・作業手順の教育を徹底
左から前田現場代理人、新庄所長、藤田さん
藤田  工事事務所の職員は何人ぐらいで、どのような業務分担なのですか。
新庄  事務所の職員は11人です。昼間勤務に3人、夜間勤務に8人という体制で、昼の勤務者は発注者との打ち合わせや労務・資機材の手配などを、夜の勤務者は施工管理を担当しています。工事の最盛期だった昨年10月中旬から今年1月中旬までの3カ月間は、12班の作業班に分かれ、一晩に工事車両100台、作業員200人体制で施工していました。人海戦術での作業ですので、分散施工を行い、効率的な施工を心がけました。
藤田  工期は3月下旬までと聞いています。順調に進んでいますか。
新庄  お陰様で順調です。2月末時点で進捗率は96.9%となっています。地盤改良工事がまだ一部残っていますが、その工事も早急に終えたいと思っています。以前、空港の近くで同様の地盤改良工事を担当しましたが、空港敷地内と外側では規制などがまったく違います。空港内は出入者の管理が厳しいため、作業員の現場への出入管理も徹底しました。また、空港内にある標識や照明などの各設備を破損させてしまうと、滑走路の運用に影響しますから、作業手順の確認や安全教育は繰り返し行いました。まだ残りの工事がありますので、最後まで気持ちを引き締めて施工に当たりたいと思います。
夜間での作業状況
工事概要
工事名 東京国際空港C滑走路地盤改良工事
工事場所 東京都大田区羽田空港東京国際空港内
発注者 国土交通省関東地方整備局
工期 2013年4月23日〜2014年3月28日
施工内容
 工事は、固結体造成工(CPG工法)と薬液注入工(浸透固化処理工法)の2工法で地盤改良を行なう。CPG(コンパクショングラウチング)工法は地盤内にモルタルの固結体を造成する工法で、滑走路に4,731本の鉛直削孔を行い、固結体を造成した。浸透固化処理工法はゲル状に固結する薬液を注入し、地盤内の地下水と置換えることにより地震時の液状化を防ぐ工法で、滑走路に760本の鉛直削孔、12本の曲がり削孔を行い、薬液を注入した。施工時間はすべて夜間。東亜建設工業・鹿島JVの前田和章現場代理人は「明け方、作業終了後の滑走路内の点検が終わり、一番機が飛び立つのを見るとホッとする」という。
取材を終えて
普段からの現場管理が大切
 運用中の滑走路が”現場”ということで、作業ができるのは夜間のみ。オール夜間工事という苦労の多い現場を見せて頂きました。全長1kmにも連なる作業車両、最盛期は200人もの作業員を安全に、効率よく、スムーズに配置する大変さ。毎日撤収する時にはボールペン1本も滑走路に落としてはいけない緊張感。構造物は地下に埋まっているので見ることはできませんが、みなさんのおかげで滑走路が支えられているんだと思いました。残りわずかですが最後まで「ご安全に!」。(藤田紀美子)
 

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