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大阪港  提供: 大阪市港湾局

【港湾概要】
【臨港地区】1,979.1ha
【港湾区域】4,684ha
【バース数】171バース(うち外航67バース)
【取扱貨物量】8,640万t(2012年実績)
(うち外貿3,621万t、内貿5,019万t)
【コンテナ取扱量】212万TEU(2012年実績)
(TEUは20フィートコンテナ換算)
 「天下の台所」と呼ばれる大阪の経済発展を支えてきた大阪港。背後に大都市圏を抱え、時代の要請に応えながら、埋め立てなどによって港湾施設を順次拡大してきた。年間の取扱貨物量は8,640万トン(2012年)と国内最大級で、特に国際海上コンテナ取扱量は212万TEUと2008年のリーマンショック後も順調に伸びている。2010年8月には神戸港とともに「阪神港」として国際コンテナ戦略港湾に選定され、大型船に対応した港湾施設整備や内航・フェリー・トラックによるフィーダー網の強化策などが進められている。西日本の産業と国際物流を支えるゲートポートとして、飛躍を続ける大阪港の現状を紹介する。
「天下の台所」を支え、拡大を続ける港湾施設
戦前は国内第1位の貨物取扱量を誇る
 大阪港は難波津(なにわづ)と呼ばれ、古くから外国との交流を行ってきた。大陸の文化を都(京都)に伝えた遣隋使は難波津から大陸に渡ったとされる。江戸時代には安治川の開削によって、大型廻船の上流への進入が可能となり、港の機能が強化された。これにより、全国から米や油、野菜、魚などの特産物が同港に集まり、大阪は「天下の台所」と呼ばれるほど繁栄を極めた。
 開港は慶応4(1868)年。当時は安治川を主とする河川港でしかなかったが、オランダ人技師デ・レーケが築港計画などを進め、徐々に桟橋などの港湾施設が整い、外国海運との交易が進んだ。戦前の大阪港は国内最大の港湾施設で、最盛期であった1937(昭和12)年は入港船舶22万隻、4,381万総トン、1939(昭和14)年には取扱貨物量が3,126万トンと全国1位となった。
 ただ、第二次世界大戦と相次ぐ台風、地盤沈下などで大阪港は壊滅的な被害を受け、港湾機能が著しく低下した。一時は再起が危ぶまれたこともあったが、戦後間もない1947(昭和22)年に大阪港復興計画が策定され、港湾施設が順次修復されたことで、入港船舶や取扱貨物量を徐々に取り戻していった。大阪経済が活況になると、港湾施設は手狭となり、咲洲、舞洲、夢洲の各地区が埋め立てよって整備され、それらの地区を結ぶ交通アクセスも建設された。
集貨・創貨に向け、インセンティブ制度を創設
咲洲、舞洲、夢洲の3地区は高度成長期に整備
提供: 大阪港湾・空港整備事務所
大阪港の位置図
 大阪港を大別すると、「在来臨海部」と「新臨海部」の二つに分けられる。在来臨海部は主に戦前に整備された此花地区や港地区、大正地区、住之江地区など。一方、新臨海部は戦後の高度成長期に整備された舞洲地区、咲洲地区、夢洲地区などとなる。
 「大阪港は人口約2,100人を有する一大生産・消費圏の玄関口として、これらのエリアの成長・発展を支えてきました」(大阪市港湾局)。
 在来臨海部には主に鉄鋼・化学・機械などの各メーカーが立地し、比較的小型の船舶に対応した岸壁やRORO船などの岸壁がある。地区内は交通の利便性も良く、工場跡地には新たな都市機能を誘致するなどリノベーション事業が進められている。此花区にあるユニバーサルスタジオジャパンや天保山にある水族館「海遊館」はその代表と言える。
 新臨海部には物流施設やエネルギー施設なが立地し、国際物流ターミナルやフェリーターミナルなどが配置されている。夢洲地区では物流の高度化を図るため、咲洲地区からのコンテナ貨物の移転・集約が行われ、産業・物流関連施設との一体的な整備が進みつつある。また、咲洲の南港地区では貨物の集約や利便性向上を目指したふ頭の利用転換が行われている。
 
