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高知港  提供:高知県

【港湾概要】
【港湾区域】1,304ha
【臨港地区】204.7ha
【バース数】37バース
【取扱貨物量】449万t(2012年実績)
【コンテナ取扱量】11,197TEU(2012年実績)
【貿易額】387億円(2012年実績)
 土佐湾の中央に位置し、古くから京阪神と南四国を結ぶ海上交通の要衝として栄えてきた高知港。鉱産資源の産地を背後に有し、明治以降その積出基地として重要な役割を果たしてきた。1998(平成10)年には太平洋に面した三里地区に高知新港が開港。浦戸湾内の港湾施設とともに、国内外に向けた物流拠点として発展を続けている。今春には高知新港に−11m岸壁(耐震強化岸壁)と、−12m岸壁が新たに供用を開始し、岸壁の混雑への対応も強化する。一方、近い将来に発生が懸念されている南海トラフ地震に備えた防災・減災対策も急ピッチで進められている。
1998年に新港が供用開始し、国際物流拠点に
浦戸湾内にできた自然の良港
提供:高知県
高知港の位置図
 高知港は、浦戸湾内を中心に発展してきた天然の良港。港口には西に桂浜、東に種崎の砂浜がそれぞれ延び、太平洋の荒波を遮る。湾内は随所に埋立地があり、湾内水域は「タツノオトシゴ」のような格好をしている。
 湾内水域面積は7km。湾内は曲路狭長で、多くの河川が流入しているため、流況が複雑なのが特徴だ。流速は大潮時の浦戸大橋付近が最も強く、下げ潮時に1.5ノット近くにも達する。背後地には、高知市を中心とした広域市町村圏(人口約45万人)が広がっている。
 港湾施設は、大別すると浦戸湾内にある各種施設と、外洋に面し国際物流拠点となる高知新港の二つとなる。
 浦戸湾内は、沿岸漁業のための施設となる「浦戸」「藻州潟」「御畳瀬」「横浜」の4地区、鉱産品や工業関連貨物などを扱う公共ふ頭「港町」「潮江」「仁井田」の3地区がある。このうち、潮江地区は以前、フェリーバースとなっていた。
 「弘化台」「潮江」「仁井田」の3地区は金属くずなどを扱う。「若松町」「タナスカ」地区は石油基地があり、「西にしはらみ孕」「仁井田」の2地区はセメントや鉄鋼向けの石灰石などの鉱産品などを扱う。「種崎」地区は造船関連企業が立地する。湾内航路の水深は−7.5mで、「日本丸などの旅客船は湾内に入れる」(高知県土木部港湾・海岸課)。
 
高潮被害を契機に新港計画がスタート
 一方、高知新港は1970(昭和45)年の10号台風で高知市内が大規模な高潮被害を受けたことを契機に港内整備が検討され、外洋に面した三里地区に国際物流拠点となる新港の整備が計画された。事業は1988(昭和63)年に開始され、まず防波堤工事に着手。その後埋立工事などを行い、1998(平成10)年に一部供用が開始された。
 現在、西側に−8m岸壁(延長240m)と−12m岸壁(延長240m)が供用しており、ガントリークレーン、シップローダーが設置され、国際コンテナ貨物やバルク貨物の取り扱いのほか、大型客船や調査船等の寄港など幅広い利用が行われている。
 
