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寄神建設株式会社
グラブ式浚渫船「第11神星」船長
平岡 芳和(ひらおか・よしかず) 氏
 1989(平成元)年に寄神建設に入社した。その5年前から同社の協力会社で海上工事に携わっていたが、その時はこの仕事を続けるかどうか悩んでいた。「入社時に踏ん切りがつきました。この会社に長いことお世話になっていますが、いまは海の仕事は自分にあっていたと思います」。
 入社後に最初に乗船したのは杭打船「柏神」。甲板員として瀬戸内海や東京湾などの岸壁の杭打工事に従事した。次に乗ったのが全旋回式起重機船兼杭打船「神翔1600」。その時は甲板長に昇進し、デッキからブリッジにいる船長に船の位置や杭の角度などの合図を懸命に送ったという。「ブリッジは見透しが悪いので、船長に的確な合図を送るよう心がけていました」。
 入社8年目の39歳の時、全旋回式起重機船兼杭打船「神翔300」の船長になった。「当初、プレッシャーを感じていました。現場では『寄神』という看板を背負って、自分がすべての責任を負わなければなりません。その重責で、今は止めましたが、1日4箱もタバコを吸っていました」。
 杭打工事の経験が豊富だが、今では起重機や浚渫の施工にも自信がある。「船長になってからはいつも仕事のことばかり考えています。乗組員が何かを聞いてきたら、すぐに答えられるように次の次の〝段取り〟までは頭に入れています。乗組員をまとめていくには船長が自信を持っていることが大切です」。
 
 4年前に「神翔300」は改造され、日本初のハイブリッド機能と全自動運転システムを搭載したグラブ式浚渫船「第11神星」(27m3)に生まれ変わった。起重機や杭打の多目的な機能はそのまま残され、起重機などとして使う時は「神翔300」の船名を今も使っている。
 「ハイブリッド機能は回生エネルギーと蓄電池システムを利用したものです。バケットの巻き下げは重力で落とせます。この巻き下げ時のエネルギー(回生エネルギー)を蓄電し、巻き上げ時にエンジンの動力エネルギーと組み合わせて使っています。これによりエンジンの動力エネルギーは従来の3分の2程度で済んでいます」。
 もう一つの特徴が浚渫操作の完全自動化。改造後に最も変わった点を聞くと、「タッチパネルに必要なデータを打ち込むだけで、バケットの巻き下げからバージへの積み込みまで完全に自動化されています。薄層浚渫も可能で、だれが操作しても仕上がりが良く、効率的な施工ができます」。
 機械化や自動化が作業船にも波及しているが、人力に頼る作業もある。「自動化でいくら精度の良い仕事をしても、事故を起こしては何もなりません。とにかく、乗組員にケガをさせないことが私の最大の役目です」。

グラブ式浚渫船「第11神星」
27m3級グラブ式浚渫船「第11神星」  国内初のハイブリッドシステムと最新全自動操作システムを採用。浚渫時のバケットの巻き上げ動力に、巻き下げ時の回生エネルギーを蓄電し、エンジン動力と併用して利用する。浚渫作業が必要データを打ち込むことで、完全自動化を実現した。一般社団法人国土技術研究センターの第16回国土技術開発賞を受賞している。
【工事名】 長さ(全長)61.5m、幅(型)24.0m
【甲板機械】 スパッド4基(固定スパッド2基、歩行スパッド2基)、操船ウインチ10t×6台
【浚渫機械】 浚渫深度60m(水面下)、作業半径18〜21m、巻上荷重110t


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