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大旺新洋株式会社
第三十六龍王丸 船長
川上 克巳(かわかみ・かつみ)氏
 太平洋の荒波が打ち寄せる茨城県・鹿島港。港湾工事の関係者の間では全国でも海象条件が最も厳しい港の一つとして知られる。第三十六龍王丸を率いてここの現場に乗り込んだのは昨年。水深14mの航路・泊地を整備する浚渫工事に当たっている。厳しい自然が相手の仕事では、思い描いたスケジュール通りには作業が進まないことも少なくないが、それだけに「うまくやり終えた時の充実感と達成感はひとしお」と頬を緩める。
 高知県出身。地元の高校を出てすぐこの世界に入った。幼い頃から海に親しんで育ったが、海の工事は当時、今にも増して広く知られた仕事ではなかった。それでもこの仕事を選んだのは「あちこちいろいろな所に行けそうだったから」と振り返る。それから42年。国内各地の港はもちろん、遠くはロシア・サハリンの港の工事にも携わってきた。
 1996年に建造された第三十六龍王丸の2代目船長に就任したのは1999年。以来、サハリンのホルムスク商業港の航路浚渫工事や横浜港の第三海堡撤去工事など大規模な難工事に、この船を率いて挑んできた。「一年のうち、家に帰るのは盆と正月とあと1回ぐらい。350日は船で暮らしている。休んでいる間も、頭の中には常に船のことがあります。どうしても気になってしまいます」と語る表情に、苦楽を共にしてきた船への愛着がにじむ。
 船員は現在9人。「みんな家族かそれ以上の存在」と言うのは、息子のような20代の若手が3人もいるせいもあるようだ。「今の若者はパワーもあるし、はっきりと物を言う。のみ込みも早く、修理なども器用にこなす」と目を細める。もちろん、若手に足りないのは経験。「まず自分でやって見せてから、あとは失敗も含めてできるだけ多く、あまり間を置かずにいろいろ経験を積ませる」。それが教育方針だ。「やっているうちにだんだん面白くなってくるのがこの仕事。後に続く若者にそこを伝えたい」。
 「ベテランと若手の力をうまく融合させ、良い仕事をして良い結果を出すのが今の目標」と言う。元請から「よくやってくれた」とねぎらわれるのが何よりの励み。「次の工事も頼む、と指名された時は船長冥利に尽きます」。
 昨年3月に還暦を迎えたが、まだしばらくは、頭の中に「リタイア」の文字はないようだ。
浚渫作業中の第三十六龍王丸
第三十六龍王丸
【総トン数】2,881t
【船質】
【船体寸法】長さ:65.0m、幅:25.0m、
深さ:6.0m、スパッド長:38.0m
【浚渫】グラブ容量:36㎥、硬土用:15㎥、
砕岩棒:50t、深度:85.0m
【浚渫量】1,260㎥/h
【全旋回クレーン】吊り能力:111.0t、積載量:4,935t
【進水】1996年5月
【備考】GPS:有、サイドスラスター:有


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