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三河港全景
提供:国土交通省中部地方整備局三河港湾事務所

【港湾概要】
【港湾面積】 約132km2
【バース数】 130バース
【取扱貨物量】 1,961万t(2016年)
【コンテナ取扱量】 4万3,164TEU(2016年)
【入港船舶数】 1万2,671隻(2016年)
 自動車産業が集積する愛知県東部の東三河地域。三河港は背後圏に立地するものづくり産業の物流を支える結節点として、重要な役割を果たしている。自動車貿易では世界でもトップクラスの取扱量を誇り、中でも完成輸入自動車の取り扱いは金額、台数ともに過去20年以上にわたって日本一の座を保ち続けている。港湾管理者である愛知県は物流・産業機能や人流・交流機能、安全・防災機能などの充実を目的に、岸壁の整備などさまざまな事業を推進している。
 
輸入自動車取扱金額・台数は日本一
 
 知多半島と渥美半島に囲まれた三河湾の東側に位置する三河港。その歴史は江戸時代初期の1669(寛文9)年、現在の前芝海岸(愛知県豊橋市)に吉田藩が燈明台を建設したことに始まる。港湾施設の整備が本格化したのは明治に入ってから。西浦、蒲郡などで防波堤の築造や港の修築が行われ、1920(大正9)年、当時の蒲郡港に臨港鉄道が敷設された。
 昭和に入ると施設整備が進む一方で、1945(昭和20)年に三河地震、1953(昭和28)年に13号台風、1959(昭和34)年には伊勢湾台風と大きな自然災害に度々見舞われた。
 1961(昭和36)年に東三河工業開発中央専門委員会が発足してマスタープランの作成に着手。1962(昭和37)年には西浦、蒲郡、豊橋、田原の四つに分かれていた港が統一され、愛知県が管理する「三河港」として再スタートを切った。
 
自動車貿易で世界トップクラスの取り扱い
 三河港は本州のほぼ中心にあり、東名高速道路をはじめとする幹線道路、新幹線など鉄道へのアクセスに優れた立地は、企業の事業活動にとって非常に条件が良い。周囲約80km、水面積約132km2の広大な水域を持つ半円形の港には600を超える事業所が立地。中部地域の基幹産業である自動車を中心に、ものづくり関連産業の生産活動や物流を支える拠点として、重要な役割を果たしている。
 最も目を引くのは国内外の自動車メーカーや関連する会社が集積し、輸出入拠点として活用している点だ。国内の港別自動車取扱台数シェアを見ると、2016(平成28)年実績で輸出は15%と名古屋港、横浜港に続いて第3位。一方、輸入は51%と半数以上を占め、2位の千葉港に対して2倍以上の取扱量を誇っている。
 2016年時点で輸入自動車の取り扱いは金額、台数ともに24年連続で国内トップと、確固たる地位を築いている。世界レベルで見ても自動車港湾取扱台数は輸出入を合わせて106万台(2015年実績)と、5番目のポジションに位置している。
 1998(平成10)年に供用を開始した豊橋コンテナターミナルは日韓・日中航路の充実や多彩なインセンティブ制度の運用もあり、近年、ロシア航路の開設・撤退などがあったものの、取扱貨物量は比較的堅調に推移している。コンテナ取扱貨物量は2015(平成27)年が5万4,459TEU、2016(平成28)年が4万3,164TEUとなっている。
 三河港は自動車メーカーや自動車部品メーカーが集積する田原、明海、神野、蒲郡の4地区と、ヨットハーバーや人工海浜などが整備されている大塚、御津両地区に大別できる。愛知県は平成30年代前半を目標年次とした「第6次三河港港湾計画」で、>物流・産業 >人流・交流 >環境・生活 >安全・防災の各機能を充実するという基本方針を設定。ハード整備では完成自動車・コンテナ貨物取扱需要の増加や船舶の大型化に対応するため、既存港湾施設の老朽化対応、貨物混在や岸壁延長不足の解消などに注力している。
 欧米の大手自動車メーカーが新車整備センターなどを設けている神野地区は、完成自動車の取り扱いに特化した水深12m耐震強化岸壁や岸壁延長に連動したふ頭再編などの事業が進行している。一方、過去に第三セクターが開発を行った大塚地区は、大手旅行会社が複合型リゾート施設の土地と建物を承継し、「ラグーナテンボス」として事業を再始動し、賑わいをみせている。また地区内にあるヨットハーバーは、全国でも珍しいネーミングライツ(公共施設命名権)制度を導入。10月には国内で初めてセーリングワールドカップが開催され、五輪出場を目指す世界のトップセーラーが集結する。
 