提供:高知港湾・空港整備事務所
高知新港
エネルギー施設と観光誘致を強力に進める
石灰石の輸移出が5割を越える
 高知港の2012(平成24)年の総取扱貨物量は449万トン。2001(平成13)年には1,160万トンの取扱貨物量があったが、燃料費高騰に伴うフェリー航路の撤退や公共事業縮小に伴うセメント生産の終了、代替品移行に伴う蛇紋岩の取り扱い減少などにより、全体としては減ってきている。
 一方、鉄鋼やセメント生産向けに背後の土佐山から産出される良質な石灰石(取扱貨物量の5割超)の輸移出をはじめ、石油製品、石炭などの輸移入は、順調に推移している。特に石灰石と石炭の荷役や客船等が競合する高知新港では、岸壁の混雑による機会損失や沖待ちが発生しており、その解消が求められている。
 高知新港で扱うコンテナ貨物量は徐々に伸びている。「韓国・釜山を結ぶ外貿コンテナ航路が週2便あり、2012(平成
24)年のコンテナ貨物量は11,197TEUです。まだまだ規模は小さいですが、着実に増やしていきたい」(高知県土木部港湾振興課)。
 主な品目は韓国やタイ向けの炭酸カルシウム、マレーシアや中国、韓国向けのコンデンサー紙、韓国向けのコンバインなどで、輸入は米国からのパルプ、中国からの稲わら、インドネシアからの農業用資材などとなる。
 
 
■高知新港の取扱貨物量(バルク)の推移 ■コンテナ取扱貨物量の推移
 
−11m岸壁(耐震強化岸壁)と−12m岸壁が供用を開始
 
椰子ガラを利用したバイオ発電が稼働
 浦戸湾の内港地区には最近、エネルギー関係施設もできている。西孕地区では、土佐発電株式会社(太平洋セメントと四国電力、電源開発の3社が出資)が2005(平成17)年よりIPP(卸電力)事業に進出しており、契約最大電力は15万kwで、これは県内供給量の20%に相当する。イーレックスニューエナジー株式会社も輸入バイオマス(椰子ガラ)を利用した発電事業を展開。約2万kwを2013(平成25)年6月から供給している。
 「IPP事業によるエネルギー関連事業や、大型客船の寄港による観光事業などに力を入れています。高知新港で今春に−11m岸壁(耐震強化岸壁)と、−12m岸壁が供用を開始しますが、これによって両事業に弾みがつけば良いと思っています」(高知県土木部港湾振興課)。
 大型客船は2013(平成25)年に「サン・プリンセス(77,000トン級)」や「コスタ・ビクトリア(75,000トン級)」などが高知新港に寄港するなど、着実に寄港が増えている。
 
「三重防護」で県民の生命と財産を守る
高知港の外洋で最大津波16mが襲来
提供:高知港湾・空港整備事務所
大型外航客船が寄港
 一方、近い将来に発生が懸念されている南海トラフ地震に備えた防災・減災対策も進んでいる。内閣府・中央防災会議の資料によると、南海トラフでマグニチュード(M)8〜9クラスの巨大地震が30年以内に発生する確率は70%と予想されている。
 仮にその規模の地震が発生した場合、高知港付近で最大震度が7程度、最大津波高が約16mと予測され、その津波は約
20分で襲ってくるという。また、1946(昭和21)年に発生した昭和南海地震では、広範囲な地域で地盤沈降が発生し、長期間にわたって浸水状態が続いた。
 高知県では、南海トラフ地震に備え、さまざまな観点から防災・減災対策の検討や、その施策の実施に取り組んでいる。「地震による防災・減災対策は県の最優先課題となっています。国が示した発生頻度の高い津波(L1)と、発生頻度は低いが最大級の津波(L2)に分けて、その対策を検討しています」(高知県土木部港湾・海岸課)。
 国や高知県は仮にL1クラスの津波でも、現状の防災施設では甚大な被害が発生すると予測。具体的には①外洋にある第一線防波堤は津波により倒壊②浦戸湾内部の護岸などは液状化により倒壊③広域的な地盤沈降(約2m)により市街地の地盤高は満潮位を下回るなどの事象が起き、高知市中心部は長期的な浸水被害を受けると予想。同時に高知港の港湾機能も停止し、緊急物資輸送や復旧・復興活動に大きな障害がでると見ている。巨大地震となるL2クラスの津波が発生すれば、さらに大きな被害が発生する。
 
