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境港全景 提供:境港湾・空港整備事務所

【港湾概要】
【臨港地区】1,776ha
【バース数】46バース
【取扱貨物量】363万t(2012年実値)
【コンテナ取扱量】18,280TEU(2012年実値・実入)
【入港船舶数】13,029隻(2011年実値)
 鳥取、島根両県にまたがり、天然の良港として栄えてきた境港。古くから日本海国内航路の要衝として、さらには大陸貿易の拠点として重要な役割を担ってきた。2009(平成21)年には悲願だった環日本海諸国(日本・韓国・ロシア)を結ぶ国際定期フェリーが就航。2011(平成23)年には日本海側拠点港に選定され、人やモノが交流する「北東アジアのゲートウェイ(玄関口)」として、着実に地歩を固めつつある。
全国で唯一、2県(鳥取・島根)にまたがる港湾
戦後に外港地区を整備
 境港は、日本海の荒海を島根半島が遮り、自然条件に恵まれた山陰地方唯一の良港として発展してきた。敦賀と下関の両港のほぼ中間に位置し、阪神、山陽、九州の各経済圏とも密接な関係を有し、日本海側の国内外の交流拠点として栄えてきた。貿易港としての開港は1896(明治29)年10月。神戸税関管内では神戸港に続いて古く、当時は今の内港地区を中心に中国の大連や、北朝鮮の清津・元山、韓国の釜山との定期航路が開設されていた。
 戦後、1951(昭和26)年に重要港湾に指定され、1958(昭和33)年には港湾区域が全国で唯一、鳥取・島根両県にまたがるため、両県協定による境港管理組合が発足。現在も一部事務組合(特別地方公共団体)である同組合が港湾管理を行っている。昭和40年代から現在の外港地区の埋め立てが進められ、ふ頭や岸壁などが相次いで整備された。
 1966(昭和41)年に背後地一帯が中海地区新産業都市に指定されたことを契機に、企業進出が進んだ。特に1995(平成7)年は境港が貿易港として大きな飛躍を遂げた年で、輸入促進地域計画(境港FAZ計画)が国から承認されるとともに、中国・韓国との定期コンテナ航路も開設された。
 2004(平成16)年には山陰地域初の国際コンテナターミナルとアクセス道路となる江島大橋が供用を開始し、物流拠点としての機能が強化された。日本・韓国・ロシアの3国を結ぶ国際フェリーが2009(平成21)年に就航。2011(平成23)年にはリサイクルポートに指定されるとともに、日本海側拠点港(原木の拠点、国際海上コンテナ輸送、外航クルーズの3つの機能)にも選定された。
 現在、港湾背後地には製材業、製紙業、金属機械製造業、リサイクル関連産業など多様な産業が立地し、新たに操業を開始する企業も多い。特に近接する米子鬼太郎空港と相互の連携を図り、人、モノの交流が着実に増えてきている。
日・韓・露の3国を結ぶ国際フェリーが就航
水深14mの国際ターミナルを配置
 境港の主な港湾施設は、境水道沿いに位置し、古くから栄えてきた内港地区、戦後に埋め立てによって造られた外港地区、中海に隣接する江島地区などがある。このうち、内港地区はJR境港駅に隣接し、水深6.4m〜7.0mの5バースがあり、隠岐の島を結ぶ定期フェリー乗り場(隠岐諸島フェリー1日1便、隠岐諸島高速船1日1便)がある。江島地区は島根県内にある港湾施設で、主に原木・石材などを扱う。水深7.5mと水深9.0mの2バースがある。2004(平成16)年10月に江島大橋が供用開始し、江島地区と鳥取県側の渡地区が結ばれ、港内物流の円滑化が図られた。
 一方、外港地区は、昭和北、昭和南、中野、竹内、竹内南の地区で構成される。外港昭和北地区は韓国・ロシアを結ぶ国際フェリーが就航する国際旅客ターミナル(−7.5m)や、セメント・原木・重油などを扱う外港1号(−9.0m)、外港2号(−7.0m)などあり、全8バースが配置されている。外港昭和南地区は石油製品を扱うドルフィン3基(−7.5m)をはじめ、木材チップ・原木・金属くずなどを扱う昭和南1〜3号(−7.5m〜−13.0m)、国際コンテナターミナル(−14.0m)など、4バースがある。国際コンテナターミナルには韓国や中国などの航路が計週5便が就航している。外港竹内地区は竹内1〜4号(−5.5m〜−7.5m)があり、完成自動車・再利用資材・農水産品などを扱っている。
 
