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日起建設 株式会社 東北支店
相馬港沖防作業所 所長
髙杉 学(たかすぎ まなぶ) 氏
 32歳の時、一念発起して港湾工事の世界に入った。「それまでは保険会社で営業職をしていたのですが、親父が建設業を営んでいたので、何となく建設業をやってみたいと思ったんです。それでどうせやるなら、好きな海にかかわる工事がしたい」と思い、港湾工事の会社に入社した。
 文系の学校を卒業し、何の資格も技術もないまま港湾工事の道に入ったが、最初は船酔いがひどく、まともに作業もできなかった。それでも忙しい仕事の合間を縫って、資格取得に向けた勉強に取り組んだ。今では港湾工事に必要な資格はほぼ取得し、10年前から所長として現場も任されるようになった。
 現在担当しているのは、相馬港本港地区防波堤(沖)(災害復旧)消波ブロック据付工事。東北地方太平洋沖地震の津波で被災した相馬港沖防波堤の外港側に消波ブロックの据付を行っている。
 震災時に相馬港沖防波堤工事を担当していて、もうすぐ完成という時に被災した。自分がこれまで工事してきたものが、一瞬のうちに壊れたのを見て、複雑な気持ちだった。ただ、沖防波堤が津波の侵入を和らげたと聞き、少し安堵した。
 沖防波堤は、ほぼ全てのケーソンが内港側に動き、外港側にあった消波ブロックは引き波で広範囲に飛散した。その散乱した消波ブロックを水深−14〜−16mのところから一個ずつ引き上げ、元に戻し、足りない消波ブロックは新たに製作して据え付けている。
 飛散した消波ブロックの位置をナローマルチビームで確認し、GPSで正確な座標を調べて3本ツメのバケットで海中から1個ずつ引き上げている。「消波ブロックは国有財産ですから、手間がかかっても再利用するのは当然です。それにこの辺りは良好な漁場。消波ブロックが残っていたら、漁師さんたちが底引き網漁ができなくなります」。
 2013(平成25)年に入り、すでに1,412個の消波ブロックを引き上げ、所定の位置に設置。現在は新設の消波ブロックの製作、据付を行っている。2013年内にはその作業も完了する予定だ。
 「相馬港は海象条件が厳しいところですので、安全管理を徹底しています。職員が朝出社し、仕事を終えて無事に帰る。見えない海の中で作業することが多いため、技術的に難しく、危険も伴う。それだけにこの当たり前のことを毎日確実に行うのが私の最大の役目だと思っています」。
 未知の世界だった港湾工事に携わり、20年以上が経過した。「何も知らない私を先輩たちがいろいろ教えてくれました。今度は私がその教えを伝える番です。現場でのプランニング能力を高めるには経験を積むしかありません。若い人たちには、できるだけ多くの現場を経験させたい」。
相馬港の消波ブロック海底飛散状況(ナローマルチ解析画像) 消波ブロックの設置を進める「ぶるまん300」

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