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長谷川 英勝(はせがわ・ひでかつ)氏
 1986年室蘭工業大学工学部土木工学科卒、国土総合建設(現あおみ建設)入社。北海道支店、九州支店、広島支店、名古屋支店などを経て2009年東京支店苫小牧作業所長、2011年東京支店土木部部長(北海道支店駐在)兼北海道支店部長、2015年4月から北海道支店長。札幌市出身、57歳。
厳寒の北海道、短工期で耐震岸壁を施工
 国土交通省北海道開発局室蘭開発建設部から受注し、2009年9月から翌2010年3月にかけて北海道の苫小牧港で施工した耐震岸壁の工事です。前工事との関係で着工が1カ月ほど遅れた上、港湾管理者の組合から3月にはすぐに岸壁を使用したいとの要望が寄せられたのを受けて途中で荷さばき地5000㎡の舗装工事を追加する増額変更が行われました。これによって工期が非常に厳しくなりました。10月から3月までといえば、北海道は厳冬期を挟んで気象・海象条件が最も厳しくなる季節です。この短期間に岸壁の上部工と埋め立て、クレーンの基礎、舗装までの作業をすべて終わらせなければなりません。上部工では潮待ちのため氷点下14度にまで冷え込む夜間にコンクリートを打ったこともあり、型枠と鉄筋屋さんには本当に苦労を掛けました。上部工が終われば、海象に影響されないクレーン基礎などは人海戦術です。
 1週間見ないと景色が変わると言われるほどの突貫工事でしたが、発注者のご協力や天候に比較的恵まれたこともあり、終わってみれば、工期を少し余らせての竣工でした。
 実はこの工事の8年前に、同じ北海道の小樽港臨港道路の建設でやはり厳冬期の突貫工事を経験しています。真冬に1日200㎥ものコンクリート打設を行ったこともあり、この経験が苫小牧港の工事でも役立ち、自信につながりました。その時の協力会社や職人さんたちが苫小牧港の工事で大いに協力してくれたことも、成功の大きな要因です。
 図面とまったく同じ現場などはありません。技術者は積極的に現場に出て、自分の目で現場を見て、協力会社や職人さんの話をよく聞き、現場を体で感じるようにしなければなりません。現場内のコミュニケーションを活発にすると、ピンチの時に協力会社や職人さんがどう動くのかが分かってきます。現場全体をチームとして動かせる技術者になってもらいたい、と若手にはいつも言っています。
 昨年9月の北海道胆振東部地震では、苫小牧港に近い厚真町などが大きな被害を受けました。日本埋立浚渫協会北海道支部は北海道開発局の要請で、緊急支援物資や燃料油の輸送、入浴や洗濯・給水など被災者への支援活動に当たりました。北陸地方整備局に所属する大型浚渫兼油回収船「白山」が苫小牧港に停泊し、こうした支援活動の拠点になりました。
 白山が接岸したのが、私たちが工事をした耐震岸壁です。あれほどの大きな地震だったにもかかわらず、岸壁にはまったく損傷がありませんでした。それを見て何とも頼もしく、また誇らしい気持ちになりました。
 大きな災害が起き、陸上の輸送路が寸断された時に、頼りになるのは一度に大量の物資を輸送できる船であり、物資を陸揚げする港湾です。インフラの老朽化も進む時代ですが、これからも国土の強靱化に貢献していきたいと思っています。
厳寒の夜間にも行われたコンクリート打設
半年の突貫工事の末に完成した岸壁

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