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別府港海岸直轄海岸保全施設整備事業の一部が完成
温泉や文化で知られる国際観光都市、大分県別府市。美しい景観も多くの観光客が認めるほどで、特に別府湾を臨む海岸線が来訪者の目を引きつける。別府港は古くからその玄関口として位置づけられ今日に至っているが、その美しい海岸線が高度成長時代には防災第一の機能重視の消波ブロックに固められたため、近年、景観を重視した海岸への修築が求められている。
 国土交通省九州地方整備局別府港湾・空港整備事務所(梅崎康浩所長)ではそうした別府港海岸線を、防災機能を高めながら景観にも優れた空間に改めようと、2001年度から「別府港海岸直轄海岸保全施設整備事業」に取り組んでいる。

海岸線(12km)のうち、防災機能の不足が懸念されている4地区延べ2.2kmの海岸線で行う高潮対策で、北から「上人ヶ浜」(延長650m)、「餅ヶ浜」(延長802m)、「北浜2」(延長350m)、「北浜1」(延長350m)の順に並ぶ海岸を改修している。
 このうち、餅ヶ浜地区ではいち早く事業が完成。8月1日に広瀬勝貞大分県知事や浜田博別府市長、地元選出国会議員などが出席して利用開始式が開かれ、一般に開放された。大分県や別府市が行う緑地・道路等の整備が一部残っているものの、消波ブロックの目立つ海岸が、砂浜と松並木の美しい人工海浜に生まれ変わった。
 整備に当たっては、構想段階からの地域住民が参画。行政と住民の協働のもとで計画が進められた。有識者による検討委員会とは別に、住民参加(パブリック・インボルブメント)のワークショップが開催され、住民、行政、専門家が最善と考える計画が立案。従来の「線的防護」から、「面的防護方式」が取り入れられるとともに、白砂青松の美しい「自然環境と触れあう海辺空間」を目指すことになった。梅崎康浩所長は「防災がメーンだが、景観にも配慮した。イメージ通りにできあがった」とたたえる。
 住民参加の整備計画はほかの3地区での事業にも取り入れられ、北浜地区2では大型波返し護岸を国が整備し、後背地には県が緑地帯を整備するという。2009年に工事が始まり、2012年度中の完成を予定している。

上人ヶ浜地区では2009年度にワークショップが始まったばかりで、2010年度は設計を行う予定。潜堤方式による高潮対策とし、現在、水理実験も進める。潜堤は幅40m。延長は150mが2基、250mが1基の合計3基を計画している。いずれも干潮時でも水深1mと、海岸に姿を見せない「環境共生型」の潜堤となる。残る北浜地区1ではようやく整備計画の策定作業が始まり、ワークショップなどは今後開かれる予定だ。
 市街地の拡大や、港の拡張、台風時の高潮・波浪からの防災などを理由にコンクリートの護岸で覆われた海岸線も、国による高潮対策事業の実施を契機に、かつての美しい景観を取り戻そうとしている。

[写真左]上空からの別府港海岸  [写真右]テープカットで一般開放を祝う  両写真とも別府港湾・空港整備事務所の提供

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