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提供:国土交通省 北海道開発局 函館開発建設部

【港湾概要】
【港湾地区】 2,293ha
【臨港地区】 263ha
【バース数】 53バース
【取扱貨物量】 3,304万t(2016年、速報値)
【コンテナ取扱量】 5,552TEU(2016年、速報値)
 北海道の南西部、渡島半島南端に位置する函館港は1859(安政6)年に国際貿易港として開港し、160年余りにわたって道南圏の物資流通や経済活動を支えてきた。函館と青森を結ぶ青函航路は、日本の食料基地である北海道から本州に水産品や野菜、食料加工品を送るという重要な役割を果たし続けている。近年では国内有数の観光都市を支えるウォーターフロント開発、国際的な水産・海洋に関する学術・研究拠点整備も進む。にぎわい・親しみ・活力をテーマに変貌を遂げようとしている函館港を紹介する。
 
道南圏の流通・観光拠点
 
江戸後期から港湾整備を展開
 室町時代の1454(享徳3)年、それまで宇須岸(ウスケシ)と呼ばれ海産物を取引する商船が往来していた港に河野加賀守政道が館を築き、「箱館」という地名が誕生した。現在の函館に改称されたのは1869(明治2)年。港は北洋漁業や本州各地との交易を目的に江戸時代後期、回船商人・高田屋嘉兵衛らによって基礎が築かれた。日米和親条約に基づき避難港として下田とともに開港したのが1855(安政2)年。1859年6月には日米修好通商条約に基づき横浜、長崎とともにわが国初の国際貿易港として世界に門戸を開いた。
 函館港の整備は歴史が古く、1801(享和元)年に官民連携で埋立築港工事が行われたという記録が残る。すでに幕末時点で15万m2の土地が造成されていたという。明治に入ってからも国内有数の近代港として整備が積極的に進められ、北海道と本州を結ぶ要衝という地位を固めていった。函館〜青森間に定期航路が開設されたのは1873(明治6)年。1908(明治41)年には国鉄青函航路が誕生した。
 第二次大戦後の1951(昭和26)年に重要港湾に指定された後も、函館港は北海道と本州を結ぶ航路の拠点としてはもちろん、北洋漁業や造船・修理の基地として重要な役割を果たしてきた。造船不況や200海里漁業専管水域規制、青函トンネルの開通などで発展に逆風が吹いた時期もあった。函館市は1991(平成3)年、函館港の再開発を目的に港湾計画を改訂。港町ふ頭の水深ー12mとー14mの岸壁整備、臨港道路建設などを進め、港湾機能の充実を図った。
 その後、2005(平成17)年4月の港湾計画改訂で道南圏の流通拠点港としてのインフラ整備、水産・海洋に関する学術・研究拠点形成、にぎわいと魅力あるウォーターフロント開発などを進める方針を明記。特にウォーターフロント開発は、国内でも有数のクルーズ船寄港数を誇り、港に隣接し250店舗が軒を連ねる函館朝市に年間約200万人、金森赤レンガ倉庫を中心とするベイエリアには約480万人が訪れる函館市にとって、地域経済への波及効果が大きいプロジェクトとなっている。
 
1889(明治22)年函館港全景
提供:函館市中央図書館
観光客でにぎわう函館朝市
提供:国土交通省 北海道開発局 函館開発建設部
 
函館港の位置図
提供:国土交通省 北海道開発局 函館開発建設部
 
若松地区に岸壁新設
 
フェリー貨物の取扱量は国内屈指
 物流拠点としての函館港の特徴は、フェリー取扱貨物量が非常に多いことだ。青函航路は北海道のフェリー取扱貨物量で約3割のシェアを持つだけでなく、単一航路として全国1位の規模を誇る。2015(平成27)年のフェリー取扱貨物量は移出入合計で2,335万t。1,166万tの水産品や野菜、食料加工品などの荷物を東北や関東、関西に送り出した。フェリー運航3社が1日当たり合計16往復の便数を運航し、欠航がほとんどないという安定した輸送機能は、北海道と本州を結ぶ物流で重要なポジションに位置付けられている。
 コンテナ取扱量は2016(平成28)年速報値で5,552TEU。内訳は輸出2,773TEU、輸入1,860TEUなどで、2015年から2年連続で5,000TEUを超える水準を維持している。
 港の隣接地には東日本最大のセメント工場が立地し、大規模な石灰石鉱山もあることから、セメント製品や石灰石を道内や東日本に輸送するセメント分配基地としても機能している。
 
