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四日市港  提供:四日市港管理組合

【港湾概要】
【港湾面積】約6,600ha
【臨港地区】1,169.5ha
【バース数】66バース(公共バース)
【取扱貨物量】6,195万トン(2014年速報値)
【コンテナ取扱量】179,359TEU(2014年速報値)
【入港船舶数】17,518隻(2014年速報値)
 わが国有数の石油化学コンビナートなどを擁し、エネルギー供給基地として重要な役割を担う四日市港(三重県)。1969(昭和44)年から取り扱いを開始したコンテナ貨物も順調に伸び、コンテナ定期航路網は年々充実しつつある。さらに、臨港地区では慢性的な渋滞対策として臨港道路「霞4号幹線」の整備が進行中で、港湾サービスの水準向上も図られつつある。中部圏の代表的な国際貿易港として発展する四日市港を紹介する。
 
国内有数の石油化学コンビナートが立地し、産業集積地に
 
戦後は工業港として発展
 四日市港は幕末から明治初期にかけて、伊勢湾内の最大の商業港として栄えた。1870(明治3)年には四日市〜東京間で初めて汽船による貨客定期輸送が開始され、この定期航路の開通により港勢は飛躍的に進展した。四日市港が近代港湾に変身したのは、四日市旧港(現四日市地区)が完成した1884(明治17)年のこと。廻船問屋だった稲葉三右衛門が私財を投じて港の修築工事を実施。これにより大型船の入港も可能になった。
 1899(明治32)年には政府から開港場に指定され、国際貿易港としての第一歩を踏み出す。海外輸入は主に食料品、肥料から始まり、時代の変遷とともに綿花、繊維原料へと移行。戦後の1952(昭和27)年には特定重要港湾に指定され、羊毛の輸入が大幅に拡大。その一方で、石油化学コンビナートの立地に伴い原油の輸入が急増し、工業港として急激な発展を遂げた。
 1966(昭和41)年には、四日市港の管理を目的に三重県と四日市市によって四日市港管理組合が設立されている。
 
霞ヶ浦地区の外貿コンテナ取扱量は順調に拡大
 
2つのシーバースで原油を受け入れ
 四日市港は大別すると、「石原」「塩浜」「四日市(午起・大協)」「霞ヶ浦」「富双」「川越」の6地区で構成される。
 このうち、石油化学コンビナートがあるのは塩浜地区(第1コンビナート、1959年稼働)と、四日市地区・午起(第2コンビナート、1963年稼働)、霞ヶ浦地区(第3コンビナート、1972年稼働)の3カ所。この地区には石油会社をはじめ、化学工業会社などが数多く立地。石原地区、富双地区にも同様に化学工業会社などがあり、川越地区には中部電力㈱の火力発電所がある。
 石原・四日市地区の沖合には石油会社の原油受入基地となるシーバースが2つあるほか、LNG(液化天然ガス)やLPG(液化石油ガス)の受入桟橋などもあり、中部圏の重要なエネルギー供給基地となっている。
 港の南側に位置する四日市地区は、四日市港の発祥の地で、開港場の指定はこの地で受けた。現在3つの公共ふ頭(−9.0〜12.0m)を中心に、穀物や鉱物、国内向けの完成自動車などを扱っている。また、国の重要文化財にも指定されている末広橋梁があり、いまも現役最古の跳開式鉄道可動橋として活躍している。
 
霞ヶ浦地区北ふ頭はクレーン3基体制に
 霞ヶ浦地区は四日市港の北部に位置し、南ふ頭と北ふ頭、工業団地からなる。南ふ頭はコンテナ専用岸壁となるW26岸壁(−12.0m、延長250m)やW27岸壁(−12.0m、延長250m)をはじめとする係留施設や、荷さばき施設などがあり、物流の中枢地区となっている。
 南ふ頭の東側には貯炭施設を備えたわが国有数の石炭中継基地(中部コールセンター)が立地。ここから中部圏や国内各地に陸上または海上輸送で石炭が配送されている。石炭輸入量は2013(平成25)年で約238万トンで、ここ数年順調に伸びている。
 一方、北ふ頭は2001(平成13)年に水深−14mのW80岸壁(延長360m)の工事に着手。大型コンテナ船が着岸できる国際海上コンテナターミナルが2010(平成22)年に全面供用を開始した。
 「W80岸壁には2基のガントリークレーンがありますが、1基追加する工事を現在進めています。2016(平成28)年度には完成し、3基体制になります。W80岸壁の北側には民間企業が大型物流施設の建設を計画しており、その関連工事も現在進行中だ」(四日市港管理組合)。今後コンテナ取扱量がさらに増えれば、W80岸壁の延伸も検討しているという。
 
外貿コンテナ基地となる霞ヶ浦地区
提供:四日市港管理組合
位置図
提供:四日市港湾事務所
 
輸入の8割が原油とLNG、中部圏のエネルギー供給基地
 
週17便の外貿定期コンテナ航路
 四日市港の2014(平成26)年の総取扱貨物量は前年比0.7%増の6,195万トン。内訳は外貿が同0.5%減の4,157万トン、内貿が同3.1%増の2,037万トン。外貿のうち、輸出が同3.5%減の386万トン、輸入が同0.2%減の3,772万トンで、「輸入が圧倒的に多く、原油とLNGがそれぞれ4割程度を占めているのが特徴となります」(四日市港管理組合)。
 外貿コンテナ取扱量は同9.2%減の332万トン。うち輸出は同17.1%減の176万トン、輸入が同1.7%増の155万トン。外貿のコンテナ取扱個数でみると、同7.3%減の17万9,359TEUとなっている。
 「外貿定期コンテナ航路サービスは現在、韓国・中国航路が週6サービス、東南アジア航路が週11サービスの計週17サービスがあります。輸出は自動車部品や化学薬品、合成樹脂などが多いのですが、主力の自動車部品が低迷し、前年を下回りました。一方、輸入は電気機械、ゴム製品などが好調で過去最高を記録しました」(四日市港管理組合)。
 
