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寄神建設株式会社
起重機船「洋翔」 船長
岡嶋 浩司(おかじま・こうじ)氏
 寄神建設が所有する起重機船の中でも2番目の大きさを誇る4,000t吊り起重機船「洋翔」。業界初の「ジブ・スライド格納式」を採用し、厳しい海象条件の中でも航行できる自慢の起重機船だ。その船長に2019年7月着任した。
 洋翔が建造されたのは2010年。海上の現場で作業をするのは年間の3分の1ほどだが、作業がない間も、滑車やローラーの定期的なグリスアップや塗装の塗り替えなど入念なメンテナンスが欠かせない。建造当初からこの船に乗り、甲板長、副船長を経ての船長昇格だけに、洋翔への愛着は人一倍だ。
 寄神建設の地元、神戸の出身。工業高校を出て歴代の先輩たちが入ってきた同社に入社した。特に海の仕事に興味があったわけではなかったが、国内外各地の現場を回っているうちに、この仕事の面白さに目覚めた。寄神建設では、作業船の建造を設計段階から自社で手掛けている。高性能の作業船には海外の企業からも購入希望が寄せられる。そうした売却先の中国の企業で3カ月ほど技術指導に当たった経験もある。
 家族と離れての長い船上暮らしになることも少なくないが、「自分たちの仕事で海上に大きな構造物が出来上がった時の達成感とやりがいは、何物にも代えられません」。
 海上で仕事をする際に常に心掛けているのは、まず安全第一で作業を進めること、もう一つがコミュニケーションを活発にすることだという。特に作業中は、船上で作業員に指示を伝える甲板長との意思疎通が最も重要。船長と甲板長の息がぴたりと合って初めて仕事はスムーズに進む。
 洋翔に乗る部下は11人だが、作業時には他船からの応援作業員も含め総勢18~19人を指揮する。部下は40~50代と20~30代がほぼ半々という。「今の若手はポジティブで前向き」と評価する。若手にはいつも「言いたいことがあれば何でも言ってくれ」と呼び掛けている。それがコミュニケーションを活発にする第一歩と考えるからだ。
 現在48歳。「今の目標は?」との問いに「一人前の船長になること」と答える。「現場で大事なのは、刻々と変わる状況に臨機応変に対応すること。何があっても、あわてず、冷静に、的確な判断ができるかどうか。多くの現場を踏んできた先輩たちの仕事を見ていると、自分はまだまだ半人前だと感じます」。
 この仕事で「一番に物を言うのは経験」。自身の伸び代を信じ、さらなる成長を目指して現場へ出る。
厳しい海象条件下でも航行できる「洋翔」
4,000t吊りジブ・スライド格納式
起重機船「洋翔」
【船体部】長さ120.0m、幅44.0m、深さ7.0m、喫水(最大荷重時平均)5.7m、最低高さ(水面上)57.0m
【起重機部】形式:ジブ起伏式、主巻:定格荷重4,000t(1,000×4)、アウトリーチ前側フック30.7m、後側フック21.0m、巻き上げ高さ前側フック126.5m、後側フック95.1m、巻き上げ速度2m/分、補巻:定格荷重15t×8台、10t×2台、巻き上げ速度45m/分、35m/分、主原動機2台、補助原動機2台
【機関部】操船ウインチ4台、アンカーウインチ6台
【甲板機械部】ウインドラス3台、呼込ウインチ3台、曳航ウインチ2台


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