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 日本埋立浚渫協会・国際部会では、インフラ技術の海外輸出を積極的に行う国の方針の下、会員各社の海外展開支援のため、海外の主要国の状況把握と課題抽出のために活動を行っている。平成26年度はベトナムを調査し、各現場の視察と担当者へのヒアリングを実施した。
 平成28年度は2月6〜10日、ミャンマーを調査し、大使館、国際協力機構(JICA)、ミャンマー港湾公社(MPA)、水資源・河川系開発局(DWIR)で今後の日本からの支援の方針を協議するとともに、今後のプロジェクト候補地を視察した。また、会員各社の現場ではプロジェクトの現況把握を行った。
1. 調査目的
 国際部会では我が国の政府開発援助(ODA)の重点的な地域である東南アジアにおいて「ODAフロンティア」とも言われるミャンマーの港湾分野のODA案件及び我が国企業が受注する民間プロジェクトに対し表−1の項目について、調査を行った。
表−1 調査項目
 また、今後無償資金協力が期待されるミャンマーの内陸港湾であるマンダレー港で現地調査を実施し、同港の事業内容及び実施環境の確認を行った。
2.調査日程および調査参加者
 調査行程、参加者は図−1、表−2のとおりである。
図−1 ミャンマー 調査行程と経路図
表−2 参加者一覧表
3.ミャンマーの概要
3ー1.ミャンマーの概要(表−3)  ミャンマーはインドシナ半島西部に位置し、南北に長い国土は中国、インド、ラオス、タイ、バングラデシュに接している。海側はアンダマン海とベンガル湾に面しており、海岸線の全長が約2,000kmに達する。国土の中央をエーヤワディー川が縦断している。
表−3 ミャンマー概要
3ー2.ミャンマーの港湾の現状 (1)港湾(Sea Port)の概要  ミャンマーにおける港湾の整備主体は、1989年にMPAとなり現在に至っており、設備投資計画については政府の承認が必要となっている。ミャンマーの主要港は9港(図−2)であり、ヤンゴン港はヤンゴン川の河口から32km上流に位置し、河口部の水深が6m程度と浅く干潮時の航行は困難であるため、現在航行できる船舶は喫水9m、船長が167mが最大である。
 今後増加する貨物量に対応するため、大型船舶の接岸が可能となる深海港が必要となっている。現在、チャオピュー(KYAUKPYU)は中国の資金による整備が行われているほか、ダウェイ(DAWEI)においてタイの企業によるイニシャルフェーズが実施される予定である。
図−2 ミャンマーの主要港湾(Sea Port)
(2)内陸水運の概要  ミャンマーの内陸水運輸送を担っているのは、1948年に国営化されたミャンマー内陸水運公社(IWT)である。道路・鉄道網の輸送能力に課題を有しているため、内陸水運網はマンダレー他にまで伸びている(図−3)。内陸水運はフェリーによる人と物資の輸送が中心であるが、キャパシティー・維持管理に問題を抱えている。
図−3 ミャンマー国の内陸水運ネットワーク
3ー3.ミャンマーの我が国からのODA実施方針  外務省はミャンマーに対し基本方針を有しており、重点分野としてインフラの整備を挙げている。港湾分野では、この方針に基づき、ヤンゴン港の外港であるティラワ港のコンテナターミナル整備が円借款で進められているほか、内陸水運の要であるマンダレー港の新埠頭整備が無償資金協力により実施される予定である(日本大使館JICAヒアリングにて 写真−1)。
写真−1 日本大使館訪問JICA 意見交換
4.港湾セクターの概要と現地における確認事項
4ー1.ヤンゴン港 (1)ヤンゴン港の概要  ヤンゴン港は、ヤンゴン川の河口から約32km上流のヤンゴン川左岸に位置するミャンマー最大の港湾(写真−2)であり、MPAにより建設・管理されている港である。ヤンゴン港には内陸水運による旅客・貨物輸送を扱う桟橋やポンツーンの他、雑貨やコンテナを扱うMPAおよび民間の岸壁があり、輸入貨物の9割以上を取り扱っている。
