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提供:境港管理組合

【港湾概要】
【港湾区域】 1,776ha
【臨港地区】 331ha
【バース数】 51バース
(中野1号岸壁含む、江島ドルフィン3基含まず、
うちコンテナ1バース)
【荷役整備】 ガントリークレーン1基、ジブクレーン1基
 鳥取県の西部、弓ヶ浜半島の北端に位置する境港は、日本海側航路の要衝として栄えてきた。鳥取、島根両県で組織する「境港管理組合」が港の開発や利用促進、管理運営などの業務を担当。韓国や中国との距離も近く、2011(平成23)年に日本海側拠点港に選定された。北東アジアのゲートウェイとして発展を続ける境港を紹介する。
 
中国・韓国・ロシアの玄関口
 
山陰地方の貨物集積拠点として発展
 三方を中海と日本海、境水道に囲まれた鳥取県境港市。街のシンボルである境港は自然条件に恵まれ波穏やかな良港として古くから知られる。戦国時代には毛利氏の兵糧米陸揚げ・水軍停泊拠点となっていた。江戸時代に入ると鳥取藩が御廻米役所や御手船役所を設置し、藩船による廻米輸送、上方物資の陸揚げを行う商港として境水道に面した内港地区を中心に繁栄した。砂鉄を原料にたたら製鉄法で生産された「安来の鋼(はがね)」を諸国に分配する千石船の往来でもにぎわったという。
 明治時代の開港後は阪神、山陽、九州の各経済圏からほぼ等距離にあり、北東アジアにも近い立地条件を生かし大陸貿易が急増。1927(昭和2)年に山陰地方貨物集積要地として第二種重要港湾の一つに指定された。
 
境港の全景
提供:境港管理組合
 
クルーズ船寄港、2016年は過去最多
 
2011年に日本海側拠点港選定
 1951(昭和26)年に国から港湾法施行令に基づき重要港湾の指定を受けた後、1958(昭和33)年に鳥取、島根両県が協定を結び境港管理組合が発足し、日本海側に向いた外港地区一帯で港湾施設の整備が本格化した。まず、1965(昭和40)年に昭和北地区の1万t岸壁第一バースが竣工し、続けて1969(昭和44)年に第二バースなどが完成した。昭和南地区では、1981(昭和56)年に石油ドルフィン、1984(昭和59)年には水深−13m岸壁などが完成した。
 平成に入り1995(平成7)年に輸入促進地域計画(境港FAZ計画)の承認を国から受けたことを契機に、中国と韓国を結ぶ二つの定期コンテナ航路が開設された。2004(平成16)年山陰地方で初めての国際コンテナターミナルとなり、港と内陸を結ぶ道路網の整備も盛んになった。中海側にあり境港市と島根県松江市を結ぶ江島大橋は、急勾配が有名な「ベタ踏み坂」としてコマーシャルにも登場。壁のよう見える坂道として、境港の観光名所の一つになっている。
 2009(平成21)年に環日本海の各国を結ぶ国際定期フェリーが就航。ロシア極東から韓国、中国沿岸部までの北東アジア地域と日本をつなぐ玄関口として機能を高めるとともに、西日本の交流拠点としてバルクやコンテナ、フェリー、RORO、クルーズなど多種多様な船舶の定期航路化や寄港促進に力を注いでいる。港湾管理を一部事務組合が行う港は現在、境港を含めて全国に6港ある。中でも都道府県だけで組織する組合は境港が唯一となっている。
 
外貿コンテナ取扱量推移 境港クルーズ客船寄港実績
 
クルーズ船の寄港が急増
 境港は現在、韓国(東海)〜ロシア(ウラジオストク)航路が週1便、韓国(釜山)航路が週4便、中国(上海)航路が週1便就航している。2016(平成28)年のコンテナ取扱量は過去最高の2万4,924TEU。全体の86.4%(2万1,536TEU)を占める韓国航路の主な取扱品は輸出が紙・パルプや木製品、産業機械、輸入が木製品や非金属鉱物、鉄鋼となっている。
 モノだけでなく人の動きも活発なのが境港の特徴だ。観光客を乗せたクルーズ船の寄港が急激に増えており、2016年の寄港数は33回と過去最多を記録。乗客は3.9万人に達し、昨年9月にはアジア最大級の客船「オベーション・オブ・ザ・シーズ」が初寄港した。2017(平成29)年のクルーズ船寄港回数は60回程度を見込む。さらに世界で最も有名な客船として知られる「クイーン・エリザベス」が、2019(平成31)年4月に計画する横浜港発着クルーズで寄港先の一つとして境港を選定した。
 人とモノが行き交う港として成長を続ける境港。管理組合の永田英明次長は今後の課題として、港内に散在している輸入原木積み下ろし拠点の整理、10万t超の大型客船が接岸・停泊可能な岸壁・ターミナル整備などを挙げる。さらに国内RORO船の定期航路化も重要な検討項目だとし、今後も取り組みを進める。
 