民営化した埠頭会社がスピーディーな施策を展開
 港湾管理者である大阪市は、神戸港と大阪港が「阪神港」として国際コンテナ戦略港湾に選定されたことを踏まえ、「国際競争力の強化」に取り組むとともに、「防災・減災対策」、「観光・地域の活性化」とあわせ3つの柱を重点施策に掲げている。
 国際競争力の強化では主に①定期内航フィーダー網の再構築などによる「集貨機能の強化」②産業・企業の立地促進による「創貨」③阪神港のコンテナターミナル全体を一元的に経営する港湾経営主体の確立などに取り組んでいる。具体的にはハブ機能を強化するため、船舶の大型化に対応できる主航路の拡幅と水深16m化、夢洲のC−12岸壁の延伸(延長400mを650mに)などを実施している。
 集貨・創貨に向けた対策では、西日本の貨物を阪神港に集約するため、インセンティブ制度やインランドポート(内陸の貨物集積拠点)などを促進する補助制度、支援措置などを展開。大阪港では大阪港埠頭株式会社が大阪港を経由するコンテナ貨物などで▽外貿コンテナ貨物の増加に資する「外貿コンテナ貨物増加事業」▽フェリー等内航輸送網の強化に資する「内航船によるコンテナ貨物等輸送事業」▽コンテナ輸送の効率化による港頭地区の混雑緩和に資する「コンテナラウンドユース事業」に対し、荷主や内航船社を対象にインセンティブを付与している。
 また、同社は昨年10月からは新規航路誘致に向けた対応も強化。新規航路を開設する運航船社もしくは日本総代理店に対し、入港1回につきインセンティブを付与する制度もスタートさせた。
 「大阪港埠頭株式会社は国や自治体の港湾施設を一元的に運営する特例港湾運営会社です。民間企業になったことで、経営判断も速く、スピーディな事業展開を行っています。市も同社が進める各種インセンティブ制度を充実させるため、市民の理解を得ながら予算的な支援ができないか検討しています」(大阪市港湾局)。
 同社の前身は旧大阪港埠頭公社で、2011年4月に株式会社化された。2012年10月には国土交通大臣から特例港湾運営会社に指定され、同年12月から特定ふ頭群の運営を開始。計画では2015年度までに、同様に特例港湾運営会社に指定されている神戸港埠頭株式会社と経営統合される予定だ。
 
コンテナ貨物が順調に伸びる
ー 岸壁耐震化やコンテナの増加に対応 ー
■取扱貨物量の推移 ■コンテナ貨物取扱量(外貿)の推移
出典:大阪市港湾統計より
 大阪港の2012年の取扱貨物量は8,640万トン。うち内貿は5,019万トン、外貿は3,621万トンとなる。外貿では圧倒的に輸入が多く、「輸出を増やすのが今後の課題」(大阪市港湾局)となっている。輸出は871万トンで、主に鋼材や再利用資材、産業機械、化学工業品などが多く、輸入は衣料、履き物などの消費財、電気製品などの取り扱いが目立つ。輸出入とも中国や韓国、台湾、タイなどとの交易が中心だ。
 一方、外貿コンテナ貨物取扱量は順調に伸びている。2012年の外貿コンテナ取扱量は212万TEU。うち輸出が94万TEU、輸入が118万TEUとなる。今年もコンテナ貨物取扱量は順調に増えており、「10月末までに前年比3%増で推移しているため、過去最高の2011年の217万TEUに達する勢いです」(大阪市港湾局)。
 
夢洲の先行開発地区に高度な物流施設を誘致
国際戦略特区に指定し、各種の優遇措置を設ける
 大阪市港湾局が「創貨」の拡大で力を入れているのが夢洲の先行開発地区への産業・企業の立地促進だ。同地区は関西イノベーション国際戦略特区に指定され、国、大阪府、大阪市がそれぞれ各種の優遇制度を設けている。大阪市でみると、同地区に進出した企業に対し府と共同で「地方税ゼロ(固定資産税・都市計画税などを5年間ゼロとし、その後5年間も2分の1)」にする制度を設けている。
 同時に同地区の基盤整備も進め、コンビニエンスストアの設置や新規路線バスの運行、シャーシプール、車両整理場などの整備が進むとともに、就業者の足となる路線バスも運行されている。
 「夢洲の先行開発地区は、大水深コンテナターミナルの背後に位置し、国内でも有数の大規模な開発空間があります。産業・物流施設の立地をお願いしたいと考えていますが、従来の在庫調整型の物流機能ではなく、荷を揚げて直ぐに仕分けし出荷するというような高規格な物流施設の集積を通じて、より効率的な物流ネットワークの形成を図っていきたいです」(大阪市港湾局)。
 本年度に進出企業を公募した2区画は引き合いも多かった。結果的に①−1区画(約4.3ha)と、①−2区画(約4.0ha)は、民間物流会社2社の進出が決定した。今後3年間程度をかけて他の4区画も公募する方針で、同地区をどう開発していくかは、同港の国際競争力を高める上で、大きなカギを握りそうだ。
 
