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東北地方唯一の国際拠点港湾として発展する仙台港(仙台塩釜港仙台港区)
提供:東北地方整備局塩釜港湾・空港整備事務所

 東北地方で唯一の国際拠点港湾、仙台塩釜港。その中でも仙台港区(通称・仙台港)の港勢拡大は目覚ましい。2011年3月の東日本大震災によって一時落ち込んだコンテナ取扱貨物量は、復旧・復興と共に文字通りV字回復を遂げ、2017年も過去最高を更新した。コンテナ取扱貨物量や入港隻数の増加に対応するため、この6月には、既存岸壁を延伸し、コンテナターミナルを拡張する工事もスタート。東北地方の産業や人々の生活を支え、世界とつながるグローバル港湾としての存在感を一段と増している。
【港湾概要】
港湾区域告示/1967年1月24日
開港指定/1971年7月1日
特定重要港湾指定/2001年4月1日
主な係留施設/公共ふ頭15バース(水深7.5〜14m)
専用ふ頭25バース(水深6〜17m)
港湾管理者/宮城県
所在市町村/仙台市・多賀城市・七ケ浜町
 
震災後V字回復、「世界とつながる玄関口」に
 
物流機能の充実着々
 仙台港の歴史は、1964年3月に国から新産業都市「仙台湾地区」の指定を受け、臨海型工業の開発拠点として同年8月に港湾計画が策定されたことに始まる。天然の良港として奈良時代にその歴史が始まるとも伝えられる隣の塩釜港などとは違い、戦後の高度経済成長期に工業開発を目的に造られた掘り込み港湾だ。それが今では、背後に大都市・仙台と多くの企業が立地する工業地域を抱え、東北地方を代表する港湾へと発展を遂げた。
 港の建設工事が始まったのは1967年12月。その後、工業港としての機能に加え、流通港湾としての必要性も高まり、1969年3月の港湾計画変更で商港機能も追加され、1971年に開港した。
 臨港地区とその背後地には工業・流通団地が造成され、自動車関連をはじめ多くの企業が立地している。近年は、船舶の大型化やコンテナ化などの輸送革新と物流需要の増大に対応するため、コンテナターミナルを核とした外内貿物流機能の充実が進められている。1994年3月に向洋地区高砂ふ頭岸壁(水深12m)が完成し、1995年4月にはガントリークレーンが供用を開始。1996年4月には同岸壁背後のコンテナターミナルが完成し、供用を始めた。こうした施設整備の進展に伴い、コンテナ定期航路の開設も順調に進んだ。
 2001年4月に東北初の特定重要港湾に昇格したのを機に、港名が「仙台塩釜港」に変更。同年6月には水深14mの高砂ふ頭2号岸壁、翌年2月にはガントリークレーン3号機が、2009年には同4号機が相次ぎ供用を始めた。
 2012年10月、東北を牽引する中核的国際拠点港湾を目指し、仙台塩釜港、石巻港、松島港が統合・一体化され、新たな仙台塩釜港として歩み始めた。翌年6月の港湾計画の改定によって、仙台港区はコンテナや完成自動車などを扱うユニット貨物の拠点としての役割が明確に位置付けられ、国際貿易や国内流通の機能強化を図る取り組みが続けられている。
 近年の仙台港の成長・発展ぶりは数字によく現れている。2017年の取扱貨物量(速報値)は外・内貿合わせて4,094万tと仙台塩釜港全体のほぼ9割を占める。2011年3月の東日本大震災で大きな被害を受け、同年こそ大きく落ち込んだものの、その後は文字通りのV字回復を見せた。
 仙台港の「顔」ともいえる大型ふ頭「高砂コンテナターミナル」のコンテナ取扱貨物量は、2017年の速報値で前年を4.8%上回る25万8,000TEUを記録。震災前の最高記録だった2010年に比べて2割近く伸び、3年連続で過去最高を更新した。
 外貿コンテナの定期航路は現在、北米、中国・韓国、ロシア極東を結ぶ9航路(9便)が開設され、国際コンテナ戦略港湾の京浜港を経由して海外とつながる国際フィーダー航路が8航路(11便)開かれている。仙台塩釜港の国際フィーダーコンテナ取扱貨物量は約9万TEU(2016年)と広島港に次ぎ全国2位。「東北を代表する国際貿易港」「世界とつながる玄関口」と呼ばれる所以だ。
 フェリーも苫小牧港に毎日、名古屋港に隔日で運航し、人流と物流を支える。東北管内の港では唯一、製油所があり、管内全域へ供給を行っているほか、火力発電所やガス工場も立地。地域のエネルギーの安定供給に重要な役割を果たしているのも仙台港の大きな特色だ。
 
