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提供:国土交通省四国地方整備局

【港湾概要】
【港湾面積】 2,200ha
【臨港地区】 404ha
【バース数】 54バース
【取扱貨物量】 914万t(2016年速報値)
【コンテナ取扱量】 46,605TEU(2016年速報値)
【入港船舶数】 23,857隻(2016年速報値)
【外港地区新埠頭埋立面積】 28.4ha
 愛媛県の中央部に位置する松山港は、瀬戸内海航路の要衝として古くから栄えてきた。大きく分けて今出、吉田浜、外港、内港、高浜の5地区で構成。今出地区に空の玄関口である松山空港が、外港地区には貿易拠点となる国際物流ターミナルが立地する。港の後背には四国で最も多い人口を抱える松山市を中心とする都市圏が形成され、化学や繊維、電気機械といった産業も集積。長距離フェリーや国際コンテナ船などが多く寄港する西瀬戸内経済圏の流通拠点として、発展を続けている。
 
小説『坊ちゃん』の舞台
 松山港の中で最も古いのは、過去に「三津浜」と呼ばれていた内港地区で、その歴史は室町時代までさかのぼれる。豊臣秀吉の子飼衆で賤ヶ岳の七本槍・七将の1人、加藤嘉明が松山藩主に就いた際には、松山城の築城に合わせて港の三角州に船溜まりを整備し、伊予水軍の拠点とした。
 江戸時代は約300年にわたって参勤交代の港として繁栄。宮川の河口に堆積する土砂の掘削を繰り返しながら石波止や船溜まりを築造し、瀬戸内海の重要港としてその機能を果たし続けてきた。
 明治時代に入ると港は高浜地区を中心に桟橋などの整備が進んだ。夏目漱石の小説『坊ちゃん』の舞台になったのは当時の三津浜港で、1888(明治21)年に松山の象徴といわれる伊予鉄道の軽便鉄道、いわゆる坊ちゃん列車が開通した。商船の往来が盛んになったのと歩調を合わせ、高浜地区には桟橋や埋立護岸、倉庫などが次々整備され、海の玄関口として機能が整った。
 1922(大正11)年5月に内務省調令で指定港湾になった後、1923(大正12)年8月には公有水面埋立法の対象港湾に指定された。1940(昭和15)年に行われた三津浜町と松山市の合併を機に、港名を現在の松山港に改称。戦後の1951(昭和26)年港湾法に基づく重要港湾に指定され、3年後の1954(昭和29)年には愛媛県が港湾管理者となった。
 
拡大するコンテナ貨物の取り扱いに対応
 
ゾーンごとに関連施設の整備推進
 港湾計画を初めて策定したのは1960(昭和35)年。空港が立地する今出地区とコンテナターミナルが整備されている外港地区を中心に、国の直轄事業を含めて港湾施設の整備が推進された。その後、1972(昭和47)年と1983(昭和58)年、1993(平成5)年の3回にわたって計画を改定。現在の港湾計画では①輸入促進につながる基盤整備②高浜地区の港湾再開発③臨港通行体系の充実④港湾施設の耐震化⑤廃棄物処理用地の確保などが重点項目となっている。
 港湾計画に基づき、愛媛県は今出地区南側、吉田浜地区北側、外港地区北〜西側を「物流関連ゾーン」、高浜地区北側を「人流関連ゾーン」、今出地区北側、吉田浜地区南側、外港地区東〜南側を「生産ゾーン」、高浜地区南側、泊地区、船越地区、由良地区、門田地区を「船溜まり関連ゾーン」と位置付け整備を進めている。内港地区は利用形態を見直し、「交流拠点ゾーン」にする方向で検討している。
 産業活動で重要な役割を果たす物流関連のデータを見ると、コンテナ取扱量は2016(平成28)年速報値で4万6,605TEU(表参照)。内訳は外貿が2万8,250TEU、内貿が8,434TEU、フィーダーが9,921TEU。前年実績に対して外貿は0.1%増、内貿は8.8%増、フィーダーは15.1%増となっている。
 
