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株式会社小島組
グラブ浚渫船「第381良成丸」船長
小川 知也(おがわ・ともや)氏
 2015年から約3年半、シンガポールのトゥアスコンテナターミナル建設プロジェクト浚渫工事に、小島組のハイブリッドグラブ浚渫船「第381良成丸」と共に携わった。同社が保有する世界一のグラブの大きさを誇る浚渫船「五祥」と、重鍾式グラブ昇降システムの浚渫船「第661良成丸」と一緒にベルギーのDIAP(Dredging International Asia Pacific Pte Ltd)の下で工事に参画した。
 「グラブ浚渫船3隻は当社がDIAPにリースしたもので、指導員という形で派遣されました。海外勤務は初めてで、最初は言葉の壁に悩みました。我々の船が最初に乗り込み、ベルギー人などの外国人クルーらに操作方法を教えたのですが、コミュニケーションがうまくいかず苦労しました」。
 ヨーロッパはドラグサクション浚渫船やポンプ浚渫船が主流で、グラブ浚渫船の操作には慣れていない。さらに現場は堅い岩盤で、思うように浚渫土量が確保できず、試行錯誤が続いた。「会社から船を預かっている立場なので、無茶な操作をされては困る。それで通訳を通さず、片言の英語で掘り方など繰り返し説明するうちに、我々の技術力を認めてくれ、頼りにしてくれるようになりました。そこまで半年かかりました」。
 その後、工事は順調に進み、2019年2月末に日本に帰国した。「シンガポールの仕事は苦労も多かったけど、良い経験でした。言葉の通じない外国人クルーに掘り方を教えるには、相手が納得するまでていねいに説明するしかありません。教えるためには自分自身が初心に戻ってきちんと理論を咀嚼しないとできない。良い勉強になりました」。
 浚渫船に乗ったのは、26歳の時。叔父の紹介で小島組に入社し、すぐに第161良成丸(現第18おかむら丸)に乗り込んだ。オペレータを2年、機関長を10年務めた後、40歳前に同船の船長に。2年後には新造船の話が出て、いまの「第381良成丸」の船長に抜擢された。「入社した頃は船員の大半が50歳以上の方々で、優しく接してもらいましたが、船の中での共同生活はつらかった。ただ、浚渫の面白さはありました」。
 浚渫は潮の流れや地質、バケットの入れ方などで、出来高や出来映えが違ってくる。いろいろなことを考えながら作業していると、ある日こうすれば効率的に掘れるというのが分かるという。「各種の計器を見ながら水の中のバケットの動きをイメージできるようになるんです。例えば15回掘るところを14回で済めば作業効率は格段に上がる。たかだか1回ですが、されど1回。浚渫作業は奥が深く、常に学びの気持ちが大切です」。
 現在、衣浦港(愛知県)で床掘り工事を行っている。船員は普段8人程度だが、新人研修を兼ねて11人が乗船している。「これまで浚渫作業で得たノウハウをすべて若い人たちに伝えていきたい。安全な作業はもちろんですが、浚渫作業の面白さが分かってくれるようになってくれればうれしいですね」。
ハイブリッドシステムで油圧式に比べ燃料を約3割削減
Hybridグラブ浚渫船「第381良成丸」
【船体概要】全長67m、全幅26m、喫水2.7m、グラブバケット容量23m3、浚渫水深-85m、浚渫機最大吊上荷重160t、ジブ長さ32m、作業半径17.3~24.7m、スパッド2本、アンカー(JISF3301ストックレス6t)4丁
【特  徴】 グラブ巻き下げ時に発生するエネルギーを蓄え、グラブ巻き上げ時に利用する「Hybrid System」を搭載。燃料消費量を25~30%低減できる。運転席に設置されたタッチパネルで作業状況に応じた数値等を入力するだけで自動制御により掘削・旋回・積込みを行える「自動運転システム」や、薄層浚渫を可能にし、汚濁拡散を抑制できる「密閉ワイド型グラブバケット」なども搭載している。


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