仙台港を構成する栄、中野、中野南、向洋の主な4地区
提供:東北地方整備局塩釜港湾・空港整備事務所
 
貨物量の増加に合わせコンテナターミナル拡張
 
新たな岸壁延伸スタート
 仙台港は今、完成自動車やRORO貨物、バラ積み貨物などが混在し、ふ頭の混雑が著しい。そこで「中野地区国際物流ターミナル整備事業」として、中野地区に水深14mの岸壁(延長280m、高松2号ふ頭)が新たに整備され、昨年12月に供用を開始した。岸壁の新設により、大型貨物船が満載状態で入港できるようになった。直轄事業による岸壁整備に合わせ、港を管理する宮城県が後背地に6haの野積場・荷さばき地を整備したことで、中野ふ頭の混雑の解消や物流の効率化など仙台港のさらなる利用促進が期待される。
 もう一つの効果が、大型外航クルーズ船の寄港。クルーズ船誘致は近年、多くの港が力を入れており、供用開始後は高松2号ふ頭と中野ふ頭を合わせて活用できることから、大型クルーズ船の円滑な受け入れが可能となった。
 一方、中野地区の対岸に位置する向洋地区の高砂コンテナターミナルは、東北で唯一の北米航路寄港地で、中国、韓国、ロシアを結ぶ外貿定期コンテナ航路や京浜港との国際フィーダー航路がある。東北地方の海上コンテナの約5割を取り扱っており、「東北随一のコンテナターミナル」といわれる。
 現在、高砂1号岸壁(水深12m、延長310m)と高砂2号岸壁(水深14m、延長330m)の2カ所、ガントリークレーンは1〜4号機の4基を備える。東日本大震災では、ふ頭にあった大量のコンテナが津波で航路や泊地に流出。岸壁の陥没・沈下、荷役機械の損傷などで利用できなくなったが、関係者の懸命な復旧作業により、1号岸壁は震災からわずか3カ月後の2011年6月には利用を再開。その後、昼夜を問わず24時間体制で復旧工事を実施し、2012年1月、2号岸壁とガントリークレーン4号機が復旧。北米定期コンテナ航路が震災から10カ月ぶりに再開された。
 東北地方整備局と宮城県は今年6月、「向洋地区ふ頭再編改良事業」の現地施工をスタートさせた。直轄事業では高砂コンテナターミナルの既存岸壁(延長640m)を沖へ向けて190m(水深14m)延伸。2.2haの泊地(水深14m)も整備する。宮城県では船だまりを埋め立ててふ頭用地を4ha拡張し、ガントリークレーンも1基増設する計画。事業費に125億円を見込み、2023年度の完成を目指している。この事業に先立ち宮城県は、21.6haあるコンテナターミナルの敷地を6ha拡張する事業も進めており、今後新たな事業が加わることで、東北随一のコンテナターミナルの機能は一段と高まることになりそうだ。
 
東北随一のコンテナターミナルといわれる高砂コンテナターミナル

提供:東北地方整備局塩釜港湾・空港整備事務所
中野地区の岸壁整備により大型クルーズ船の円滑な受け入れが可能に

提供:東北地方整備局塩釜港湾・空港整備事務所
 
高砂コンテナターミナルの年別コンテナ取扱貨物量の推移

提供:宮城県仙台塩釜港湾事務所
 
ボタン合図に鋼管杭打設開始
夢メッセみやぎで着工セレモニー
 向洋地区ふ頭再編改良事業の着工式が6月9日、仙台港近くの「夢メッセみやぎ」で行われた。式典には国や県、地元自治体、国会議員、港湾関係者、工事関係者ら約150人が出席した。
 式典の冒頭、国土交通省港湾局の菊地身智雄局長は「コンテナ航路の定時性をさらに高め、東北の国際競争力の強化に大きな役割を果たしたい」とあいさつ。宮城県の佐野好昭副知事が「効率的な海上輸送を実現することで、宮城県のみならず東北の産業や経済が大きく発展すると確信している」と村井嘉浩知事のメッセージを読み上げた。来賓の国会議員からの祝辞の後、会場のスクリーンに施工現場の中継映像が映し出され、関係者が一斉にボタンを押すと鋼管杭の打設作業が始まるセレモニーが行われ、会場は拍手に包まれた。
関係者のボタンを合図に鋼管杭の打設が始まった 東北復興・発展への牽引に期待がかかる
写真提供:東北地方整備局塩釜港湾・空港整備事務所
 
復興事業で防潮堤新設と津波漂流物対策を実施
 
次の地震への備え万全に
 宮城県は、東日本大震災で被災した公共土木施設の復旧工事を進めている。県の仙台塩釜港湾事務所のまとめによると、石巻港区を除いた仙台塩釜港(仙台・塩釜・松島港区)で2018年3月末時点の進捗状況は、箇所ベースで着手率98%、完了率76%。このうち港湾施設の災害復旧事業はすべて着手済みで、仙台港区については工事が完了している。海岸保全施設(防潮堤)は着手率が93%。仙台港区では2017年度末で工事が完了している。
 これと併せて県は、国の社会資本整備総合交付金を活用し、仙台港区で新たな津波対策施設の整備を復興事業として進めている。そのうちの一つが防潮堤の新設。施設はレベル1津波(発生頻度が数十年から百数十年に一度程度と想定される津波)対応。仙台港区では総延長9.2kmの防潮堤の新規整備が計画され、2018年3月末時点で2.1km(23%)が完成している。
 復興事業で防潮堤新設と並ぶもう一つの事業が、津波に備えた漂流物対策施設の整備だ。東日本大震災では、港にあった大量のコンテナや完成自動車などが津波で後背地へ流出。臨港道路上に漂流するなどして啓開作業に多くの時間を要し、初動期の港湾機能に大きな影響を及ぼした。
 漂流物対策施設の整備事業は、こうした被害を教訓に、後背地への津波による二次被害を軽減し、応急対策に不可欠な緊急輸送路の確保、港湾機能の早期回復を図ることを目的に始まった。仙台港区の港湾区域をコの字形に取り巻く臨港道路の中央分離帯などに、鋼管柱を一定間隔で打ち込み、ワイヤロープを張り渡す。津波で海側から運ばれてきた漂流物はここでせき止められ、内陸側に漂流物被害が及ぶのを未然に防ぐ。全国的にもあまり例のない事業で、多くの自治体などの注目を集めている。
 施設の総延長は5.1km。2018年3月末現在、3.6kmが着手済み、うち2.9kmが完成している。2019年度末の全体完成が目標だ。
 
臨港道路の中央分離帯で整備が進む津波漂流物対策施設
提供:宮城県仙台塩釜港湾事務所
 

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