 
松山港の位置図
提供:国土交通省四国地方整備局
 
大型船の2隻同時着岸が可能
 
外港地区に国際物流ターミナル概成
 松山港は愛媛県の中央に位置し、県都松山市の海の玄関口、そして古くから本州や九州を結ぶ要衝として流通や産業活動を支えてきた。松山港の中で物流の中核を担うのは外港地区にあり、2017(平成29)年4月からふ頭用地の一部を除き供用を開始した国際物流ターミナルだ。
 「松山港外港地区国際物流ターミナル整備事業」として、国土交通省四国地方整備局と愛媛県が1994(平成6)年に着手した後、2001(平成13)年6月に−10m耐震強化岸壁を供用したほか、防波堤や道路などの整備を進めてきた。
 昨年4月に概成したターミナルは国交省が−13m岸壁と泊地の整備、愛媛県が背後ヤード(5.1ha)とガントリークレーン(13列対応)の整備をそれぞれ担当。これらの施設が完成したことで大型船の入港や船舶の2隻同時着岸が可能になり、貨物の輸送コストが大幅に削減できると期待されている。
 県は新しいターミナルの利用を後押しするため、港湾施設の使用料を最大47%減額する条例を制定。365日24時間対応で荷役が可能な施設として運用している。
 このターミナルは−10m岸壁と−13m岸壁の連続バースを持ち、ガントリークレーン2基とトランスファークレーン3基、3レーンのターミナルゲートを備える。ガントリークレーンのアタッチメントを交換すれば、コンテナとバラの両貨物が取り扱い可能。今後の増大が見込まれる国際コンテナフィーダー輸送にも対応できる。本格運用によって物流関連の効率化が図れ、松山を中心とした経済圏の成長強化につながると注目されている。
 松山港外港地区国際物流ターミナル整備の総事業費は約403億円。すでに多くの工事が完成しており、2018(平成30)年度中の事業完了を計画している。ただ船舶の大型化が進展しており、岸壁延長等を確保する必要があるため、今後については、港湾計画を変更する議論の中で方針を決定する予定だという。
 
国際物流ターミナルの全景
提供:国土交通省四国地方整備局
 
完成したターミナルに接岸する大型船舶
提供:国土交通省四国地方整備局
 
クルーズ船誘致へ国との連携強化
 
クルーズ船誘致へ取り組み強化
 一方、ものづくり関連などの産業活動を支えるハード整備以外では、全国の各港湾が注力するクルーズ船の寄港拡大を大きな目標にする。安定しているコンテナを中心とする物流関連の動きに対して、観光や地域振興の原動力となるクルーズ船の誘致は拡大の余地が残っている。道後温泉や松山城などの観光スポットに近く、市中心部からも近い松山港だが、クルーズ船の寄港実績は2016年、2017年ともに1隻ずつと少ない状況にある。
 県は「クルーズ船の接岸も可能なバースを有しているが、係留施設などに能力不足がある。より大きな船が接岸できるような環境の整備に向け、国と調整を行っている」という。またクルーズ船を企画・運航する企業へのPR活動にもより力を注ぐ考えで、四国地方整備局と共に「ターゲットを絞り、どう誘致活動を展開するのか検討していく」考えだ。
 
2017年に外港地区へ寄港した3万t級クルーズ船

提供:国土交通省四国地方整備局
 
ポテンシャル発揮へどう打つ次の一手
 松山港の後背にある松山市は四国最大の人口を持ち、化学や繊維、電気機器、農業機械など幅広い産業が集積している。観光資源に恵まれ道路や空港、鉄道などさまざまな交通網も集中する。大型船の航行を可能にする規制緩和がどうなるか、地元関係者との共存をどう進めるかなどの課題はあるが、産業、観光の両面で拡大のポテンシャルを秘めている。国、そして港湾管理者である県が次の一手をどう打つのか、今後の動向に注目したい。
 
ガントリークレーンの組立作業
提供:愛媛県
夜間に実施したケーソンの据付作業
提供:国土交通省四国地方整備局
 

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