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株式会社吉田組
本社東京事業部浮体式ウインドファーム
実証研究事業(福島沖)工事事務所長
宮本 輝男(みやもと・てるお) 氏
 1994(平成6)年に㈱吉田組に入社した。「土木工事でも特殊な工事をやりたいと思っていました。それに瀬戸内海の家島が血筋で、幼い頃から同郷出身の吉田組は知っていましたから、入社は自然の流れでした」。入社後に配属されたのは海洋土木工事を担当する大阪支店第1工事部。そこでケーソンの製作や据付、浚渫、桟橋、基礎工などに携わった。「第1工事部には2007(平成19)年12月まで籍をおいたのですが、いろいろな工事を経験させるという会社の方針もあり、陸上土木工事も少し担当させてもらいました」。
 
 2008(平成20)年1月、吉田組のグループ会社である(株)吉田組船舶に転籍。作業船の運行計画や管理を行う運行部に配属され、吉田組の看板船である大型起重機船「第50吉田号」を担当した。「運行部の仕事は一言で言うと、施主と船長の橋渡し役です。例えば吊荷に合わせ、ワイヤリングや吊り点、船体状態、作業半径、揚程などを検討・計画し、作業が困難な場合はそれをどうクリアしていくのか、船長や施主と相談しながら進めるという仕事です。可能な限り各種データを用意し、こうすれば起重機船で効率的に作業できるという提案をしています」。
 現在担当しているのは、福島沖の「浮体式ウインドファーム実証研究事業」の一部となる工事。経済産業省から委託されて、商社や大学、ゼネコン、メーカーなどで構成するコンソーシアムが進めている洋上風力実証事業第二期工事のうち、浮体構造物のチェーン・アンカー敷設と把駐力試験、係留などを行う。「1期工事も東京事業部に配属され、同様の工事を担当しました。今回は5MW(メガワット)の浮体構造物を6本のチェーン・アンカーで係留するのですが、そのアンカーの打ち込みと、アンカーと浮体構造物を結ぶチェーンの展張(敷設)、波浪時などでもアンカーやチェーンが耐えられるかどうか、チェーン同士を引っ張り合う把駐力試験を自社保有の台船『第二芳洋』を使って行っています」。
 すでに1本700m以上のチェーン(φ132mm)のうち、5本の展張を終了。「明日(9月5日)、6本目を展張します。水深120mのところにアンカーを打ち込むのですが、ROV(水中カメラ)で打ち込み姿勢や向きなどを確認しながら作業をします。アンカーに取り付けられたチェーンも同様に直線度や回転などをカメラで見ながら台船から少しずつ押し出していきます」。

50室ある住居区や各種の計測機器などの特殊装置を取り付けた1万3,600トン積み台船『第二芳洋』
 把駐力試験は対の位置にある2本のチェーンを台船に設置した特殊な装置に取り付け500トンの力をかける。「500トンの力をかけた状態で15分保持し、チェーンの変動や数値の変化を見るのですが、この時に高波などがきて船体が大きく上昇すると余計な力がかかりますので、気象や海象の情報に細心の注意を払い、作業を行う予定です」。
 係留作業は来年、浮体構造物が曳航された後に行う。「こうした工事の事例が国内に少なく、自分たちでいろいろなことを考え、使用する機械や施工方法などを提案しています。台船の艤装も考えました。真似ることができないため、大変なことが多いのですが、それだけ面白さもあります。これからもだれも経験していないような工事に挑戦したいと思っています」。


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