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石山 剛(いしやま・つよし)氏
 1984年東海大学工学部土木工学科卒、本間組入社。関西支店土木部工事課長、土木事業本部土木部工務課長、九州支店土木部長、東京支店土木部長を経て、2017年4月から佐渡支店長。新潟県出身、58歳。
若手に大きな仕事任せる大切さを知る
 新潟県上越市の直江津港は近年、火力発電所やLNG(液化天然ガス)の受入基地などが集積する「エネルギー港湾」として発展しています。中で最も新しい荒浜ふ頭地区は、1999年から工事が進められた「直江津港荒浜ふ頭地区埋立事業」によって港湾施設が整備されました。当社もここで様々な工事を手掛けてきましたが、私にとって特に印象深いのが、県から受注したこの「東護岸工事(その1)」です。
 中部電力の火力発電所用地を埋め立て造成するために外周護岸の一部を構築する工事でした。捨石6万㎥の基礎工からRCケーソン17函の据え付け、上部工、裏込工まで、通常なら1年以上はかかる規模の工事です。しかし契約工期は3月下旬から12月中旬までの267日間。しかも気象・海象条件の厳しい日本海では、海上で仕事ができるのは5〜9月に限られますから、全く余裕がありません。
 これほど厳しい工事で、現場代理人兼監理技術者を任されました。ある程度の規模がある本格的な工事では初めてのことです。当時まだ経験も浅い38歳。任命された時は「なんで俺が?」とさすがに戸惑いがありました。それでも若さゆえでしょうか、いったん覚悟を決めてしまうと、「よしっ、やるぞ」と逆に闘志がふつふつと湧いてきたのを覚えています。
 現場に配属されたのは5人。私が最年長で、あとは30代、20代と、最年少は高校を出たての10代。兄弟のような集団です。
 目標に掲げたのは、当然ですが無事故で品質の良い物をきっちりと工期内に納めること。時間は限られていますから、計画を綿密に練り、作業船や関係者間の調整に精力を注ぎました。手書きの実施工程表が今も手元に残っています。朝4時からぶっ通しの作業で1日にケーソン3函を据え付けたことも。みんな若さと体力にだけは自信がありましたから、ハードな作業も苦になりませんでした。
 現場の近くには、事業に関わる多くの建設会社が事務所を構える「事務所村」ができていました。ここで様々な人たちとつながりができ、また助けられ、にぎやかに仕事ができたのも楽しい思い出です。竣工検査に合格した時の達成感は今も忘れられません。
 振り返って思うのは、若手に大きな仕事を思い切って任せてみることの大切さです。特に自然を相手にする建設業の仕事は経験がモノをいう世界です。上司や先輩は若手を信じて仕事を任せ、いざという時に手助けをする。人間は大きな仕事を任せられると責任感が芽生え、いろいろなものを吸収して成長します。私もこの工事の経験が今に続く成長の糧になりました。
 近年、国内ではかつてに比べて規模の大きな海洋工事は少なくなっています。そのような中でも若手が責任を持って挑戦できる機会をつくることが非常に大切だと思います。挑戦は成長につながります。建設業界の未来のためにも、ぜひ進めたいと考えています。
完成した外周護岸の一部
当時の苦労を物語る手書きの実施工程表

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