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新門司地区  提供:北九州市

【港湾概要】
【港湾面積】15,807ha
【臨港地区】3,697ha
【バース数】293バース(うち、公共バース172バース)
【取扱貨物量】10,052万トン(2013年実績)
【コンテナ取扱量】487,669TEU(2013年実績)
 本州と九州の結節点に位置し、古くから西日本地区の物流拠点として栄えてきた「北九州港」。港湾施設は周防灘、関門海峡、洞海湾、響灘の4つの海域にまたがり、多様な機能を備えている。年間の取扱貨物量は1億トン(2013年)を超え、国内第5位に位置する。従来型の近郊からの貨物を集める「集貨」だけでなく、臨海部への企業誘致などによる「創貨」にも力を入れ、総合物流拠点として着実に発展を続ける「北九州港」を紹介する。
 
42航路201便の定期コンテナ航路
 
3港が合併し1964年に北九州港が誕生
 北九州港は、古くから中国や朝鮮など外国との交易で栄えた「門司港」、商業港として国内流通で栄えた「小倉港」、八幡製鉄所(現新日鐵住金)などを中心に鉄・石炭など扱う工業港「洞海港」が、それぞれの特色を生かして発展してきた。
 1963(昭和38)年に近郊5市が合併して北九州市が誕生したのを契機に、翌年の1964(昭和39)年に3港も合併。北九州港が誕生した。当初、北九州港管理組合が港湾管理者だったが、1974(昭和49)年に北九州市に港湾局(2005年に現在の港湾空港局に名称変更)が設置され、その後は北九州市が港湾管理者となっている。
 港湾施設は、小倉南区の井ノ浦地区から若松区の響灘西地区に至る臨海部に展開され、その海岸線延長は市が有する海岸線の約8割に当たる約170kmにも達する。各地区はそれぞれの役割を分担し、多種多様な機能が展開されている。
 
コンテナ貨物を集約〜太刀浦地区・響灘西地区〜
 門司地区は「PORTMOJI(ポートモジ)」として世界的に親しまれている国際複合一貫輸送の拠点である。500km圏内に韓国の釜山、仁川、1,000km圏内に中国の大連、天津、青島、上海があり、その地の利を生かし、主に北東アジアとの貿易拠点となっている。1979(昭和54)年には「太刀浦コンテナターミナル」が供用を開始しており、主に東南アジア向けの船が着岸する「第1ターミナル」(ー12m岸壁)と、主に中国・韓国近海向けの船が着岸する「第2ターミナル」(ー10m岸壁)がある。田野浦地区は、1971(昭和46)年に西日本初のコンテナターミナル「田野浦コンテナターミナル」が供用を開始したが、現在は太刀浦地区にコンテナが集約されている。外航コンテナ便は響灘西地区の「ひびきコンテナターミナル」と併せ、月間42航路201便の定期航路がある。
 
フェリーの新造船投入で輸送能力をアップ
 
RORO船で多様な貨物に対応〜田野浦地区〜
 一方、コンテナの取り扱いをやめた田野浦地区は「中古自動車の輸出や国内外RORO船の基地として特殊貨物を扱っている」(北九州市港湾空港局)。中古自動車約2,000台の蔵置能力を有し、主にアフリカやミャンマー向けに自動車専用船(PCC)が寄港。また振動が少ないなどのRORO船の特長を生かし、精密機械などの特殊貨物の輸出が行われている。
 「中古自動車の輸出はニュージーランドやオーストラリア向けなどが今後も増えると見ています。精密機械は港の背後地にあるクリーンルームで機械を分解し、一定の温度、湿度などを保ちながらRORO船で中国や韓国などに輸出されています。今は不定期ですが国際RORO船の定期航路を早く開設したいと思っています」(北九州市港湾空港局)。
 
