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ヤマト工業株式会社
グラブ式浚渫船(砕岩兼用)「八宝耀(はちほうよう)」 船長
村枝 洋幸(むらえだ・ひろゆき) 氏
 実家が長崎県佐世保市で海運業を営んでいたため、18歳の時に何の迷いもなくガット船に乗った。船乗りは祖父、父と3代続く。「作業船に乗るのは自然な流れで、まったく戸惑いはありませんでした」。
 ガット船に乗り、クレーンオペレータなど各種の仕事を少しずつ覚えていったが、すぐに転機が訪れる。22歳の時、オイルショックで海運業界が大きな打撃を受け、父親の海運会社は廃業となった。このため、地元の港湾工事などを行う建設会社に就職した。
 「当時、クレーンのバケット容量は2m3や4m3の規模で、クレーンオペレータが船長を務めるのが一般的でした。私はガット船でオペレータをやっていましたので、すぐに船長を任されました」。
 地元の建設会社で約20年間、グラブ式浚渫船などに乗り、その後産業廃棄物の運搬船にも乗った。現在のヤマト工業㈱に知人の紹介で入社したのは2003(平成15)年1月のこと。「入社後からずっとこの船(八宝耀)に乗っています。この船はバケット容量が25m3。いまはもっと容量の大きいものも出てきていますが、これがほぼ標準的なサイズ。初めてオペレータをした時に比べると、随分バケットも大きくなりました」。  浚渫する際の各種の計測機器や作業管理システムなども大きく進歩した。「GPS船位測定装置や超音波式ソナーなどが導入されたことで、浚渫作業の精度は随分上がったと思います。もちろん経験や腕がものを言う世界であることは間違いありませんが、計器を見ながらそれに沿った形で作業ができれば、やる気さえあればある程度のレベルまでいきます。大切なのはこのレベルで良いと思わず、さらに高みを目指すかどうかです」。
 40数年間、作業船に乗り続け、北海道から沖縄まで国内各地の港湾・漁港で泊地や航路などを浚渫してきた。各現場にさまざまな思い出があるが、東日本大震災後の2012(平成24)年に仙台・塩釜港での航路浚渫工事は特に印象深い。「浚渫していて不発弾が見つかることはよくあるのですが、この時は周辺海域の磁場探査をもう一度行うというので、工事が1カ月半も止まりました。工期がぎりぎりとなり、その後の作業が大変でした」。
 「八宝耀」の船員は現在、船長を含め8人。一番若い船員でも40代。後輩を育てていくのも、これからの仕事の一つとなる。「若い人はいろいろな可能性を秘めています。何事でも一歩前に踏み出して取り組む気持ちが大切ですが、年齢を重ねるとそれも難しくなります。私は還暦を迎えましたが、いつももう一歩先にと思いながら、操船を素早く行い、どうすれば効率的に浚渫ができるのかを考えています。若い人にもそうした気持ちを伝えていければと思っています」。 「好きな仕事をして、こんな賞をいただけるとは思いもしなかったので、うれしかったです」。作業船に乗る時、いつも心がけていることがある。一つは安全に仕事を行い船員を無事に家庭に戻すこと。もう一つは船員にいろいろなチャンスを与えること。
 「特に若い人たちには1日10分でもいいからオペレーターをやらせたり、いろいろなチャンスを与えたりしたい。私も先輩方に多くのチャンスを与えてもらってここまできたのですから。浚渫の仕事は答えが一つではありません。経験すればいろいろな答えを導くことができるようになる。それがどんな条件でも施工ができるようになるコツかもしれません」。


グラブ式浚渫船(砕岩兼用)「八宝耀」
グラブ式浚渫船(砕岩兼用)「八宝耀」
船体寸法 全長 60.0m
 幅 24.0m
深さ 4.0m
喫水 2.2m
浚渫機能 直巻能力 100t
巻上ロープ速度 毎分0〜60m
巻下ロープ速度 毎分0〜80m(重量型0〜55m)
浚渫深度 水面下50m
グラブバケット 25m3
起重機仕様  定格総荷重 100t×24.4m
 作業半径 14.7〜29.5m
 大型グラブバケット(25m3)や硬度盤グラブバケット(9m3 )、砕岩用重錐30tを装備するとともに、全旋回クレーン能力100tも可能。3本のスパッドを備え、船体の前進・後進は船尾スパッドの±15 度傾斜キック力で敏速に行える。

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