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保坂 幸則(ほさか・ゆきのり)氏
 1980(昭和55)年に株木建設入社。すぐに現場に配属され、10年以上茨城県内を中心に陸上工事に携わり、35歳の時に初めて港湾工事を担当。その後、陸上・港湾の両方の工事を担当。茨城県外では和歌山県日高港の港湾工事にも携わったことがある。好きな言葉は「志有る者は事ついに成る」(後漢書)。東海大学工学部土木工学科卒。茨城県出身。58歳。
人の和を大事にする
 1980(昭和55)年に入社してから35年間、現場一筋。担当した現場にはそれぞれの思い出があるが、3年半という長期間にわたって現場を担当したのは一つしかない。それが東京電力から受注した常陸那珂火力発電所土地造成工事(うち埋立工事)。「初めて港湾工事を担当したのが、この埋立工事の前段となる護岸工事だったこともあり、印象深い現場になりました」。
 埋立工事の造成用地は約141ha。埋立総土量は約1,600万m3を誇る。「茨城県が発注した土取り工区からベルトコンベアで搬送された土砂で、私どもの埋立工区が埋め立てていくというものです。1996(平成8)年に工事着手し、私は現場三役のひとつとなる災害防止責任者を担当しました」。
 埋立工区は地元企業で構成し、当社がスポンサーを務めるJVで施工した。1日当たりの施工土量は約2万5000〜3万m3。ベルトコンベアを300mずつ延長しながら、繰り返し先端部のスプレッダから土砂をはき出し埋立工事を進めていった。
 「最大水深が20mありましたから、最初は土砂を埋めても埋めても土が積み上がっていかない感じでした。稼働時間は昼間だけでスタートしたのですが、出来高が上がらないため、作業時間を午後10時まで延ばし、昼夜二交代制で1日16時間施工しました。夜間はライトを点灯しているのですが、安全担当者としては暗いところの作業で心配事も増えました」。
 安全面で気をつけないといけないのが、土砂を入れたばかりの埋立地が円弧状に滑って海中に出てしまう、いわゆる〝円弧すべり〟。地割れなどの予兆はあるものの、重機などがその上にあれば一緒に海中に滑り出てしまうこともある。
 「発注者との安全事前評価で、円弧すべり対策として『一山残し基本ルール』というのを決めました。これは埋立部先端に大きな山をいくつも造成し、それを押さえにしてその後に手前の山をブルドーザ(49トン級)で薄層にて海方向にまき出しをかけるというものです。これで円弧滑りを防ぎました」。
 ただ、夜間作業時はブルドーザによる押土は行わず、昼間も重機合図員を配置して押土合図や周辺地盤を入念に確認しながら、慎重に作業を進めていった。
 「工期は3年間の予定だったのですが、結局3年半かかり、2000(平成12)年3月に無事故・無災害で完成しました。発注者から安全施工に対する姿勢が評価され、表彰を受けた時はうれしさと、工事を無事やり遂げた満足感、達成感でいっぱいでした」。
 今も現役の現場マン。現場ではいつも笑顔を絶やさないように心がけている。長年現場を担当してきて、笑顔のある明るい職場環境づくりが、現場の雰囲気を良くし、辛い仕事もいつの間にか楽しいと思えるようになると確信している。
 「現場には大勢の人がいます。その一人一人が和を大切にし、コミュニケーションを取っていけば、良い仕事に必ずつながっていきます。そんな職場づくりの第一歩が、私自身がどんな時でも笑顔を絶やさないことだと思っています」。
常陸那珂火力発電所土地造成工事(うち埋立工事)の完成間近の現場
円弧すべりを防ぐ「一山残し基本ルール」の施工現場

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