境港の位置図
 
コンテナは順調に拡大
 
 境港の2012年の取扱貨物量は363万トンで、前年比7.0%減だった。このうち、輸出・輸入を合わせた外貿が前年比10.6%減の192万トン、移出・移入を合わせた内貿が同2.7%減の171万トンで、いずれも減少した。外貿では紙・パルプの輸出は増えたものの、木材チップの輸入が大幅に減少したのが響いた。内貿ではセメントの移入が増えたが、原木の移出が大幅に減少した。
 コンテナ(実入)個数は同0.8%減の18,280TEU。リーマンショック後も順調に伸びており、中国や韓国からの輸入が好調だ。
 
太平洋側、瀬戸内海側の港湾のリダンダンシー機能を
高速道路のアクセスが充実
 取扱貨物量はリーマンショック後の2009年に落ち込んだものの、年間400万トン程度で推移している。このうち、外貿コンテナ取扱量はリーマンショック以前よりも増えており、輸入・輸出とも順調だ。その背景には「韓国や中国などの主要港との地理的優位性や港湾施設と連携した陸上輸送網の充実、北東アジアの国々との連携の強化などがある」(境港管理組合港湾管理委員会の小倉誠一事務局長)という。
 特に高速道路網は中国横断道尾道松江線吉田掛合IC〜三刀屋木次IC間、同三次東JCT・IC〜吉田掛合IC間、中国横断道姫路鳥取線大原IC〜西粟倉IC間が今年3月にそれぞれ供用を開始、山陰道中山〜名和間、同名和〜淀江間、鳥取豊岡宮津福部IC〜岩美IC間が本年度中に供用開始を予定しており、港へのアクセスが格段と良くなる。さらにこれらの新設区間は大半が新直轄方式で整備されているため、高速道路料金が無料の区間が多いのも大きな魅力だ。
 もう一つ境港の強みは自然災害に対する安全性の高さだ。山陰沖には海溝型地震を引き起こすプレート境界が確認されておらず(文部科学省地震調査研究推進本部の資料を参照)、今後30年以内に大型地震や大津波などの発生の危険性が極めて低いことだ。「こうした安全性を考えると、境港は太平洋側や瀬戸内海側の港湾の代替機能として高いポテンシャルを備えており、リダンダンシーの観点からも重要な役割を担う」(小倉事務局長)。
 
外航クルーズ寄港58回を目指す
 境港は2011年に日本海側拠点港の「原木の拠点」、「国際海上コンテナ輸送」、「外航クルーズ」の3つの機能に選定された。このうち、国際海上コンテナ輸送については、現行の中国・韓国航路週1便、韓国航路週3便、中国航路週1便の計5便の国際航路を2015年までに週6便に、2025年までに週7便に増便する計画だ。同時に新規企業の立地促進や他港との連携なども進めるほか、「これまで電子機器類などの真空梱包ができる企業が地元にありませんでしたが、こうした梱包サービスができる企業を誘致し、国際シームレス物流システムを導入して、これまで他港を利用していた荷物を呼び込む方針です」(小倉事務局長)。2025年のコンテナ取扱量は2010年実績(7,530TEU)の3.5倍まで拡大させる考えだ。
 外航クルーズについては、2012年に年間16回の寄港があったが、2015年に年間26回(安定寄港)、2025年には58回(安定寄港)という目標を掲げている。「すでに13万トン級のクルーズ船の受け入れが可能です。大型クルーズ船は現在昭和南地区に接岸しますが、竹内南地区の新たな貨客船ターミナル整備を国に要望しています」(小倉事務局長)。
 原木の拠点については、日本海側ではすでに原木輸入量が1位で、全国でも4位の実績を武器にさらに取扱量を拡大する。輸出入を併せると原木の取扱量は年間42万トン近くあり、これを2015年に年間75万トン、2025年に年間102万トンまで増やす。ただ、既存の港湾施設では貨物が混在し、大型船対応岸壁が不足しているため、「中野地区に国際物流ターミナルを整備し、ふ頭の再編や船舶の沖待ちの解消などを進める予定です」(小倉事務局長)。
 
