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鹿児島市街をバックに人と物の活発な交流を支える鹿児島港
提供:九州地方整備局鹿児島港湾・空港整備事務所

 穏やかな錦江湾を隔てて眼前に雄大な桜島を望む鹿児島港。背後に鹿児島の市街地が隣接し、歴史と文化、自然景観にも恵まれた港湾として発展を続けてきた。7つある港区はそれぞれ、本土と離島を結ぶ定期船のターミナル、地域を支える生活物資の流通基地などとして大きな役割を果たしている。近年は観光船の寄港も増加。大型クルーズ船が接岸する専用施設が事業化された。アジア地域などからの観光客が増え、地域経済に大きなインパクトを与えるようになっている。

【港湾概要】
■港湾区域面積/3,639ha
■臨港地区面積/253ha
■重要港湾指定/1951年1月19日
■総取扱貨物量/3,474万t(2017年速報値)
■入港船舶数/4万1,586隻(同)
■船舶乗降人員数/606万人(同)
■港湾管理者/鹿児島県
 
乗降人員数全国2位、入港船舶数は7位
 
7つの港区、南北に約20km
 現在の鹿児島港は、北の本港区から南の浜平川港区まで7つの港区が南北約20kmにわたって連なっている。中で最も古い本港区は、島津家第五代当主島津貞久が鹿児島に拠点を置いた1341年ごろに始まるともいわれる。本港区は、今から約200年前の薩摩藩の時代に琉球貿易が盛んになるにつれて、海運上の必要から波止場や荷役護岸が建設され、港として利用が本格的に始まった。
 明治に入ると、近代港湾としての開発がスタート。1907(明治40)年10月には重要港湾に指定され、さらに1922(大正11年)4月には国の指定港湾となって直轄工事により防波堤・岸壁・物揚場などの大改修が行われ、近代的港湾として面目を一新した。
 鹿児島港は、昭和30年代までは発祥の地の本港区を中心に重点的に整備が進められた。その後、港湾利用の増大や船舶の大型化に対応するため、南に隣接する新港区が整備された。本港区の背後地には鹿児島市の商店街や官公庁などが密集。1985年からは再開発によって岸壁を含むふ頭用地や緑地が整備され、現在は桜島フェリーや離島・沖縄航路の発着場となっている。新港区は2011年から耐震岸壁を整備し、ふ頭用地を拡張。奄美・沖縄航路や種子島航路の発着場が整備されている。
 鹿児島港は北から南へ向かって開発が進んだのが大きな特徴だ。北端の本港・新港区は海底が急に深くなる地形で用地造成が難しいためだ。そこで地形が遠浅の南側を利用して工業用地などの造成が進められ、港区が順次、南へと拡大。南北に長い現在の鹿児島港の姿になった。
 旧鹿児島空港跡地に整備された鴨池港区は大隅方面のフェリー発着場、中央港区には主に砂やスクラップを取り扱うふ頭、谷山一区、二区は臨海工業用地として卸商業団地、トラックターミナル、飼料工場、セメント工場、食品加工業、物流企業などが立地。都市ガスや石油製品を扱うエネルギー供給基地の役割も果たしている。
 
出典:国土交通省 港湾統計
提供:九州地方整備局鹿児島港湾・空港整備事務所
 
 
 
地域住民や観光客が楽しみ、憩う、快適空間を整備
 
県内の人流・物流の中心
 鹿児島港は、桜島航路・垂水航路の湾内フェリーと、種子島、屋久島、奄美・沖縄、三島、十島などの離島航路の発着場となっており、鹿児島県内の人流・物流の中心的役割を担う。船舶乗降人員は578万人(2016年)で全国2位、入港船舶数は4万8,348隻(同)で全国7位を誇る。取扱貨物量は3,401万(t同)と全国24位となっている。
 その鹿児島港で今、内外の大きな注目を集めているのが、大型クルーズ船が接岸できる岸壁を中心に整備された人工島施設「マリンポートかごしま」だ。国際交流港湾としてアジア地域をはじめとする各国・地域との間で人・物・情報が活発に行き交う施設の整備や、地域住民や観光客が楽しみ、憩う、快適で質の高いウオーターフロント空間の創出など港湾機能高度化の一環として、中央港区の沖を埋め立てて整備された。
 全体事業費は267億円。大型観光船ふ頭(水深9m岸壁)を整備した1期1工区(10.3ha)が2007年9月に供用を開始。続いて1期2工区(13.7ha)として離島などの急患搬送用ヘリポートが2015年4月、親水広場が同7月、芝生広場が2016年7月に供用を始めた。埋め立てには桜島の土石流土砂約200万m3と公共残土など約250万m3が使われた。
 周囲に遮る物のない人工島からは、錦江湾と桜島の雄大な景観を満喫でき、緑地や芝生広場は散策やイベントなど多目的に利用できる。施設を管理する鹿児島県は、内外からの観光客を歓迎する花文字や展望デッキ、県産材を活用した待合所「ふれあいポート」なども整備した。
 
