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大新土木株式会社
船舶管理部船団長「第27大博号」船長
米田 久夫(よねだ・ひさお)氏
 叔父さんが大新土木で船長を務めていた縁で1990(平成2)年、26歳の時に入社した。浚渫船に乗り込み最初に任されたのは、正確な施工に不可欠な光波測量の仕事だった。
 「はじめは位置決めが何かも分かりません。船に乗り込みとにかく仕事を一から覚えました。船内での生活になかなか慣れず、陸に上がりたくて仕方がなかったですね」と、若かりし日の自分を振り返る。朝から晩まで仕事漬けの日々。重圧に負けそうな気持ちを奮い立たせたのは「自分がしっかり稼いで家族を支えなければだめだ」という思いだった。
 入社2年目でいったん浚渫船を下り、社内で別の仕事に従事。1996(平成8)年に第27大博号が竣工したのと同時に現場での仕事に復帰し、それから21年という長い月日を大博号と共に過ごしてきた。
 「この船は会社で一番最初にGPS装置を搭載しました。最初は甲板長としてGPSの操作を任されました。半年後には初代の船長が定年退職され、1997(平成9)年の3月から2代目の船長として指揮を執り始めました」。
 船長としていつも心掛けているのは「仕事でよその船には絶対に負けたくない、負けない」という強い気持ちを持ち続けること。全国で稼働する浚渫船の多くが27m3のグラブバケットを搭載する中で、大博号はひと回り小さい18m3で作業に当たる。「現場の移動を含めて仕事のスピードは大博号が日本一だと自負しています。仕事は段取りと要領で決まります。無駄を省くには何をしなければいけないのか。若い船員にはこのことをしっかりと考えてほしいですね」と話す。
 社内では仕事に対し厳格な船長で有名だそうだが、経験を積んだ今でも「操船は緊張するし翌日の仕事が心配になって寝られないこともある」という。風速や風向、潮流を頭に入れて出航前に操船をシミュレーションする。安全を第一に考え、自信を持って仕事と向き合うためのルーティーンは、経験を積みながら自分自身で固めていった。
 ベテランの域に入った今は、次の世代を育てることも重要な仕事の一つ。後進の指導では「自分の仕事ぶりを見せるのではなく、とにかくやらせて見守ることが大切だ」と考えている。モットーは「習うより慣れろ」。若い船員には「常にイメージを持って頭と身体の両方で仕事を覚え込めと言っています」。
 最前線で指揮を執りながら、少しずつ成長していく後輩たちの姿も見守り続ける。仕事に対する真摯な姿勢は、長い現場での経験によって培われてきた。「うちの船はよほどのことがない限り、仕事は早めに切り上げる。メリハリを付けることは結果として、効率良く仕事を行うことにつながると考えています」。
グラブ式浚渫船兼起重機船「第27大博号」 船体寸法=全長56.0m×幅21.6m×深さ4.0m、喫水2.0m、総トン数1,708t
浚渫仕様=グラブバケット容量18m3、浚渫深度ー50m、直巻能力70t
起重機仕様=定格総荷重160t、作業半径37m
 3本のスパッドで船体の前進・後進を俊敏に行い、他船に負けない作業効率を誇る。船のメンテナンスにも船長をはじめ乗組員が積極的に関わり、仕事がしやすい環境づくりに気を配っている。


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