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国際コンテナ戦略港湾・阪神港の一翼を担う大阪港
提供:大阪市港湾局

 大阪港は今、全国で最も注目を集めている港と言えるかもしれない。大阪港にある人工島「夢洲(ゆめしま)」(大阪市此花区)を会場に、2025年国際博覧会(万博)が開かれることが昨年11月に決まったからだ。大阪府と大阪市は万博会場隣接地に大規模な統合型リゾート(IR)を誘致する計画も進めている。国際コンテナ戦略港湾・阪神港の一翼を担い、西日本の産業と国際物流を支えてきた大阪港。万博開催とIRを起爆剤にして、「未来へ続く国際交流拠点」へとさらに飛躍することが期待されている。

【港湾概要】
■港湾区域面積/ 4,669ha
■臨港地区面積/ 1,979ha
■取扱貨物量(2017年)/ 8,460万t(外貿3,484万t、内貿4,976万t)
■入港船舶数(2017年)/ 2万2,739隻(外航5,267隻、内航1万7,472隻)
■港湾管理者/ 大阪市
 
2025年万博とIR誘致で注目集める夢洲
 
地元官民一体でまちづくり構想
 2025年日本国際博覧会(略称「大阪・関西万博」)は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、2025年5月3日~2025年11月3日の185日間にわたって開かれる。会場となる夢洲は面積約390haの広大な埋め立て地。現在は、東側にコンテナターミナル、西側に大規模太陽光発電施設(メガソーラー)があり、万博会場は南西側の155haが予定地となっている。
 大阪港を管理する大阪市は、大阪府、関西経済連合会、関西経済同友会、大阪商工会議所と共に「夢洲まちづくり構想検討会」を組織し、夢洲に新たな国際観光拠点を形成する構想を進めている。
 2017年8月にまとまった「夢洲まちづくり構想」によると、「大阪・関西、日本観光の要となる独創性に富む国際的エンターテインメント拠点」「新しいビジネスにつながる技術やノウハウを世界第一級のMICE(国際的なイベント)拠点を中心にショーケース化し、国内外に発信」「健康で活き活きとした生活をエンジョイできる革新的な技術などの創出と体験」が都市機能のコンセプト。これらのコンセプトに沿ったIRを核とするさまざまな施設や交通インフラの整備が進められる計画だ。
 IRが計画されているのは万博会場予定地に隣接した北部エリア。ここにカジノを含むIRを誘致する。大阪府と大阪市が2月にまとめたIRの基本構想案によると、IR施設の第1期を建設するのは約60ha。施設の総延べ床面積は100万㎡。1万2,000人規模の国際会議場と、10万㎡規模の展示場で構成する複合MICE施設、3,000室規模の宿泊施設が含まれ、投資規模が9,300億円に上る壮大な構想だ。
 府・市は夢洲で「世界最高水準の都市型IR」の実現を目指すとしている。年間延べ利用者数は2,480万人、カジノを含む年間売り上げを4800億円と試算。施設建設時の経済波及効果は1兆2,400億円、運営時の年間経済波及効果は7600億円、年間雇用創出効果は建設時が7万5000人で、運営時は8万8000人と見込む。2020年度中に着工し、万博前の2024年度中の開業を目指す。
 
2025年大阪・関西万博の会場イメージ(関西経済同友会のHPから)
 
国際競争力強化へ整備着々
 万博開催の決定やIR構想で一躍脚光を浴びることになった夢洲だが、国際コンテナ戦略港湾の一翼を担う大阪港という側面からは、別の顔も見えてくる。それが「大阪港北港南地区国際海上コンテナターミナル」(夢洲コンテナターミナル=以下「夢洲CT」と表記)の存在だ。詳しく紹介しよう。
 大阪港は2010年、神戸港と共に「阪神港」として国際コンテナ戦略港湾に選定された。コンテナ船の大型化に対応。アジア各国の主要港と比べても遜色のないコストとサービスを実現し、国内港湾の国際競争力の強化を図るのが目的だ。大阪港は人口2,000万人を超す近畿圏を背後に持ち、年間5,000隻もの外国船が入港する全国有数の国際貿易港。その中核を担ってきたのが夢洲CTだ。
 夢洲CTは大阪港の主航路を挟んで咲洲地区の対岸に位置する。2009年に供用を開始した水深15mの岸壁2バース(C-10、C-11)と水深16mの岸壁(C-12)1バースの計3つの岸壁が一体運用されてきた。2017年初めには、さらなる船舶の大型化や取扱貨物量の増大に対応してC-12岸壁を250m延伸する工事が完了。現在では、岸壁延長1,350mの高規格コンテナターミナルとなっている。夢洲CTは年間100万TEU以上のコンテナを扱うことができ、これは大阪港全体のコンテナ取扱貨物量のほぼ半分に相当する。
 
