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深層混合処理船 「黄鶴(こうかく)」機関長
信幸建設 株式会社
武藤 憲雄(むとう のりお) 氏
 2010(平成22)年3月に信幸建設の親会社である東亜建設工業が新造した深層混合処理船(CDM)「黄鶴」。その機関長を務める。「建造後3年が経ちましたが、まだ試行錯誤しています。作業船にはそれぞれクセがありますから、さまざまな機械類の調整をしています」。
 黄鶴は、東亜建設工業が新開発した「作業船ハイブリッドシステム」を搭載した国内初の環境配慮型の作業船となる。二酸化炭素(CO)の排出量を抑えるため、エネルギーの高効率化と自然エネルギーを最大限に利用。発電設備・統合制御装置により、複数の可搬式ディーゼル発電機にかかる負荷を分散したのをはじめ、昇降ウインチを活用した電力回生システム、作業船で使用する電気を発電する際に排出される熱を回収・再利用するコージェネレーションシステム、太陽光・風力発電システムなどを導入している。
 このうち、電力回生システムは、作業船本体から深層混合処理機などを下降させる際、昇降ウインチの回転で発生する電気を発電機側に戻すことで、電気を再利用するというものだ。「このシステムはCO削減には非常に効果があります。ただ、発電機に電気を戻すという負荷もかかりますから、細心の注意を払っています」。
 1973(昭和48)年に東亜建設工業に入社。1994(平成6)年から信幸建設に出向しているが、この40年間陸上勤務は一回もなく、一貫して機関部の一員として作業船に乗り続けている。「これまで浚渫船や地盤改良船など、さまざまな作業船に乗りました。もともとは機械屋ですが、故障が多いのは電気系統。このため、電気の知識は先輩に教わったり、書物を読んだりして、独学で学びました」。周囲からは、機械・電気の両方を熟知したエキスパートとして一目置かれている。
 機関部は、ひとたび故障が発生すれば、作業が止まってしまうため、夜を徹して修理作業することもある。「地盤改良船の故障は時間との戦いです。サンドコンパクション(SCP)は地盤改良に使うのが砂ですが、黄鶴のようなCDMはセメントです。セメントは時間が経てば固まってしまうので、故障原因を早期に把握し、臨機応変な対応が求められます」。
 黄鶴の機関部には現在、5人構成のパーティが2パーティある。その大半が20代前後の若い機関員だ。
 「この世界は経験がものを言います。親子ほど年が離れ、経験が浅い機関員が多いので、機関長と言っても私が率先して修理をしているのが現状です。若い人たちは、それを見て一つでも多く学んで欲しい。もちろん、自分で学ぶ気持ちが一番大切なんですけどね」。
深層混合処理船「黄鶴(こうかく)」
深層混合処理船「黄鶴(こうかく)」
【船体寸法】 船体長70.0m、幅32.0m、深さ4.5m
喫水2.65m、塔高61.0m
 攪拌軸は4軸で、水面下52.0mまで施工でき、1回の施工で5.47m2を改良できる。「作業船ハイブリッドシステム」を導入し、ディーゼル発電機を複数台に分け、使用台数の最適化を図ることで、CO排出量を17%削減できる。昇降ウインチの回転で発生する電気を再利用するシステムと、追尾型太陽光発電パネルと風力を併用した自然エネルギー発電システムを使い、作業船で使用する電力の約5%を賄う。

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