既存施設を賢く活用
 
外港竹内南地区に新貨客船ターミナル整備
 港の機能を強化し、産業振興や地域活性化につなげる上で、岸壁やターミナルなどハード整備は欠かせない。国土交通省の直轄事業として中国地方整備局境港湾・空港整備事務所は▽外港地区防波堤整備▽外港竹内南地区ふ頭再編改良▽外港中野地区国際物流ターミナル整備の3事業を展開している。
 このうち「外港竹内南地区ふ頭再編改良」はすでに観光拠点や公園が整備されているエリアの近接地に、クルーズ船や国内RORO船、国際フェリーなどが停泊するための貨客船ターミナルを新設する。水深−10m、延長280mの岸壁や泊地は国が、ふ頭用地の造成や旅客上屋建設は管理組合がそれぞれ主体となって推進している。
 事業期間は2015(平成27)〜2019年度で、事業費は93億円を予定。永田次長によると、旅客上屋整備は2017年度中に設計を完了し、2018(平成30)〜2019年度は建築工事や駐車場・貨物ヤードの舗装工事などを行う計画だという。一方、境港湾・空港整備事務所は2016年11月から岸壁整備に必要な陸上地盤の改良工事に着手。2017年度に海上の地盤改良、2018年度にケーソン据付、2019年度には関連工事を行い、2019年度末の供用開始を目指すという。
 ハード整備の進ちょくを見据え、鳥取県、境港市、管理組合らはクルーズ船で来日した観光客の境港滞在時間をどう延ばし観光や地域振興につなげるのか、クルーズ船が来ない期間にどうにぎわいを創出するかなど、整備するハードの効果を拡大するソフト方策についても、具体的な検討を開始した。
 
外港竹内南地区ふ頭再編改良事業の概要

提供:国土交通省 中国地方整備局 境港湾・空港整備事務所
2016年9月に供用開始した外港中野地区の国際物流ターミナル

提供:境港管理組合
 
新貨客船ターミナル、2019年度完成めざす
 
投資額抑制と早期供用を同時に実現
 「外港中野地区国際物流ターミナル整備」は、船舶の大型化に対応した水深−12m、延長240mの岸壁が昨年9月に供用を開始。引き続き岸壁の機能増強策として、大型船の停泊に必要な係留ドルフィンを付加する事業を進めている。事業が完了すれば岸壁の長さよりも船長が大きい11万t級クルーズ船が接岸できるようになる。「既存施設を最大限に〝賢く使う〟」(境港湾・空港整備事務所の笹岡実也工務課長)ことで、投資額の抑制と早期の供用開始を同時に実現する。
 「外港地区防波堤整備」は、石油ドルフィンや国際コンテナターミナルがある昭和南地区から、新貨客船ターミナルを整備する竹内南地区までの静穏度を保ち、船舶の安全な係留や荷役作業の効率化を実現するため、延長4,150mの防波堤を整備している。
 
物流拠点として役割をより強化
 北東アジアのゲートウェイとして人とモノの流れが拡大する境港。瀬戸内海沿岸の姫路、岡山、尾道、広島との高速道路網も整備が進んでおり、2〜3時間でアクセスすることが可能だ。中国(上海)韓国(釜山)そしてロシア(ウラジオストク)への定期航路が確立されており、アジアのハブ港湾である上海あるいは釜山経由で世界各地の港とも接続が可能だ。例えば環日本海国際定期貨客船(DBSクルーズフェリー)は東海を経由し2日間でウラジオストクに到着。2009年の就航以来、台風などの荒天や船舶の定期点検を除いて休止がない。さらに重機などの重量物や長大貨物、小口貨物、精密機器など多種多様な貨物に対応でき、高い輸送品質を誇っている。境港管理組合は鳥取県などと協力し、産学官からなる「境港流通プラットホーム」を立ち上げ、新しい航路輸送ルートや荷主の開拓に注力。貨物の試験輸送や荷主への支援制度などを展開する。地元の海運企業が2017年3月には釜山との定期コンテナ航路を活用して境港からアジア、欧州、中南米など世界34カ所の仕向地に小ロット貨物を輸送する「境港発小口混載サービス」も開始した。
 
外港中野地区国際物流ターミナル整備事業の概要
提供:国土交通省 中国地方整備局 境港湾・空港整備事務所
 
外港地区防波堤整備事業の施工場所

提供:国土交通省 中国地方整備局 境港湾・空港整備事務所
 

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