近畿の大都市圏を背後に抱える大阪港
提供:近畿地方整備局大阪港湾・空港整備事務所
 
貿易港の中核を担う高規格コンテナターミナル
 
ジャケット工法採用し短期間で供用
 夢洲CTの岸壁のうち、2017年2月に供用を開始したC-12延伸部(延長250m)。国土交通省近畿地方整備局はジャケット式桟橋構造を採用し、施工期間の大幅な短縮を実現した。ジャケット桟橋は、鉄筋コンクリート桟橋に比べて杭の本数が少なく、打設時間を短縮できる上、ジャケット部を工場で製作している間に現地の基礎工や護岸本体工を並行して進められるのが大きな特色。施工期間は約3年3カ月で、鉄筋コンクリート桟橋に比べて10カ月程度短い期間での施工が可能になったとみている。
 現地では2013年10月に工事に着手。最初に地盤改良工事を施工し、2014年度には岸壁工事の支障となる既設護岸の撤去・移設と基礎工事を施工した。2015年度には桟橋基礎部の土砂投入と護岸本体のケーソン製作・据え付けを行った。これと並行し、三重県津市にある工場で岸壁本体となるジャケットを製作。2016年度には工場から現地へ運搬して起重機船を使って据え付けた。
 ジャケットは1つが延長50m、幅37m、高さ最大17.3mで計5基製作。ジャケットの上部工と、護岸とジャケットの間の渡版工にも工場で製作したプレキャストPC版を使う方法を採用し、工期の短縮を図った。
 C-12岸壁延伸に伴う埋立工事には、国土交通省が進めるi-Constructionの一環として最先端のICT(情報通信技術)を活用した情報化施工も導入された。埋立土工完了後に行う載荷盛土工が適用対象。無人航空機を使った3次元起工測量と3次元設計データの作成、ブルドーザーの排土板を自動制御する3次元マシンコントロールを用いた敷きならしなどを採用し、高効率施工を実現した。
 
■大阪港のコンテナ取扱貨物量の推移
提供:近畿地方整備局大阪港湾・空港整備事務所
 
夢洲コンテナターミナル

提供:近畿地方整備局大阪港湾・空港整備事務所
ジャケット据え付け作業

提供:近畿地方整備局大阪港湾・空港整備事務所
 
2020年代後半目標に港湾計画を改訂
 
物流・観光・環境・防災の機能強化
 大阪港では今年、港湾法に基づき、港湾管理者の大阪市によって、今後の大阪港の開発・整備や保全の方向を示す「大阪港港湾計画」が改訂された。港湾計画の見直しはおおむね10年ごとに行われており、今回は2020年代後半を目標年次として改訂内容が検討されてきた。改訂の基本方針は「国際競争力の強化に資するロジスティクス機能の強化」「魅力的な観光・集客拠点の形成と臨海部の活性化」「港湾及び都市環境の向上に寄与する港湾施設の維持・確保」「広域的な防災・減災機能の充実と市民生活の安全確保」の4点。
 物流面では取扱貨物量を9,660万tと2017年実績比で14%増、外貿コンテナ取扱貨物量を271万TEUと32%増とする目標を掲げる。そのために、夢洲地区のコンテナふ頭用地を67.5haから73.9haに拡張。南港地区では既存の内貿ふ頭の外貿多目的ふ頭への転換を進める。
 また、水都大阪にふさわしい魅力ある観光拠点を形成するための取り組みもある。国内外を結ぶクルーズ客船や、近傍の集客施設とを結ぶ小型旅客船など船によるアクセスを想定し、夢洲北側に「将来構想」として係留施設を位置付けた。
 このほか、此花地区と舞洲地区を結ぶ「此花大橋」を4車線から6車線に拡幅し、増加する交通量に対応する。
 
天保山客船ターミナル
提供:近畿地方整備局大阪港湾・空港整備事務所
夢洲を中心とする国際観光拠点の形成(国土交通省資料から)
 
港を活かし観光振興と交流促進
―みなとオアシス大阪港・天保山―
 大阪港では、港を活かした観光振興や交流促進を目指す地域の取り組みが活発化している。2017年10月、「みなとオアシス大阪港・天保山」が全国102カ所目のみなとオアシスに登録された。代表施設の「天保山西岸壁船客待合所」周辺は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが立地する此花区との航路の発着点となっており、クルーズ船入港時のイベントも行われるなど、多くの人が訪れる大阪市の観光拠点。同オアシスの構成施設である「Glion Museum」や「天保山公園」などもそれぞれ特徴的な観光資源で、さらなるにぎわいの創出が期待されている。
 パレードやライブパフォーマンスなどが盛りだくさんの「天保山まつり」、天保山岸壁前で行われる「大阪港カッターレース」などイベントも多い。シェアサイクルを活用してベイエリアと市内中心部を結ぶ回遊観光や、港と市内の観光名所を巡る自転車レース「ツール・ド・MINATO PROJECT」など、地元では港を地域のにぎわいに活かすアイデアもめじろ押しだ。
大阪港カッターレース

提供:近畿地方整備局大阪港湾・空港整備事務所
BaysideCycle(ベイクル)のオープニングセレモニー

提供:港まちづくり協議会大阪
 

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