潜在的な需要貨物量が1,300万トン
 四日市港管理組合では、こうしたコンテナ貨物量を増やすため、さまざまな取り組みを進めている。2013(平成25)年11月に国土交通省港湾局が実施した「全国輸出入コンテナ貨物流動調査」結果のデータを使い、背後圏貨物の分析を行うとともに、近隣の港湾と比較して四日市港との間の陸上輸送コストが最小となる地域を「四日市港利用優位圏」として示し、それらの地区ごとの輸送コスト削減率などを提示している。
 「この試算により、四日市港を利用した方が輸送コストで優位になる潜在貨物量が1,300万トン程度あることが分かりました。これらの地区の荷主に四日市港の利用をお願いしています」(四日市港管理組合)。さらに、輸送距離が短縮されることで、CO2(二酸化炭素)の排出量抑制にもつながることをPRし、グリーン物流促進補助金とセットで荷主に利用を働きかけている。
 
 
環境や防災の対策を強化し、一層の飛躍を
 
地震・津波対策の検討を急ぐ
 一方、コンテナ貨物を取り扱う霞ヶ浦地区のアクセスや防災対策にも力を入れている。霞ヶ浦地区と伊勢湾岸自動車道みえ川越ICに直接アクセスが可能となる臨港道路「霞4号幹線」を現在整備中で、この道路が完成すると、港湾交通の定時性確保と、国道23号など周辺道路への港湾交通負荷軽減による混雑解消が期待されている。また、霞ヶ浦地区と背後地との連絡道路は現在霞大橋だけとなっているが、災害時の緊急避難経路として活用も可能になる。
 防災面ではさらに、地元の官民関係者が連携し、四日市港全体の地震・津波対策として、「四日市港避難誘導計画」を策定し、避難訓練を実施するとともに、四日市港全体のBCP(事業継続計画)も近く作成する見込みだ。
 「コンビナートなどがある臨海部では、民間が管理する護岸や岸壁を含めた各施設の適切な維持管理をお願いしています。四日市港全体で総合的な防災対策や環境対策に取り組み、地域になくてはならない港づくりを進めていきたいと思っています」(四日市港管理組合)
 
年々拡大する外貿定期コンテナ航路網。霞ヶ浦地区
提供:四日市港管理組合
 
市民に親しまれる港づくりへの取り組みを強化
跳開式鉄道可動橋「末広橋梁」など歴史的施設を活用
 四日市港でひときわ目立つのが、1999年夏に完成した四日市港ポートビル。開港100周年を記念して霞ヶ浦地区に建設されたもので、100周年に合わせ高さは100mもある。最上階には展望展示室「うみてらす14(フォーティーン)」があり、素晴らしい展望や展示を楽しめる。ここからの眺めが日本夜景遺産(主催・日本夜景遺産事務局)にも認定されている。
 四日市港管理組合は、市民に親しまれる港づくりにも力を入れている。四日市港には千歳運河にかかる現役最古の跳開式可動鉄道橋「末広橋梁」や潮吹き防波堤など歴史的な港湾施設が数多く残されているため、これらの歴史的資源や産業的資源を活用し、多くの人に港にきてもらう取り組みを進めている。港内にある各種施設をまとめた「四日市旧港まち歩きマップ」を作成し、散策コースも紹介している。
高さは100m。四日市港ポートビル。
提供:四日市港管理組合
 
− 臨港道路「霞4号幹線」道路を急ピッチで施工中 −
2017年度完成に向け、本年度から上部工に本格着手
霞4号幹線のルート図
提供:四日市港湾事務所
 四日市港では霞ヶ浦地区の国際海上コンテナターミナルのアクセスの向上と周辺道路の渋滞解消、緊急避難経路の確保などを目的として臨港道路「霞4号幹線」の整備を現在進めている。霞4号幹線は霞ヶ浦地区南ふ頭から伊勢湾岸自動車道みえ川越ICを結ぶ約4.1kmの路線。工事には2004(平成16)年度に着手。上下4車線で計画されているが、暫定2車線で2017(平成29)年度の完成を目指している。「道路構造は路線の大半が高架となります。下部工は全部で51基。ほぼすべて発注済みで、工事は大詰めを迎えつつあります。上部工は陸上部で一部出来上がっている箇所もありますが、大半の区間が本年度から来年度にかけて工事を発注します」(国土交通省中部地方整備局四日市港湾事務所)。下部工は河口部などに建設するものもあり、非出水期(11月〜4月)での施工になるため、綿密な施工計画、工程管理が求められる。また、工場や民家が現場に近接しているため、騒音・振動対策が求められるほか、徹底した安全管理も必要となる。上部工については鋼製桁が多く、工事発注後は工場で製作し、それを現地で据え付ける計画だ。
 

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