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五栄土木株式会社
自航式ポンプ浚渫船「CASSIOPEIA V」浚渫長
梅林 栄(うめばやし・さかえ)氏
 大学で機械工学を専攻し、ポンプなどを扱うエンジニアを目指していた。五栄土木に就職したのは就職指導の担当者に進められたのがきっかけで、それまで作業船がどのようなものなのか、知らなかった。
 入社すると、機関員ではなく甲板員に。「1年目は大変でした。深層混合処理船やポンプ浚渫船に配属となり、運転保守やドックでの修理作業など、7回も異動しました。仕事が変わるたびに覚えることが山ほどあり、がむしゃらに仕事しました」。
 2年目にシンガポールで稼働していた世界最大級の自航式浚渫船「ANDROMEDA V」に乗りこむことになった。「初めて乗船した時、船の大きさと、工事のダイナミックさに圧倒されました。人生観が変わりました」。
 同船は低速で航行しながら海底に接地させたドラッグヘッドを通じて浚渫ポンプにより海底の土砂を海水とともに吸い込み、船内のホッパー(2万㎥)に土砂を積載して運搬するドラグサクション浚渫船。乗組員は約40人で、うち日本人は15人程度。「最初は言葉の壁がありました。英語で指示を出さないと外国人には伝わりません。そのため仕事が終われば自室で英語を勉強し、カタコト英語でいろいろな人に話しかけました」。
 赴任して2年目に甲板員からオペレーターに就いた。「土砂吸入口の上下動やポンプの回転など電子制御されたものが多く、それをどうコントロールすれば良いのか、試行錯誤しながら操作を覚えました。徐々に効率的なオペレーションができるようになりました」。同船には9年間乗船し、マレーシアやドバイ、インドネシアの工事にも従事した。
 その後、3年間ほど国内の浚渫工事や地盤改良工事などに携わり、2013年5月に世界最新鋭の設備を備えた自航式ポンプ浚渫船「CASSIOPEIA V」の浚渫長に就任した。
 「シンガポールに建造途中から赴任し、完成後すぐに稼働できるように試運転などを半年間繰り返しました。船には特徴やクセがあります。この船の仕様はベースがヨーロッパなので、それに早く慣れるように努めました」。
 同船は主にシンガポールやマレーシアの港湾工事に投入されていたが、2017年からバングラデシュのマタバリ超々臨界圧石炭火力発電事業で稼働している。「もともと陸地だった場所に港湾を造るための浚渫工事(-15m)を行っています。この船は必要な基本データを打ち込めば自動で運転できます。ただ、複雑な地盤の変化などを把握し、状況に合わせて効率的な浚渫を行うには、自動運転では対応できない部分があるため、私は手動で操作しています。今後も日々ひたむきに技を探求していきたい」。2019年12月に一時帰国。その後、コロナ禍でバングラデシュに戻れなくなり、現在ポンプ浚渫船「駿河」に乗船し、小名浜港(福島県)の浚渫工事に携わっている。これからの目標を聞くと、「今も後輩の指導や仕事の段取りなど自由にやらせてもらっていますが、自分がすべての責任を負って仕事ができるようになりたい。将来的にはやっぱり船長が目標です」。
日本国内初の自航式ポンプ浚渫船「CASSIOPEIA V」
自航式ポンプ浚渫船「CASSIOPEIA V(カシオペアファイブ)」
【主要諸元】
総トン数5,903GT、全長123.20m、幅23.0m、深さ9.27m、満載喫水5.0m、浚渫深度-6m~-32m、
浚渫ポンプ(船内)出力2×4,000kW、浚渫ポンプ(水中)出力2,800kW、運航速度10.8knots。
 2014年8月に建造。全旋回型推進器を搭載しているため、自ら航行し移動することができる国内初の自航式ポンプ浚渫船。大容量浚渫ポンプを搭載し、大量・長距離の土砂搬送ができるほか、大型カッターラダーと高性能カッター駆動装置の搭載で岩盤掘削でも高い能力を発揮する。自船のみでアンカーを打ち替えることもでき、狭隘なエリアでも施工ができる。


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