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五栄土木株式会社
船舶部機関長
岡村 光洋(おかむら・みつひろ)氏
 国内最大級の作業能力を誇るポンプ浚渫船「駿河」。その心臓部であるエンジンや発電機、ポンプといった機関を守る責任者として12人の部下を束ねる。8,000馬力(PS)を超える大型エンジン2基を搭載した浚渫船の正常運転を維持し、万全なメンテナンスで工事を順調に進めることが「機関長として最大の使命だ」と語る。
 現在配備されている福島・小名浜港の航路・泊地浚渫現場は24時間体制で工事を実施。「海底の地盤が非常に固く、過酷な条件で浚渫船を稼働させている。機械に大きな負荷が掛かっているだけに、夜に携帯電話が鳴ると『もしかして船に何かあったのではないか』と、つい思ってしまう」と、緊張感を持って仕事と向き合っている。
 機関士は経験がものをいう仕事。一人前と呼ばれるには最低でも10年程度の時間が必要という。「振動や音、温度の微妙な変化を感じ取り、故障を未然に防ぐ。油まみれが当たり前で、働く環境は決して良いとは言えない。きつい仕事かもしれないが、その分やり甲斐は大きい」と話す。
 機関士として五栄土木に入社してから22年。国内はもちろん、東南アジアや中東の現場にも赴任し船の心臓部を守るという使命を果たしてきた。最も重要なのは、工期内で工事を無事に完了させるという目標を達成すること。機関士として「大きな故障を発生させず、発生しても決められた時間内に修理し決して工事に影響を与えない」ことに、意地と誇りを懸け続けてきた。仕事にやり甲斐を感じるのは「オーバーホールをやり遂げて、エンジンなどが何事もなく息を吹き返した時」。修理に必要な部品が手に入らなければ、自作することもあるそうだ。
 駿河に配属されている12人の部下は20代、30代の若手〜中堅世代がほとんど。故障なく船を運用するという仕事以外に、会社の将来を担う人材を最前線でしっかり育てることも、自らに課せられた責務だと認識している。
 「機関士には広い知識が必要で、日々の勉強が欠かせない。トラブルが発生した場合はまず、自ら対応するのが基本になる。私がこの仕事に就いたころは、現場で先輩の仕事を見て、ノウハウを身に付けることが当たり前だった。けれども今はそういう時代ではない。親身になって教え、次の世代をしっかりと育てる。そのことに心を砕いている」。
 ポンプ浚渫船は目視できない海底を掘り、計画通りに仕上げる経験と腕が必要な世界。機関部だけでなく甲板や施工など社内の他部門とも綿密に連携しなければ、質の高い仕事はできない。「すべての関係者が追い求めるのは工事の無事完了。故障なく工事が終えられると肩の荷が下り、なによりもホッとする」と笑顔で話す。
ポンプ浚渫船「駿河」
【主要項目】 満載排水トン数5,850t、全長119.0m、
船体長80.0m、全幅19.4m、深さ5.6m、
平均喫水4.07m、最大浚渫深度32.0m
【主要設備】 全装備機関出力1万6,900PS(1万2,430kW)、
カッター出力1,500kW、主ポンプ出力6,000kW
国内最大級の非航行式鋼製箱形ポンプ浚渫船で、1972年に石川島播磨重工業(現IHI)が建造した。8,000PSのエンジンを2基搭載。1時間で600m3以上、25mプール2杯分に相当する土砂を浚渫する能力を持つ。


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