 
提供:境港湾・空港整備事務所
内港地区。隠岐の島の定期フェリー船が接岸
提供:境港管理組合
外港昭和南地区4号岸壁に接岸するコンテナ船
 
トライアル輸送を通じて新ルートを確立
国際フェリーで新規需要を開拓
 境港管理組合ではこうした動きと並行して、新たな物流ルートの確立を目指し、各種のトライアル輸送も進めている。その一つが国際フェリー・RORO船を活用した中国・韓国・ロシアとのトライアル輸送だ。現在環日本海定期貨客船(DBS)が就航し、境港と韓国の東海(トンヘ)、ロシアのウラジオストックを結んでいるが、このDBSフェリーを利用し、日本からの貨物を韓国の東海に運び、韓国国内を陸送で仁川港に持って行き、そこから中国の大連、青島、天津に運ぶ。「DBSフェリーは常に韓国からの観光客でほぼ満室状態(約300人)で境港に来港します。このフェリーを乗客だけでなく、貨物の小口輸送にも活用することを考えています。フェリーは時間短縮、コスト面で強味があり、課題などを今後洗い出し、新ルートを確立していきたい」(小倉事務局長)。
 一方、国内の新たな定期航路の開拓も進めている。今年4月、境港と新潟港、苫小牧港を結ぶRORO船のトライアル輸送を実施。農産品やリサイクル原料、原乳などを移入し、農機や紙製品、機械製品などを移出した。小倉事務局長は「現在舞鶴港から北側にしか定期航路がなく、山陰を結ぶ航路がありません。このため、山陰からの貨物は陸送で行われていますが、こうした貨物を集め、新たな定期航路を開拓したい」という。
 2012年にリサイクルポートの指定を受け、リサイクル貨物でもトライアル輸送を検討中だ。具体的には①固形燃料(RPF)を韓国のセメント工場の燃料として輸出する②韓国からタイヤ・タイヤチップを輸入する③リサイクルポートの先進港である酒田港や能代港と連携などを計画している。
 小倉事務局長は「さまざまなトライアル輸送を通じて、これまでなかった新たなツールを確立し、企業の方々に境港の利用をもっと提案していきたい」という。
 
提供:境港管理組合
外港昭和北地区外港2号岸壁に接岸する国際フェリー
 
本格化する外港中野地区国際物流ターミナル工事
防波堤は120m延伸
提供:境港湾・空港整備事務所
外港中野地区国際物流ターミナルの建設計画
 境港では現在、直轄事業として外港地区の防波堤延伸工事と外港中野地区国際物流ターミナル工事が進められている。防波堤延伸工事は日本海に面した外港地区の静穏度を保つため、総延長3,850mの防波堤のうち、先端部分の120mを延伸する。事業着手は2010年度で、ケーソン式の防波堤を構築する。ケーソンは全部で13函を製作し、据え付ける。1函当たりのケーソンは高さ7.5m、幅5.7m、奥行き10.2mの大きさ。工事を担当する中国地方整備局境港湾・空港整備事務所の安達崇工務課長は「ケーソンは竹内地区のヤードで製作しています。すでに4函の製作・据付を終え、3函を現在製作中で本年度中にも据え付ける予定です」という。完成は2016年度を予定している。
 一方、外港中野地区国際物流ターミナルは新たにふ頭用地と水深12mの岸壁、泊地を整備するもの。2012年度に事業化され、すでに基本設計を終えている。現在岸壁の埋立の承認申請を行っており、今夏までには認可を得て、本格的な工事に入る予定。直轄事業では既設護岸を40m前出しして延長240mの岸壁を建設する。岸壁は重力式のケーソン構造で、全部で21函を製作し、据え付ける計画だ。「今年度はケーソンの詳細設計や、認可取得後に地盤改良工事などを実施します。来年度には一部ケーソンの据付が始まる予定です」(境港湾・空港整備事務所の安達工務課長)。完成は2016年度を予定。
 

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