 
位置図
提供:国土交通省中部地方整備局三河港湾事務所
 
機能強化でものづくり産業の発展に貢献
 
神野地区7ー4号岸壁整備に深層混合処理工法採用
 三河湾内にある三河港と衣浦港を管轄する国土交通省中部地方整備局三河港湾事務所は、三河港で①ふ頭再編改良②神野地区国際物流ターミナル整備③予防保全の3事業を展開している。このうちふ頭再編改良事業は、既設の7−3号岸壁に隣接する護岸を改良・延伸し、水深12mを有する岸壁延長260m×連続3バースとして再編する。これにより、自動車運搬船の3隻同時着岸が可能になり、船舶の沖待ちが大幅に解消できるという。
 将来的には神野地区の1〜8号岸壁のふ頭機能を再編し、7号岸壁は完成自動車専用として機能させることを視野に入れる。
 新設する第4バースの岸壁着工は2014(平成26)年度。元の地盤を深層混合処理工法により固化改良し、擬似的な重力式の岸壁を築造するという、国内初の技術を採用している。
 同事務所はケーソン設置などの工法と比較検討し、コストや工期で優位性があると判断。直径1mの円柱を深層混合処理工法で造る工程では「固化材の注入量やロッドの引き抜き速度などあらゆる面で施工管理を厳格に行い、円柱1本、1本で品質確保に万全を期した」(三河港湾事務所・下田義治保全課長)という。
 事業は順調に進み、当初計画していた既設岸壁の延伸部分が17年度中に完成する見通しだ。引き続き、隣接する第3バースと接続するための工事が順次実施されていく。
 現在の神野地区は岸壁の延長が不足し、コンテナ船と自動車運搬船の同時着岸に制限が掛かる。またコンテナ、自動車、一般貨物が混在して取り扱われるため、一般貨物として陸揚げしたベントナイトやコークス、セメントなどの微粒子が飛散して完成自動車に付着してしまい、製品価値の低下や洗浄・付着防止対策へのコスト発生といった問題も顕在化している。ふ頭再編改良事業は、自動車貿易で国内はもちろん世界でも重要なポジションにある三河港にとって、成長を実現する上で不可欠な事業といえる。
 このほか、「神野地区国際物流ターミナル整備事業」として、2013(平成25)年度までに、7号岸壁に隣接する水深12mを有する8−1号岸壁の整備、航路泊地の水深12mの確保および防波堤(南)の整備が完了。引き続き、残りの防波堤(北)の整備を進めていく。大規模な施設の新設工事だけでなく、同事務所は既存施設をより長く、効率的に使用する事業も計画。自動車運搬船などの利用頻度が高く、今後も需要が見込める神野地区の7号岸壁で、2017年度から施設改良を伴う予防保全事業に着手している。
 
大塚地区にはリゾート施設やヨットハーバーが集まる
提供:愛知県
海外自動車メーカーの新車整備センターなどが集積する神野地区
提供:愛知県
 
三河港ふ頭再編改良事業が進行
 
地理的優位性生かし発展目指す
 ワールドクラスの国際自動車港湾として確固たる地位を築いている三河港。中部圏はもちろん、近畿圏や首都圏もカバーする地理的優位性を生かし、今後も産業物流の結節点として機能し続けることを目指す。港に面した豊橋、豊川、蒲郡、田原の4市を中心に行政機関や団体、企業で構成する三河港振興会は、港湾機能の整備促進や施設の利用促進を図って地域産業の振興・発展につなげる活動を展開する。さらに年間を通じて強い風が吹き、日射量も多いという気候条件を生かした港湾区域内での風力発電事業、自動車産業の集積を活用した自動車リサイクル事業などにも引き続き注力する。
 
神野地区7−4 号岸壁の位置㊧と施工断面イメージ
提供:国土交通省中部地方整備局三河港湾事務所
 
地盤改良の状況
提供:国土交通省中部地方整備局三河港湾事務所
上部工の施工状況
提供:国土交通省中部地方整備局三河港湾事務所
 

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