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新工法を活用し、増加が予想される自動車関連貨物の取扱機能を強化
仙台塩釜港は仙台湾の中央に位置する特定重要港湾。仙台港区と塩釜港区からなり、東北地方の広域物流拠点として重要な役割を果たしている。近年、同港の背後地に自動車関連産業を中心とした企業立地が相次いでおり、貨物の増大や船舶の大型化への対応が急務となっている。
 こうした状況を踏まえ、2008年12月には同港の港湾計画が改訂され、外内貿コンテナ機能や完成自動車などのRORO貨物取扱機能、バルク貨物取扱機能などの強化、既存埠頭の再編・集約化、岸壁の耐震化などの方針が打ち出されている。

国土交通省東北地方整備局は港湾計画の改訂を受け、本年度から仙台港区中野地区岸壁(雷神埠頭)の水深9m化と、航路・泊地の改良整備事業に着手した。「雷神埠頭は現在、水深7.5mの3バース(延長390m)となっているが、これを9.0mの2バース(440m)に改良する。これにより移出用完成自動車の取扱対応台数は現在利用されている中野3号埠頭と合わせ、年間35万台から50万台になる」(池田秀文東北地方整備局塩釜港湾・空港整備事務所長)。
 現地工事は当面、1バース分220mの内145mの工事を進める。増深工事は通常、岸壁を前面に出して水深を確保するケースが普通であるが、仙台港区は掘込式港湾で、航路・泊地のスペースが限られているため、新工法の「2段タイ材地下施工工法」が採用される。
 2段タイ材地下施工工法は、岸壁を支える鋼矢板が増深工事で変形する可能性があるため、岸壁の背後地に新設する控杭から鋼矢板にタイ材(高張力鋼)を張り、鋼矢板の曲げモーメントを抑えるもの。施工方法はまず岸壁から約30m離れたところに控杭を新設。同時に岸壁前面の地盤改良を行う。控杭設置後に推進工法で15度の角度で掘進を行い、その埋設管の中にタイ材を挿入し、鋼矢板に取り付ける。タイ材の緊張及び地盤改良完了後に岸壁前面を浚渫し、増深させる。
 この改良で設置されるタイ材は1.5m間隔で既設されている控杭の脇を抜け、鋼矢板の所定の位置に取り付けなければならない。「工事期間中も港湾施設は利用されているため、工事のほこりなどが出荷される新車などに付かないよう飛散防止に細心の注意を払っていく」。

宮城県大衡村に昨年進出したトヨタ系のセントラル自動車の生産開始は2011年1月の予定。塩釜港湾・空港整備事務所では「この工場稼働に雷神埠頭の増深化も絶対に間に合わせなければならない」と強調。その一方で東北地域の経済にも大きな影響を与えるため、改訂港湾計画に盛り込まれた各種施策を今後、確実に展開していきたいとしている。

[写真右]仙台塩釜港(仙台港区) 提供:国土交通省東北地方整備局

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