西日本最大級のフェリー基地〜新門司地区〜
提供:北九州市
太刀浦コンテナターミナル
 新門司地区は、西日本最大級のフェリー基地や複合一貫輸送ターミナルが整備されている。フェリーは大阪や神戸、東京などに週35便が運航中だ。旅客よりも貨物が中心で、特に小口貨物に対応している。「新門司地区に就航する内航フェリー3社は、計12隻あるフェリーのうち、8隻をリプレイス(新造)する計画です。来年には客室を豪華にし、規模も大きく、燃費の良い船舶が今年1月から順次投入される見通しです。1日5便もあり、輸送能力は25%程度アップされるため、荷主のニーズによりきめ細かく対応できると思います」(北九州市港湾空港局)。
 
完成自動車の物流基地〜新門司北地区〜
 フェリー発着場の対岸には自動車物流センターが整備されている。約18万m2ある完成車・部品トレーラーヤードには完成車6,000台、部品トレーラー630台を蔵置できる能力がある。「このモータープールは輸出向けあるいは九州地区で販売する完成自動車が蔵置されているため、完成自動車が出て行くだけでなく、入ってくる場合もあります。部品トレーラーも置いてあり、注文を受けると、この部品トレーラーを工場に運び、生産ラインに乗せるようです。いわば部品倉庫のような役割も果たしています」(北九州市港湾空港局)。
 隣接する地区には輸出中古車用モータープールが新たに相次いで開業した。2014(平成26)年3月に開業したモータープールは約6万m2の敷地に4,700台の蔵置が可能。同年12月に開業したモータープールは約1万m2の敷地に600台の蔵置できる。「北部九州には自動車産業の集積が進んでいます。このため、名古屋港などにRORO船が週3〜4便程度、自動車専用船(PCC)が週7便程度運航しているのに加え、フェリーも航行するため、国が航路拡幅や航路・泊地の増深などの整備を進めています」(北九州市港湾空港局)。
 
北九州港の位置図
 
アジアとダイレクトでつなぐ
 
ものづくりの街を支える港湾施設
提供:北九州市
田野浦地区
 許斐地区〜洞海湾沿岸にいたる地域は、モノづくりの街「北九州市」を支えている。石炭・製鉄など原材料、工業製品を扱う民間バースが多い。愛媛県に向かう小倉フェリーターミナルのある砂津地区には公共の耐震強化岸壁(浅野1号、ー7m)がある。「この地区には15,000人以上が収容できるスタジアムの整備が進められており、2017(平成29)年3月の供用を予定しています。これに併せ、プロムナードなどの緑地の整備も計画しており、多く人が憩い、賑わう水辺空間づくりを進めるつもりです」(北九州市港湾空港局)。
 
さらなる物流の拠点化
ー取扱貨物量は国内第5位の1億トンー
■海上出入取扱貨物量の主要港比較(2013年実績)
■北九州港の貨物量の推移
 北九州港の2013(平成25)年の海上取扱貨物量は前年比1.7%増の10,052万トン。国内第5位の規模を誇る。取扱品目では輸出で鋼材、金属製品、化学薬品、輸入で石炭、鉄鉱石、LNGがそれぞれ上位を占める。輸出入とも比較的に重量のある品目が多く、工業港としての性格が強いことが、この品目を見ても分かる。
 輸送手段別にみると、フェリー・RORO船が全体の約47%に当たる4,744万トン、コンテナ船が8%に当たる741万トン、その他の船が45%に当たる4,567万トンとなる。フェリー・RORO船の取扱量が多いのが特長で、なかでもフェリーによる車両輸送台数は111.5万台もあり、九州発着の長距離フェリー全体の6割を超えている。一方、コンテナ貨物取扱量はここ数年50万TEU前後で推移している。主な国際コンテナ貨物の品目は輸出でゴム製品、自動車部品、化学薬品、輸入で自動車部品、家具装備品、化学薬品となる。輸出のゴム製品は大型建設機械のタイヤが主力で、ここ数年好調に伸びている。
 北九州市港湾空港局では今後の取扱貨物量について「中古自動車の輸出やLNGの輸入が好調です。特にLNGはひびきLNG基地が11月に運転を開始したので、大幅に増えます。コンテナについても2014(平成26)年5月に中国の太倉との航路を開設し、着実に航路を拡大しています」。就航しているフェリーの大型化や、北九州と大分を結ぶ東九州道の2016(平成28)年春の開通も予定されており、北九州港のさらなる物流の拠点化が進みそうだ。
 
