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島田 浩一(しまだ・ひろかず)氏
 1991年中部大学工学部土木工学科卒、株木建設入社。中部地方を中心に、港湾工事のほか、下水道、道路、農業施設など多くの土木工事の現場に従事した後、2019年4月東京本店土木部次長、同年11月から土木事業本部部長。名古屋市出身、53歳。
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」肝に銘じ
 1991年の入社から15年以上、携わった工事は下水道や道路など大半が陸上の都市土木でした。そうした中でほぼ初めての港湾工事として手掛けたのが、中部地方整備局から受注した「平成19年度田子の浦港中央地区岸壁(-12m)(改良)土留及び控工事」です。
 田子の浦港は静岡県内で第2位の取扱貨物量がある重要港湾です。特に中央地区は港の中核的なふ頭で、多目的国際ターミナルを整備する事業が行われていました。この工事はその一環として、老朽化した岸壁を改良・増深し、大型船や大規模災害時の緊急物資輸送に利用できる耐震岸壁に改良するものでした。
 それまでに経験した港湾工事は2003年に名古屋港で短期間関わった高潮防波堤の改良工事だけ。港湾工事の経験が浅い状態で、現場代理人兼監理技術者として工事を引き受けることになりました。
 同じ土木工事でも陸上と海上とでは全く勝手が違いますが、会社の看板を背負っている以上、甘えは許されません。そこで肝に銘じたのが「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」という言葉です。
 施工計画に加え、海上保安部や港の管理事務所に提出する許可申請や届け出、さらには漁協や地元自治会への説明や調整など初めてのことばかり。分からなければ、恥を忍んででも自分の足で相手先に出向き、書類の作成方法からノウハウまで教えてもらう。それを徹底しました。
 羽田空港D滑走路建設工事の最盛期と重なり専用の杭打ち船がなく、施工方法には大変苦労しました。また鋼管矢板等の製作に時間を要したために準備期間が長かったのは、いろいろなことを学ぶにはかえって良かったともいえます。
 過去に杭打ち作業時の騒音が問題になったと聞き、発注者と相談して発泡ウレタンとグラスウールを使った吸音装置を考案し、油圧ハンマーの打撃部に装着して打撃音の伝達抑制(共鳴防止)に効果を上げました。田子の浦港は海底のダイオキシンの問題もあり、対応策として汚濁防止膜の設置と濁度のモニタリングを徹底しました。
 もう一つ思い出深いのが、地元の方々とのお付き合いの中で、「田子の浦みなと祭り」への協力ができたことです。主催者から、海上から花火を打ち上げたいと相談を受け、工事の作業台船を打ち上げ場所に提供し、関係先への申請書類を作るお手伝いもしました。富士の夏を告げる花火大会は大いに盛り上がり、大変感謝されました。おかげで地元からの苦情もなく無事に工事を終えることができた上、中部地方整備局からは局長表彰(優良工事・優良技術者)を頂きました。
 この工事を経て、名古屋港鍋田ふ頭コンテナターミナル(T3)整備事業のうち「平成21年度名古屋港鍋田ふ頭岸壁(-12m)土留及び地盤改良工事」を施工することになりました。工期、施工条件とも厳しい工事でしたが無事竣工でき、2年連続局長表彰という栄誉を授かることになりました。
 田子の浦港の工事で、港湾工事の基本はもちろん、自分の足で出向き、自らの頭で考え、多くの関係者と良好な関係を築くという大切なことを改めて学んだように思います。それが今、若手技術者の指導にも生きています。
長い準備期間を終えて工事が本格化
提供した作業台船から打ち上げられた花火

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