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釧路港東港区耐震・旅客ターミナル整備事業
北海道の海の玄関口である釧路港に、耐震強化岸壁を備えた旅客船ターミナルが完成した。既存施設を大規模改良したバースは延長310m、−9mの規模。耐震強化したバースの供用は、同港で初めてとなる。通常時は旅客船が接岸するバースとして、災害発生時には緊急物資の集積・輸送拠点として、その機能を発揮。釧路市とその周辺地域の観光・産業活動の活性化や、暮らしの安全・安心の確保につながる施設として、今後大きな役割を果たすことになる。
 事業を担当する国土交通省北海道開発局釧路開発建設部・釧路港湾事務所(早川哲也所長)によると、「釧路港東港区耐震・旅客ターミナル整備事業」では、既存の貨物船岸壁を撤去し、耐震強化岸壁を新設した。工事に当たっては「作業スペースが限定され近くに文化施設や家屋が密集している」といった施工条件を考慮。背後地への影響を最小限に抑えながら工事を効率的に進めるために、ケーソンと深層混合処理による自立土留壁を組み合わせた、複合構造の岸壁を選択した。

地盤改良には、機械式攪拌と噴射式攪拌の性能を併せ持つ「JACSMAN工法」を採用。一度の施工で大径2,300mm、改良面積7.2m2の改良体を造成できる同工法は、従来の機械式攪拌工法に比べ4倍強の施工効率を持つ。既設構造物や改良体同士の密着施工が確実に行える、施工時の地盤変位が最小限に抑えられる、といったメリットもあるという。固化改良体による自立土留壁を水際線の工事に適用した例は全国で同事業が初めて。同工法で自立土留壁を構築した後、既設の貨物船岸壁と裏埋土を撤去。床堀を行い水深を確保した上で基礎マウンドを施工し、幅15m、奥行き8.5m、高さ10.6mのケーソンを据え付け、セメントで固化処理した事前混合処理土をケーソンと土留壁の間に投入して裏埋めを行った。工事は2007年度から始まり、10年度中に本体工が完了した。岸壁の建設工事や関連する航路浚渫で発生した土砂は、同港西側でエコポートモデル事業として整備中の島防波堤に活用。「海域の環境創出や工事のコスト縮減に役立っている」(早川所長)という。岸壁の改良工事と並行して進む航路の浚渫工事も本年度中には完了する。 観光振興と地域防災の両方に貢献する重要施設として、旅客船バースの有効活用に地元は知恵を絞っている。5月末に穀物分野の国際バルク戦略港湾の一つに釧路港が選定されたことも、港の発展にとって大きな弾みになるだろう。
 「釧路市と一体となってポートセールスを展開する。釧路空港との連携も今後は考えたい」と早川所長。東日本大震災の影響で旅客船の入港キャンセルが相次いだ中、6月18日には完成後初めての旅客船が入港し、供用開始式典と歓迎行事が盛大に行われた。

(図・写真提供:釧路港湾事務所) 6月18日の早朝、大型客船「ぱしふぃっくびいなす」が耐震旅客船ターミナルに接岸した。

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