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空港運用に影響を与えないように細心の注意
 関門海峡の航路に堆積する浚渫土を受け入れている新門司沖土砂処分場。毎年大量の浚渫土が持ち込まれ、処分容量が限界に近づいている。このため、浚渫土の減量化や再利用、容量拡大などの対策工事が現在進められている。新門司沖土砂処分場地盤改良工事(中央工区)は処分場の容量を拡大させ、延命化を図るのが目的。施工は五洋建設・りんかい日産建設JVが担当。五洋建設(株)九州支店総務部経理グループの田中典子さんに同工事の現場を訪ねてもらい、施工を担当する永吉貴行所長(五洋建設)に工事概要や課題などを聞きながら、「我が社の現場」をレポートしてもらった。
PDF工法で1日当たり100本のドレーンを打設
フロートを連結し泥土上を移動
田中  現場を見せていただき、ありがとうございます。泥土の上にPDF船を浮かべ、ドレーン材を打ち込んでいくのは大変な作業だと思いました。この現場で使われているPDF工法は一般的なものなのですか。
永吉  PDF工法は地盤改良の中では比較的新しい工法です。処分場の地盤改良は通常、対象地盤にシートを敷き、その上に砂を入れて、陸上の地盤改良機械を入れて施工するのが一般的です。ただ、この工事は処分容量の拡大が目的ですから、砂を入れると容量を使ってしまいます。このため、泥土の状態で地盤改良機械の移動が可能で、施工効率も良いPDF工法を発注者が採用したのだと思います。
 私自身は陸上で施工するペーパードレーン工法の施工経験があるのですが、PDF工法は初めての経験です。当初、PDF船を上手に移動させることができるのかなど心配もありましたが、現在は順調に稼働しています。
ゴミを絶対に飛散させない
現場は北九州空港に隣接している
田中  現場は周防灘に面し、北九州空港に隣接しています。空港に近いということで施工上で何か困ることはありますか。
永吉  この工事の大きな特徴の一つが施工場所が空港と隣接していることです。空港が真横にありますので、工事で発生する端材やゴミなどが飛散しないように最大限の注意を払っています。飛行空域の関係で、高さ制限もありますので、PDF船の打設機の高さを約38mに抑えています。
 この現場事務所も見ていただければ分かりますが、事務所の外に安全を啓蒙するような看板などを一切設置していません。もし、看板などが風で飛ばされて空港内に入り、飛行機の運航に支障をきたすようなことが起きれば、大変なことになります。職員や作業員には「ゴミを飛散させない」「ブルーシートなどを使う時は必ずネットをかける」など、現場をいつもきれいにしておくことを徹底させています。
田中  ドレーン材の打ち込み作業は、どのようにして行っているのですか。
永吉  鉛直ドレーンは1.6mピッチで打ち込んでいます。位置決めはGPSの測位データで制御しながら決めていますので、誤差は数センチしかありません。強風の日はPDF船が揺れますが、PDF船の横に置いている泥上掘削機(マーシー)でPDF船を押さえて、施工を行っています。
 打ち込む深さは約30m近くになるのですが、打ち込んだ後は鉛直ドレーンを切断し、水平ドレーン材に接続しています。この作業は作業員の手作業に頼るしかありません。鉛直ドレーンで地中から揚がってきた水分を、水平ドレーンで横に流し、釜場に貯めて排水し、圧密沈下を促進させます。
田中  今夏は猛暑でしたが、工事の進捗に影響を受けましたか。
永吉  梅雨明けから猛暑が続きましたから、作業員が熱中症にかからないように気を遣いました。製氷機を作業員詰所に置いたり、休憩時間を頻繁に取ったり、日陰用のテントを設置したりして対策を講じました。朝礼時に体調の悪い作業員を休ませたこともあります。これから寒さが厳しくなりますので、作業員にはネックウォーマーなどを支給し、寒さ対策も万全にしたいと思います。
現場を見て、作業員とのコミュニケーションを
若手を現場代理人に起用
永吉所長の話を聞く田中さん
田中  事務所の社員の方は何人いて、どういう役割分担をしているのですか。
永吉  五洋建設が4人、りんかい日産建設が2人の計6人体制です。五洋建設は、私が所長で、主任格の職員が工事全般と技術提案内容の履行を担当しています。その下の30歳代の職員が現場代理人となり、20歳代の職員がその下に付いています。
 我が社は1級土木施工管理技士の資格を取得すると、できるだけ早期に現場代理人を担当させるのですが、この現場代理人も初の担当で、対外折衝などに苦労しているのが、見て分かります。ただ、これは誰もが一度は通る道ですから、彼の奮闘に期待しながら、必要な時だけアドバイスするように心がけています。
田中  長年現場を担当されてきて、いつも心がけていることがありますか。
永吉  土木工事は経験工学です。どんなに忙しくても現場を見ないと、現場のことは覚えられません。現場のことを一つずつ理解していけば、例え経験のない工法や工種を担当することになってもイメージがわいてくるものです。現場第一という考え方で工事に当たれば、協力会社の方々とのコミュニケーションの大切さも分かってきます。現場をよく見て、そこに携わる方々との信頼関係を築ければ、安全対策も円滑にでき、納得のできる工事ができるはずです。
PDF工法の施工現場
工事概要
工事名 新門司沖土砂処分場地盤改良工事(中央工区)
工事場所 北九州市小倉南区空港北町地先
発注者 国土交通省九州地方整備局
工期 2013年3月11日〜2014年2月28日
施工内容
 PDF工法(フロート式プラスチックボードドレーン工法)で地盤改良を実施。PDF船は1隻当たり長さ10.0m、幅2.2m,高さ1.2mのフロートを14隻連結。その上に打設機(高さ約38m)や作業事務所などを設置している。移動はPDF船と両岸に設置したウインチ(4台)をワイヤーロープで結び、ウインチの操作で移動を行う。一列の打設が終わると、隣の列にウインチで横移動させ、次の打設位置にセットする。
 地盤改良面積は約162,500m3(縦250m×横650m)。この中を1.6m×1.6mピッチで、63,742本の鉛直ドレーンを打設し、水平ドレーン101,736mを施工する。1日当たり100本程度の鉛直ドレーン材を打ち込んでいる。工事全体の進捗率は2013年11月現在で72%、ドレーン材の施工だけでみると、PDF船を6隻投入し、8割を越える進捗となっている。2014年2月中旬にはすべての施工を終える予定だ。
取材を終えて
普段からの現場管理が大切
 今回の現場見学では実際にフロート船に乗り、間近で作業を見ることができました。女性の私でも、安全に現場見学ができるのも、普段の安全管理がしっかりされているからだと思います。現場が無事に竣工を迎えられるよう、多方面からサポート出来ればと思います(田中典子)。
 

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