「集貨」と「創貨」の相乗効果で物流拠点化
 
高規格ターミナル活用で企業を誘致〜響灘地区〜
提供:北九州市
ひびきコンテナターミナル
 響灘地区は大型船の寄港に対応できる大水深岸壁(ー15m)を備えた「ひびきコンテナターミナル」が整備されている。アジア各国へのコンテナ航路網に加え、北米・南米とダイレクトにつながる在来航路網もある。最近では同地区を中心に風力発電の関連企業の集積も進みつつある。響灘地区は1年を通じて風が安定しており、風力発電には適した地域。すでに海岸線沿いに風力発電機が10基設置されている。
 「昨年からNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)などが洋上風力発電の実証実験も行っています」(北九州市港湾空港局)。北九州市ではこうした動きを踏まえ、この地区を洋上風力の産業拠点にするため、風力発電関連企業の誘致なども提案している。
 響灘地区は大きなビジネスチャンスを秘めている。2005(平成17)年のターミナル供用開始以降、背後地には約60社の企業が進出。安価で広大な産業用地がまだ残されている。「新たな貨物を作り出す『創貨』に向けた企業誘致を根気強く進めています。北東アジアなどに近いという地の利を活かし、集貨と創貨の相乗効果を高め、さらなる物流の拠点化を図っていきたい」(北九州市港湾空港局)。北九州港の発展は続く。
 
新門司地区の航路浚渫や田野浦地区の既存岸壁改良

提供:北九州港湾・空港整備事務所
新門司地区の航路、泊地浚渫の位置
 北九州港の整備事業では、港内の西側に位置する洞海湾を横断する若戸トンネルを含む「新若戸道路」(1期分延長2.3km)が2012(平成24)年9月に供用を開始し、響灘地区の交通アクセスが向上した。現在は、東側にある新門司地区と田野浦地区での事業が中心となっている。
 新門司地区では、フェリーの大型化などに伴い、航路の拡幅・増深のための浚渫工事が行われている。「2013(平成25)年度までに暫定整備として水深ー8m、航路幅300mの浚渫工事を終えました。2014(平成26)年度から400mへの拡幅浚渫事業に着手しています。最終的には航路・泊地とも水深ー10mにする計画です」(九州地方整備局北九州港湾・空港整備事務所)。
 航路幅400m化による浚渫土量は約44万m3。この浚渫土砂は北九州空港に隣接する新門司沖土砂処分場で処理する。「新門司沖土砂処分場では1996(平成8)年から浚渫土砂の受け入れを開始し、すでに約2,750万m3の土砂を受け入れています。もうすぐ容量の限界に到達してしまうので、この処理場では延命策として浚渫土砂のリデュース(減容化)、リユース(再利用)等により、容量の拡大を行っています」(北九州港湾・空港整備事務所)。
 具体的には、土砂を機械脱水処理し、その脱水処理土を築堤の構造材に活用。埋立容量の増大と資材費の削減を図っている。同時に埋立地内の軟弱な土砂を、鉛直ドレーンと水平ドレーンを組みあわせて圧密沈下(PDF工法)させ、容量の拡大を進めている。
 一方、田野浦地区では以前コンテナターミナルとして使われていたー9m岸壁が老朽化してきたため、RORO船などに対応した岸壁に改良工事が進められている。既存岸壁を3m前出しし、鋼管矢板で2バースを整備する。施工延長は約510m。
 既存岸壁は肥料原料の輸入や中古自動車、精密機器の輸出などに使用されていることから、港湾荷役に支障がないように工区を4つに分割。すでに1工区は完成し、現在2工区を整備中で、2015(平成27)年度には1バース(約230m)を完成させる計画だ。
 このほか、北九州市が高潮対策として新門司北地区や白野江地区で護岸のかさ上げや消波ブロックのかさ上げ工事を実施。同時に緑地整備なども行っている。
 

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