写真−2 ヤンゴン港航空写真(出典OCDI資料)と現況
 ヤンゴン港の航路の長さは62km、航路幅600m、水深ー9mである。満潮時と干潮時の差は3.3mになる。入港可能な船型は積載重量1万5,000DWT、あるいは喫水9mに制限されている。ヤンゴン川の流速は4〜6ノットであり、港は河川に位置しているため波浪の影響はほとんど無い。ヤンゴン港の取り扱い貨物量は2013年で約300万tである。
(2)現地における確認事項(MPAとの協議 写真−3)  ヤンゴン港への入出港は、潮位差、堆砂による水深や航路幅の問題で制約があり、今後拡大する国際貿易への障害となっている。また現状維持のため定期的な航路維持浚渫が必要不可欠となっている。
写真−3 ミャンマー港湾公社(MPA)との協議
 このため、ティラワ地区に新港を建設中であるが、ヤンゴン港の機能移転ではなく互いに補完しながら共存させていく方針である。ヤンゴン港とティラワ地区港とを連携させるための道路、鉄道等のインフラ整備も計画されている。
4ー2.ティラワ港 (1)ティラワ港の概要  ティラワ地区港湾は、ヤンゴン港よりも下流に位置しており、水深が深く、後背地に2,400haに及ぶ経済特区(SEZ)(図−4)の開発が日本政府のイニシアチブの下で進められており、これらの面的な開発と相まって、同港湾拡張の重要性は高いものがある。
 ティラワ港は37ブロック(延長200m,奥行750m)に分割して開発されており、MPAはブロックごとに民間会社に売却している。我が国のODAによりブロック23〜26がマスタープランの対象となり、うち25〜26を一期計画の対象として、開発を進めている。
図−4 ティラワ港の計画平面図(出典OCDI 資料)
(2)視察した工事 1) SEZ Zone-A 開発プロジェクト工事(表−4)
工事概要
2)民間企業桟橋工事(表−5)
工事概要
3)コンテナターミナル築造工事(表−6,写真−4)
工事概要
写真−4 東洋・JFEE JV での意見交換と現場施工状況
4ー3.マンダレー河川港 (1)マンダレー河川港の概要  マンダレー市は、ヤンゴンから700km北のエーヤワディー川沿いに位置するミャンマー第2の都市で、交通戦略上重要な拠点である。マンダレー港は、北部地域との交通・物流の拠点となっており、ミャンマー国内陸水運において最も重要な河川港である。
 延長約6kmの自然河岸を利用したマンダレー港は、貨物荷役施設が無く、人力荷役が行われ、非効率な交通・物流を余儀なくされている(写真−5)。
写真−5 自然河岸マンダレー港の人力荷役
(2)現地における確認事項(DWIRとの協議 写真−6)  マンダレー港港湾整備事業は、ミャンマー政府の全国運輸マスタープラン(2015年12月閣議決定)において、緊急性が高い事業と位置付けられている。事業の候補地は交通の結節の利便性及びマンダレー都市開発の方向性を勘案して現在の港湾地区より南に設定されており、今後のJICA調査で詳細が決定されることになっている。
写真−6 水資源・河川系開発局(DWIRとの協議)との協議
5.ミャンマーの工事実施上の課題
 表−7に工事実施上の課題について示す。
6.おわりに
 今回の現地視察調査を快く受け入れてくださった、在ミャンマー日本大使館とJICAミャンマー事務所の方々、ミャンマーに進出している会員各社の現場担当の方々及び同国のODA実施にかかわる多くの機関には大変お世話になり、心より感謝の意を表す次第である。(文責:東亜建設工業(株)川畑辰夫、みらい建設工業(株)石原慎太郎)
表−7 ミャンマーの工事実施上の課題

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