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株式会社小島組 APー1000良成丸船長
鈴木 博二 氏
 19歳から漁船に乗り、函館の北洋船団でサケ・マス漁などに長年携わってきた。200海里問題で北洋漁業が衰退し、小島組にお世話になったのは13年前のことだ。
 「漁船の経験はあっても作業船は初めて。どんな作業をするのか、まったく分からず、船長や同僚らに一から教えてもらいました」。
 作業船に乗り始め、3年後には船長代理となり、プラント船や風力搬送船で指揮を執った。AP−1000良成丸は2007年から船長を務めている。
 同船は、圧縮空気を使って浚渫土をパイプラインで埋立地へ送る風力搬送船。大量の圧縮空気の力によって土砂を搬送するため、埋立地での余水を極力減らすことができ、埋立地周辺海域の汚濁を防げるのが特徴だ。なかでも同船は、フラップ往復型搬送機や土砂の逆流を防ぐシンクロ式逆止弁などの独自の機構を搭載し、効率的な土砂搬送が可能だ。
 作業は、まず浚渫土を載せた土運搬船を同船に横付けさせ、バックホーで土運搬船の浚渫土をすくい上げ、ホッパーに落とす。その後、ホッパーの下にあるフラップ往復型搬送機で圧縮空気が出る場所まで押し込み、そこから同船とつながっているパイプラインで土砂を埋立地まで空気圧送する。
 「土砂は粒径や粘土質など、さまざまです。そうした土砂をいかに詰まらせないようにし、効率的に搬送させるかが私の役目です。土質に合わせ、操作室からホッパーに投入する土砂量やエアー量を指示し、自ら土砂を押し出すフラップ(押上げ板)の角度や速度などを調整しながら、最適な搬送を心がけています」。
 エアー量など各計器の数値をどう設定するかは、すべて経験則に頼っているという。土砂でパイプラインを詰まらせてしまえば、作業は大幅に遅れる。それだけに、操作室内では各計器の動きを一瞬たりとも見落とさないよう集中している。
 「各計器の動きは連動しているので、分担して指示を出すことはできません。アクセルを踏むのも、ブレーキをかけるのも私ひとりの判断です」。
 1,600m3の土運搬船の場合、約1時間で搬送を終える。その後、次の土運搬船が来るまで「操作室で一息つきながらコーヒーを飲むのが楽しみ」という。
 風力圧送船は開発されてまだ20年。改良の余地はたくさんある。「これから仕事を増やしていくためにも、いろんな改良アイディアを提案していきたい。同時に後進の育成にも努めていきたい」。
AP−1000良成丸(名古屋港)
APー1000良成丸(毎時2000m3風力搬送船)
【船体寸法】 全長70m、幅25m、深さ3.5m
【搬送能力】 空気圧送方式。
揚土能力毎時1,500m3(最大毎時2,000m3)、搬送距離最大3,000m、圧縮空気容量毎時15,000m3×2基。
 フラップ往復型搬送機は、扇形の高揚力装置内の押上げ板(フラップ)が、複合シリンダにより往復運動し、土砂を排送管を送る仕組み。押上げ板の速度は操作室から自在に設定でき、広範囲の土砂に対応が可能。シンクロ式逆止弁は、排送管に設置している複数の逆止弁が、土砂の流れに追従して同調し、土砂の逆流を防ぐ。両機構とも小島組が開発した。

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