発生頻度の高いL1津波に対応した対策
高知港における地震津波防護の対策方針案
提供:高知港湾・空港整備事務所
 こうした被害想定を踏まえ、国土交通省四国地方整備局と高知県は、2013(平成25)年6月に「高知港における地震津波防護の対策方針案」を策定した。方針案では三つの防護ラインを設け、「三重防護」が有効だと打ち出している。
 「高知港の防災対策は、基本的に2003(平成15)年の中央防災会議が想定した東南海・南海地震(M8.6)を対象に検討したものです。三つの防護ラインを設け、L1規模の津波が発生しても、地元の方々の生命と財産を守るというのが狙いです」(四国地方整備局高知港湾・空港整備事務所)。
 三重防護のうち、第1ラインは外洋の桂浜防波堤、南防波堤、東第一防波堤が対象で、この三つの防波堤を粘り強い構造へ補強する。第2ラインは浦戸湾外縁部・湾口部が対象で、第3ラインは浦戸湾内部の護岸などを対象とし、それぞれ地盤沈降などに対応した堤防の嵩上げや液状化対策などを行う。
 「外洋の防波堤を補強することで、津波エネルギーを減衰させ、津波の進入や北上を低減させます。さらに、浦戸湾内部はゼロメートル地帯が多く、津波が襲ってくる前に堤防や護岸が壊れると、甚大な被害が発生するため、堤防などの嵩上げや液状化対策などを行います」(四国地方整備局高知・港湾空港整備事務所)。
 
石油備蓄基地の液状化対策や長期浸水対策も検討
 高知県ではこのほか、石油備蓄基地の液状化対策や長期浸水対策などの検討も進めている。湾内のタナスカ地区には石油・ガスなどのエネルギー関連施設が立地し、県内消費の約90%以上を取り扱っている。仮にこの地区の貯蔵施設が地震の揺れや地盤の液状化、津波などで破損し、湾内に石油などが流れ込むと、大きな被害が発生するとともに復旧や復興の大きな障害にもなる。このため、高知県では石油基地等地震・津波対策検討会(河田恵昭座長)を設置。民間事業者とともに液状化対策などの検討を進めている。
 長期浸水についても高知市と共同で設置した「南海トラフ地震対策連携会議」の中にワーキンググループを設け、止水・排水対策などを検討している。
 「高知県では、地震・津波対策を加速させるという方針を打ち出しています。港湾施設もこの方針に沿って、防災・減災対策を強化していきます。粘り強い構造への補強や液状化対策、嵩上げ、避難路の整備などのハード面の強化だけでなく、避難誘導などのソフト面の対応も組み合わせ、防災対策を進めていきます」(高知県土木部港湾・海岸課)。
 高知県はすでに河川堤防の液状化対策工事や水門・陸こうの自動化、各種の防災訓練などを行っており、今後ハード・ソフトの両面で防災対策を加速させていく考えだ。
 
三つの防波堤の粘り強い構造補強工事は2014年度に本格化
提供:高知港湾・空港整備事務所
高知新港の工事の実施状況
 高知港では現在、高知新港のー12m岸壁、ー11m岸壁の整備や東第一防波堤の延伸工事などが実施されている。高知新港のー12m岸壁、ー11m岸壁は「仕上げ工事中です。ー11m岸壁は耐震強化岸壁で、災害時にはこの岸壁が緊急物資の積み卸し場所になる予定です。2014(平成
26)年度のできるだけ早期の供用開始を目指しています」(四国地方整備局高知港湾・空港整備事務所)。
 東第一防波堤は計画延長が1,100mで、うち900mがすでに完成済み。「今年1月に北側にケーソン2函を据え、40m伸ばしました。上部工を今夏までに終える予定です。南側も2014(平成26)年度からケーソン製作に取りかかります」(四国地方整備局高知港湾・空港整備事務所)。防災・減災に向けた粘り強い構造の補強工事は、東第一、南、桂浜の三つの防波堤すべてに実施を予定。「現在設計中でどういう構造になるかはまだ決まっていませんが、設計が終了次第、工事に入る予定で、2014年度から本格化します」(四国地方整備局高知港湾・空港整備事務所)。
 三重防護策のうち、陸地の堤防や護岸の液状化対策工事などは今後、高知県と国が話し合いながら事業化していく方針だ。
 

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