■函館港のフェリー取扱貨物量とコンテナ取扱量
クルーズ船受入岸壁の整備位置図

提供:国土交通省 北海道開発局 函館開発建設部
 
クルーズ船受入岸壁整備をDB方式で発注
 函館港は現在、国際観光・交流拠点の創造、豊かで活力ある地域社会と経済環境の創出といった多様な要請に対処するため、ハード・ソフトの両面でさまざまな施策を展開している。2005(平成17)年に改訂した港湾計画では、「にぎわいと親しみあふれる活力ある函館港」という将来像を設定。若松地区の旅客船ふ頭や末広、弁天両地区の緑地など港湾関連施設の整備を積極的に進めている。また人・物の交流拠点としての機能強化、地域経済や観光などの振興・発展を目指してポートセールス活動も充実させており、港湾貨物の集荷やクルーズ客船の寄港の促進に努めている。
 港湾管理者である函館市、そして国土交通省北海道開発局がハード面での課題に挙げるのは、▽クルーズ船の受入環境改善▽慢性的な係留施設不足▽港湾関連施設の老朽化▽鉄道路線による臨港道路の分断など。このうち国内有数の観光都市として国内外から多くの人が訪れる函館市が最も力を注いでいるのは、JR函館駅に近接する若松地区でのクルーズ船受入岸壁整備だ。
 現在、函館港に入港するクルーズ船は金森赤レンガ倉庫や朝市といった観光スポットから6.5km離れた港町ふ頭に接岸している。同ふ頭は本来、金属くずなどを扱う貨物岸壁のため景観が悪く、市中心部へのアクセスにも時間がかかる。クルーズ船で函館を訪れた観光客の心証悪化はもちろん、市内滞在時間が減って消費活動に影響が出るという経済損失も発生している。
 そこで市は、観光スポットに近い若松地区でのふ頭整備を国に対して強く要望。国交省北海道開発局函館開発建設部は水深ー10m、延長360mの岸壁を建設するプロジェクトを、2016年度から始動させた。事前の地質調査で海底の地盤状況が悪く、重力式ケーソンを使った岸壁整備は困難と判断。同地区に係留され青函連絡船記念館として運営されている摩周丸の右舷側に、11万t級のクルーズ船も接岸可能な専用岸壁の新設を決めた。
 国は2016年度2次補正予算に6億3,000万円の事業費を計上。函館開発建設部は昨年11月に設計・施工一括(DB)方式で「函館港若松地区岸壁改良工事」を発注し、今年2月までに落札者を決めた。DB方式を採用した理由について、同部は「摩周丸の営業を続けながら近接地に岸壁を新設するという技術的に難易度が高い工事になる。構造物の設計、施工計画の立案、工事を一括して担当してもらうことが早期完成に向けた最善策と判断した」と説明する。
 現時点の事業費は41億円を予定。平成30年代前半の事業完了を目指しており、完成すれば「特急が停車する函館駅と徒歩300mの至近距離で結ばれるクルーズ船受入岸壁になる」(函館開発建設部)という。岸壁に接岸したクルーズ船の目の前にはJR函館駅や朝市が広がり、赤レンガ倉庫群も徒歩圏内。市内に残る歴史的建造物を散策しながら函館山に登り、夜には美しい夜景を楽しむこともできる。新しい岸壁は観光都市・函館にとって、エポックメイキングな社会インフラになることは間違いないだろう。
 
インフラ整備が地域活性化に貢献
 
2016年度に臨港道路が全線完成
 このほか、函館港では2003(平成15)年3月に産学官協働で策定した「函館国際水産・海洋都市構想」に基づき、弁天地区にある函館ドック跡地での船だまり整備事業が進行している。函館市国際水産・海洋総合研究センターの開所に合わせ、調査船や練習船を係留するための施設を整備。旧ドック第6岸壁を拡幅・改修する工事のうち延長250m、水深ー6.5m部分を2014(平成26)年6月に暫定共用し、続けて延長210m、水深ー5.0m部分を整備する工事に入っている。
 2016年度に完成した事業には「北ふ頭地区複合一貫輸送ターミナル整備」と「本港地区幹線臨港道路整備」がある。北ふ頭地区複合一貫輸送ターミナル整備では、大型化するフェリーへの対応や不安定な縦付け係留の解消、大規模災害時の緊急物資輸送機能確保などを目的に、延長190m、水深ー6.5mの耐震強化岸壁を整備。一方、本港地区幹線臨港道路整備は万代、北、港町の各ふ頭を結び、七重浜地区で国道に接続する延長3.9kmの道路を建設。港湾関係車両と国道や市道を走行する一般車両を分離することで、港湾物流の円滑化や交通渋滞の緩和といった効果が期待されている。
 函館港のクルーズ船寄港実績は2016年で26回。人気観光スポットが集中する市中心部はもちろん、新幹線が停車するJR新函館北斗駅方面のアクセス向上で、港湾関連のインフラ整備は重要な役割を果たす。地域経済の活性化に直結する社会資本をどう充実させ活用していくのか。函館港の取り組みに今後も注目していく必要がありそうだ。
 
提供:国土交通省 北海道開発局 函館開発建設部
函館ドック跡地での船だまり整備イメージ

提供:国土交通省 北海道開発局 函館開発建設部
 

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