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相川 秀一(あいかわ・しゅういち)氏
 1989年東京理科大学理工学部土木工学科卒、東洋建設入社。羽田再拡張建設事務所羽田護岸埋立2工区作業所工事課長、国際支店ジャカルタ営業所タンジュンプリオク作業所副所長、国際支店ヤンゴン営業所ティラワコンテナターミナル建設工事作業所長、2021年4月執行役員国際支店長。千葉県出身、56歳。
技術者としての力量が試された初の海外工事
 1989(平成元)年の入社後、関西国際空港2期工事や東京国際空港(羽田空港)D滑走路建設工事と有数の大規模プロジェクトに計画段階から関わることができ、技術担当として沈下管理、あるいは工事課長として大型インフラ施設の整備事業に最前線で携わることができました。羽田D滑走路工事が終わり、担当プロジェクトの切れ目に当たっていた2010(平成22)年に大きな転機が訪れます。国際支店への異動です。すでに40代も半ば、年齢的に海外勤務の機会はないだろうと漠然と思っていたので予想外の面もあったのですが、海外事業の拡充に力を入れる社の方針により、初進出となるインドネシアに赴任することになりました。
 手掛けたのは、同国最大の港、「タンジュンプリオク港」の改修工事。オランダ統治時代に造られた古い防波堤の一部を撤去、新設するとともに、船舶が往来しやすいように航路を拡幅したり、大型船が回頭できるよう水深14mに浚渫したりするODA(政府開発援助)案件でした。人生初めての海外勤務であり、東洋建設にとってもインドネシアは初めて。国内でのやり方が通用しない海外工事の洗礼を浴びながら、さまざまな出来事を経験した、とても思い入れのある現場です。
 この工事の特徴は、防波堤の基礎構造に竹杭を使用していることです。現地では一般的な施工法のようですが、もちろん全くの未経験。最初は戸惑いましたが、大量に使用する竹材を調達するところから始めました。現地での知名度がない中で、現金で資材調達して信用を獲得する一方、土質性状が分かっている地盤で竹杭打設の試験施工を実施し、得られたデータを基に施工方法を確立し実施工に臨みました。
 使用する竹材は長さが平均10m。これを7本束ね、直径300ミリのパイルとし、上部からハンマーを落下させて打ち込みます。その際、ハンマーの位置が高すぎると竹材の頭が割れてしまうので、最適な重量と高さの調整をはじめ、打ち込み回数と貫入量の管理、正確に打設するためのガイド設置といったさまざまな工夫をこらしながら工事を進めました。現地のエンジニアにとっても未経験の手法でしたが、国内のプロジェクトで培ったノウハウなどを伝えながら、施工品質の確保に努めました。事前にいろいろなケースで試験施工を実施したことはコンサルタントや発注者からも評価を得ました。
 現場では、竹杭を打設した上部に、竹材を平面状に並べて作った竹マットを敷設し、取り壊したかつての防波堤を再生利用材として敷き均した上に、捨て石、洗掘防止石、被覆石、消波ブロック、上部コンクリートを施工しました。特に、消波ブロックではサブコンと一緒に型枠の製作方法やブロックの吊り治具、現地での据え付け方法など、試行錯誤を重ねたことが思い起こされます。竹杭は1本1本、打設記録を取り、船の位置決めにはGPSを活用するなど、日本の施工管理手法を現地の工法にうまく組み入れることで、東洋式の施工法として作り上げることができました。
 現地スタッフには品質管理手法だけでなく、測量のやり方から垂線の出し方まで、手取り足取り一から教えていく過程で、チームワークで取り組む面白さといったものを実感してもらうことができ、信頼関係の構築につながりました。ただ、それなりの力量というか、技術の裏付けがないと信用・信頼は簡単には得られない。特に海外工事では、困難に直面しても自らが先頭に立って乗り越えていく姿勢が求められるのだと思います。若い人には海外に行くチャンスがあれば、ぜひチャレンジしてほしいですね。。
タンジュンプリオク港での竹杭の施工状況
現地スタッフと竹マット上で(右から3人目)

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