 
提供: 大阪市港湾局
咲洲地区コンテナターミナル
提供: 大阪港湾・空港整備事務所
夢洲地区(北港南地区)
 
防災・減災対策を積極的に展開
クルーズ船の母港化を起爆剤に賑わいを創出
提供: 大阪市港湾局
天保山旅客船ターミナル
 防災・減災対策では、内閣府の中央防災会議の南海トラフ巨大地震の被害想定や大阪府の津波浸水シミュレーションなどを踏まえ、ハードやソフト対策を進めている。大阪港地震・津波対策アクションプランを本年度中に見直すほか、岸壁や橋梁の耐震化を進めている。また、防潮扉の電動化や開閉情報を伝達する集中監視システムの改良、老朽化した防潮堤の耐震化・維持修繕なども行っている。夢洲は地盤高を上げて津波災害などに備えている。
 観光・地域の活性化では、市の組織に経済戦略局を昨春に新設し、地域の活性化に向けた各種の施策が検討されている。その目玉事業の一つとしてクルーズ船の母港化構想が打ち出されている。クルーズ船の単なる寄港ではなく、母港化を進め、内外集客力の強化を図り、新たなウォーターフロントの街づくりを進める。具体的には天保山旅客船ターミナル地区などを母港化の候補地にあげ、その周辺を一体的に賑わいのある街づくりを進める計画だ。
 大阪港ではこのほか、府市統合による港湾管理者の一元化計画も浮上している。大阪港や堺泉北港、阪南港の港湾管理者を統合し、より機動的かつ柔軟なサービスを提供できる組織「新港務局」を設けるものだ。大阪港はこうした革新的な取り組みを進め、より一層の飛躍を目指している。
 
 
大型船に対応するため、主航路浚渫とC−12バースの延伸を実施
 大阪港では現在、主航路の浚渫工事、夢洲の北港南地区(C−12)延伸部工事と荷さばき地地盤改良工事、港湾施設の老朽化対策工事などが進められている。いずれも直轄事業として実施されているもので、主航路の浚渫工事以外は本年度から事業着手された。
 主航路の浚渫工事は2011年度から事業着手。すでに水深15m化は終了し、現在航路の拡幅を行っている。「主航路の幅は現在400mですが、これを560mに拡幅しています。今後は−16m化に向けて漁業補償に着手する予定で、補償妥結後に−16m浚渫工事を進める計画です」(国土交通省近畿地方整備局大阪港湾・空港整備事務所)。
 夢洲のC−12延伸工事は、国際物流コンテナターミナルとして供用を開始しているC−10(延長350m、−15m)、C−11(延長350m、−15m)、C−12(延長400m、−16m)のうち、C−12を250m延伸させ、延長650m(−16m)として利用する計画だ。「コンテナ船の大型化に対応した水深・広さを有するターミナルにする計画です。現在、地盤改良工事を進めており、今後捨石で基礎工を構築し、土留めのケーソンを据え付け、鋼材で桟橋を造ります」(大阪港湾・空港整備事務所)。
 同地区の荷さばき地(C−12)地盤改良工事は、C−10〜12が耐震強化岸壁として整備されているが、その背後の荷さばき地が液状化する可能性があるため、現在、既存のC−12背後の荷さばき地で地盤改良工事を進めている。地盤改良はまず施工区域の周囲の土をドリルでほぐして緩衝地帯を設け、その後サンドコンパクションで砂杭を打設する。荷さばき地の地盤改良は今後順々に各地区で行う計画だ。
 港湾施設の老朽化対策工事は安治川内港地区と大正内港地区の2カ所で施工を進めている。昭和40年前後に造られた岸壁のエプロン部にクラックが入ったり、コンクリートがはく離したり、鉄筋が露出したりしているケースがあるため、老朽化診断をした上で、最適な工法を選択し、修復作業を進める。
提供:大阪港湾・空港整備事務所
大阪港夢洲北港南地区(C-12延伸部)の断面図
 

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