大型クルーズ船が接岸したマリンポートかごしま
提供:九州地方整備局鹿児島港湾・空港整備事務所
 
寄港増加へ施設整備着々
 マリンポートかごしまは、大型クルーズ船「サファイア・プリンセス」を迎えて供用を開始した。鹿児島港へのクルーズ船の寄港回数は2008年が44回、2009年が28回、2010年が52回、2011年が18回,2012年が34回、2013年が23回,2014年が33回、2015年が53回、2016年が83回と推移。2017年は108回と過去最多を記録した。2018年も11月までに既に100回を超す寄港が予定されている。
 鹿児島県は今年4月、寄港数の急増や寄港船舶の大型化に対応する受け入れ環境整備として、CIQ(税関・出入国管理・検疫)機能を備えた「かごしまクルーズターミナル」をマリンポートかごしまにオープンさせた。従来はクルーズ船内で出入国手続きをしていたために長時間を要していたが、新ターミナルでは手続き時間を大幅に短縮できる。
 
出典:国土交通省 港湾統計
提供:九州地方整備局 鹿児島港湾・空港整備事務所
出典:鹿児島県HP
提供:九州地方整備局 鹿児島港湾・空港整備事務所
 
クルーズ船の寄港108回、最多記録を更新
 
 建物は鉄骨平屋建てで2,300m2の広さ。両替所や物販・交流スペースなども備えている。県は、手続きが迅速化することで県内の観光地により長く滞在してもらうことができ、今後のクルーズ船の誘致に一段と弾みがつくと期待している。
 国土交通省は今年6月29日、港湾法の規定に基づき、鹿児島港を「国際旅客船拠点形成港湾」に指定した。「訪日クルーズ旅客を2020年に500万人」と掲げた政府目標の実現に向けた一環。クルーズ船社が旅客ターミナルなどの施設を整備する代わりに大型船対応の岸壁を優先的に利用できるようにするなど、官民連携で受け入れ環境整備が進められることになる。三反園訓鹿児島県知事は「クルーズ船の誘致活動に全力で取り組んでいる本県にとって、大変喜ばしい」とコメントした。大型クルーズ船では数千人規模の観光客が運ばれてくるだけに、地域経済に与える影響も大きい。
 
CIQ機能などを備え、今年4月にオープンした
「かごしまクルーズターミナル」
提供:九州地方整備局鹿児島港湾・空港整備事務所
市民の憩いの場にもなっている芝生広場
 
旧港施設の文化財、魅力の観光資源に
 歴史ある鹿児島港の本港区には文化財も多く、魅力的な観光資源の一つになっている。藩政時代から明治にかけて、鹿児島港には数多くの波止(防波堤)や岸壁、物揚場が築造され、現在でも新波止(1844〜1853年ごろ)、一丁台場(1872年)、遮断防波堤(1904年)などに往時の姿を見ることができる。中でも最古の新波止は薩摩最大の砲台が置かれたといわれる所で、史跡になっている。1987年に本港区の再開発によって新波止、一丁台場、遮断防波堤は海側が埋め立てられ、緑地公園の護岸として生まれ変わった。ここには遊歩道も設けられ、鹿児島港の歴史に触れながらの散策もできる。
 新波止、一丁台場、遮断防波堤は2007年、「鹿児島港旧港施設」として国の重要文化財に指定された。鹿児島港の旧石積み防波堤は2015年度に土木学会の「選奨土木遺産」にも選定されている。
鹿児島港の歴史を感じさせる本港区の新波止 選奨土木遺産に選ばれた石積み防波堤
 

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