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橋本 勝(はしもと・まさる)氏
 1980(昭和55)年東洋建設入社。千葉県、東京都、茨城県、福島県などの海上・陸上工事に従事。海上と陸上工事の割合はほぼ半分。1998(平成10)年東北支店土木部工事課長、2000(平成12)年本社土木部工事課長、2005(平成17)年東京支店土木部長、2009(平成21)年北海道支店長、2012(平成24)年執行役員安全環境部長、2015(平成27)年から現職。北海道美深町出身。58歳。
荒波浪域で求められた大量急速施工
 太平洋の荒波が打ち寄せる砂丘地帯に整備された茨城港常陸那珂港区。常陸那珂港東防波堤築造工事(その3)は、その荒波を遮るための長大な防波堤(延長6,000m)の一部を建設するものだ。重量7,600トンにも及ぶケーソン2函の据付と、ケーソンマウンドの整備が主な工事内容となる。
 「35歳の時、監理技術者としてこの工事に携わりました。重量7,600トンのケーソンは当時国内最大級で、マウンドに投入する捨石量も約20万m3にものぼりました。工期は短く、海象条件が悪い中で急速施工が求められており、施工計画の段階から完成まで気の抜けない現場でした」。
 急速施工では、特記仕様書にマウンドの捨石均し作業は「機械による均し方式」と明記され、1日180m2の均しが要求された。工事が実施された1993(平成5)年頃、マリコン各社は独自の機械均し工法を開発し、施工を開始していた。ただ、荒波を受ける場所での施工例はほとんどなかった。
 「当社が開発したのは着座型タンパ式捨石均し工法です。均し機械を専用母船からワイヤーで吊り下げ、捨石上に4本の脚で着座し、タンパで振動を与えて締め固めるものです。荒波で思うように施工ができないため、現場でワイヤー頂部にショックアブソーバーを取り付け、ワイヤーに緊張を与えて波の動揺をできる限り受けないように改良するとともに、昇降ウインチの巻き出し量を自動制御にしました」。
 均し作業の現場は水深約18m。潜水士1人が本均し作業を行った場合、1日当たり10.3m2しか施工できない。この現場では機械の改良などにより、1日200m2以上の施工ができた。「現場には機械担当者が常駐し、施工効率を上げるために何度も改良してくれました。ケーソン据付が順調にできたのも、均し作業が円滑にできたからです」。
 ケーソン据付は、陸地で製作されたケーソンを専用進水台船(DCL)に載せて、所定の場所で進水させた後、タグボートで据付位置まで曳航して沈設させる。通常サイズのケーソンとは異なり、据付から据付後の中詰砂の投入、蓋ふたコンクリート打設までの一連の作業に4日間かかる。
 「据付日の前日は熟睡もできず、朝3時に起床し、通船で据付海域まで行き、自分の眼で海象状況を確認した上でGOサインを出したのを覚えています。その時から100人以上の作業員が一斉に動きだし、午前中には無事に1函を据え付けました。この工事はそれで終わりでありません。一息つく間もなく、そこから昼夜2日間かけて中詰砂を投入し、蓋コンクリートを打設しました。途中で海象条件が悪くならないよう祈るような気持ちでした」。
 ケーソンは1993(平成5)年12月初旬と中旬に1函ずつ無事に据え付けた。精度も良く、設計通りの位置に据え付けられ、工事も工期内に終えた。「厳しい海域でしたので工程は思うように進まず、日々作業の段取りを考えていましたが、工事が終わった時はその苦労も忘れ、達成感を味わうことができました。若い技術者には、こうしたものづくりの喜びや完成時の達成感を是非味わってもらいたいし、苦労は決して無駄にならないということも知ってもらいたいと思います」。
ケーソン専用進水台船(DCL)でケーソンを曳航
着座型タンパ式捨石均し機械。1 日に200m2以上の均しを実現

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