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木下 正暢(きのした・まさのぶ)氏
 1987(昭和62)年京都大学工学部交通土木工学科卒、東亜建設工業入社。2012(平成24)年千葉支店土木部長、2015(平成27)年東京支店土木部長、2017(平成29)年大阪支店副支店長、2019(平成31)年横浜支店副支店長、2021年4月から現職。奈良県出身。57歳。
各工区が一丸となって事業を展開
 東京港内の中央防波堤外側廃棄物処理場の南側水域で整備が進む新海面処分場。都内の一般家庭や事業者から排出されるゴミや、建設現場から出る建設発生土などの最終処分場となるもので、1995(平成7)年から建設が開始された。
 建設は全体をA〜Gまでの7ブロックに分割し、埋立処分計画に基づき段階的に実施。最初に護岸建設工事が着手されたのはA・Bの2ブロックで、1996年末、1998(平成10)年にそれぞれ完成した。次に工事に入ったのがCブロック。地盤改良工事の後、4つの工区に分かれて工事が行われ、このうち東側護岸建設工事を東亜・飛島・若築・前田・ハザマ(現安藤ハザマ)JVが担当した。
 「初めて監理技術者を務めた工事です。新海面処分場の工事は、その前の関連工事を担当していたので、Cブロック東側護岸工事を含めると4年半携わりました」。
 工事は、地盤改良が行われた海底地盤に床掘工や捨石工などを施工した上で、ケーソン(25m×20函)を曳航、据え付けて処分場の外周護岸(延長513m)を構築する。
 「施工は通常、工種ごとに協力会社にお願いするのですが、この現場は工事区域を3分割して、主要な協力会社3社に捨石から上部工まで責任を持って施工してもらいました。境界部の作業調整など大変な面もありましたが、3社で競い合ったことで良い出来映えとなりました」。
 施工場所は東京港の第一航路と第三航路に挟まれ、船舶の往来の多い海域。航行する船舶への安全対策に細心の注意を払わなければならず、4JV他で安全協議連絡会を組織し、各工事の作業状況などを綿密に調整しながら行われた。
 「当JVが協議会の幹事会社でした。このため、自社の施工だけでなく、各工区との施工の調整をはじめ、警戒船の配備や工事の影響による水質調査、ヤード整備など、全工区に関わる業務を行いました。ただ、細心の注意を払っていたのですが、残念ながらトラブルも多かった」。
 工事エリアへの一般船舶の進入を防ぐため、現場周辺は航泊禁止区域として、警戒船を4〜5隻配置した。しかし、夜間は視界が悪くプレジャーボートや漁船などが工事エリアに侵入し、航泊禁止区域の灯浮標や工事用ブイのロープにスクリューを絡ませ航行できなくなる事故などが度々発生した。宿直で現場事務所に泊まっている時も事故があり、対応を迫られることもあったという。
 「各工区でも起こり得る事故が発生した際には普段競争し合っている各工区の担当者が親身になって助けてくれました。いつもは出来形や品質などを競う相手ですが、いざ何かあればみんなが助け合って事業を進めていく。大規模事業の醍醐味を感じました」。
 この工事の後は現場を離れ、本社の環境事業部や支店の土木部長などを務めた。現場を支援する立場になって感じるのは「いろいろな経験をする」ことの大切さ。
 「土木は自然を相手にし、どれも単品生産となる。どういう工夫をすれば納得いく施工ができるのかを考える時に役立つのが知識と経験。若い技術者は今与えられた仕事を、きちんと目的意識を持って取り組んでほしい。その積み重ねが最適な答えを導き出す参考になるはずです」。
新海面処分場の建設計画(1997年当時)
財団法人出向時に英国を視察。
フォース鉄道橋を見学した(2002年9月)

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