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左側が彦島、右側が本土。その間の海峡が「小瀬戸」。 提供:下関市

【港湾概要】
【臨港地区】149.6ha
【バース数】31バース
【入港船舶】3万7,163隻(2010年)
【総トン数】1,428万t(2010年)
【取扱貨物量】599万t(2011年)
【コンテナ取扱量】7.9万TEU(2011年速報値)
 本州の最西端に位置し、関門航路を前面に臨む下関港。古くから海陸交通の要衝として栄え、今もアジアと本州を結ぶ玄関口として発展を続けている。大陸の主要商業港に近いという地理的優位性に加え、迅速な検査体制や多様な輸送モードを整え、各種物資の高速輸送を支えている。特に韓国・中国への国際フェリーは週11便あり、国内最大の国際フェリー基地となっている。2011(平成23)年4月の港湾法改正で国際拠点港湾に指定され、さらに同年11月には日本海側拠点港の総合的拠点港に選定された同港の現況を紹介する。
国内最大級の国際フェリー基地
関門・関釜の両連絡船が運行
 下関港は、関門海峡を挟んで九州に近接し、国内外の交通の要衝として古くから栄えてきた。源平両氏による壇ノ浦の戦い(1185年)や、宮本武蔵と佐々木小次郎の巌流島(舟島)の決闘(1612年)の舞台にもなり、日本の歴史とともに発展してきた。
 江戸時代には、商業港湾として著しく発展。毛利氏の統治下で培われた北前船による諸国物産の集散地としての機能は、現在の下関港の基礎となっている。明治時代には、関門・関釜の両連絡船の基地が置かれ、1905(明治38)年に関釜連絡船が就航、1907(明治40)年には第一種重要港湾に指定された。
 朝鮮半島や台湾などとの貿易が盛んになるにつれ、港湾施設の整備も順次拡充された。1914(大正3)年には豊前田町に関釜連絡用桟橋が築造され、1921(大正10)年から1929(昭和4)年までの9年間を第1期修築工事として唐戸から岬之町に至る東港区が築造された。また、1937(昭和12)年に着手された第2期修築工事(6年間)では、下関の本土と彦島の間の海峡「小瀬戸」が締め切られるとともに、第一突堤が築造された。
 戦後、大陸貿易が途絶え出入船舶数が激減したものの、1950(昭和25)年の朝鮮戦争を契機に再び増加。1951(昭和26)年には特定重要港湾に指定され、港湾施設の整備も再び開始された。
 1958(昭和33)年に関門国道トンネルが開通したことなどから、連絡港としての性格は薄れていったが、1970(昭和45)年に関釜航路が再開。わが国最初の国際定期フェリー航路として脚光を浴びた。その後、中国・青島航路、上海航路(現在蘇州太倉航路に変更)などが開設されるとともに、1992(平成4)年には韓国・釜山港とのコンテナ航路も就航し、現在韓国に週4便のコンテナ船が航行している。
トラック・鉄道など多様な輸送サービス
韓国と中国に週11便が運航
 下関港は現在、「本港」、「岬之町」、「西山・福浦」、「長府」、「東港」、「新港」の6地区に分かれている。
 このうち、中心的な役割を担うポートエリアが本港地区となる。戦前に整備された第1突堤に加え、戦後に第2突堤と細江ふ頭が建設された。現在13の岸壁(−4.5m〜−13.0m)が供用されている。関釜フェリー航路や日中フェリー航路の発着施設となる国際ターミナルや税関をはじめとする海事官公庁、多様な貨物に対応できる倉庫、冷凍冷蔵庫などの施設もある。国際ターミナルはJR下関駅とペデストリアンデッキで結ばれており、駅から徒歩5分で行ける。高速自動車道の下関インターチェンジ(IC)にも15分と近く、JR貨物下関駅も隣接している。
 「本港地区は国際フェリー基地で、人とモノの国際交流拠点です。韓国と中国への国際フェリーは週11便運航し、東日本大震災前には乗降客数が年間25万人ありました」(下関市港湾局の阪田高則参事)という。
 本港地区から関門橋側に隣接しているのが岬之町地区。コンテナターミナル地区で、4つの岸壁(−5.5m〜−10.0m)とガントリークレーン1基、ストラドルキャリア1台、CFS(荷さばき場)2棟、上屋・くん蒸庫などがある。
 現在、韓国の釜山港・馬山港に週4便の定期コンテナ航路が就航中。輸出では産業機械や工学・医療用器械、電気機械など、輸入では衣服・履き物などの生活用品、水産品、野菜・果物などが取り扱われている。
 
 
提供:下関港湾事務所
本港地区細江ふ頭
下関港の各地区の機能
年中無休の通関でスピーディーな検査体制を確立
東港地区で進むウォーターフロント
 彦島の先端にある西山・福浦地区は両地区でそれぞれ機能が異なる。西山ふ頭は主に木材の輸入基地で、−12m岸壁1バース、−5.5m・−4.5m岸壁各1バース、木材用野積場(5万3,000m2)がある。福浦地区はプレジャーボートの海上係留施設や陸上保管施設などがある。
 周防灘に面した長府地区は、港湾背後地に下関市東部の臨海工業地帯が位置し、多くの企業が立地している。北米や豪州との定期貨物航路が運航し、輸移出では大型タイヤ、輸入では製材や非鉄金属などの貨物を主に取り扱っている。
 門司港の対岸となる東港地区は、下関港の発祥の地で、現在関門海峡の景観を生かしたウォーターフロント開発エリアとなっている。市立水族館となる「海響館」や5万トンクラスの外航旅客船が接岸できる岸壁などがある。また、隣接する唐戸地区には明治・大正時代のレトロな建物がそのまま残されているほか、下関の食文化を担う新唐戸市場、フィッシャーマンズワーフである「カモンワーフ」、門司港や巌流島への周遊船が発着する唐戸桟橋などもあり、休日には多くの人でにぎわっている。
 
国際コンテナを中心とした新物流拠点
 北浦海域・垢田沖合に位置する新港地区は、新たに下関沖合人工島「長州出島」を整備し、港湾を核とした運輸・物流ゾーンとなる地区だ。長州出島は陸地から約1km離れた海域に約61.4haの広さの人工島を造成する計画。大型コンテナ船を中心とする多様な船舶を着岸させ、荷役作業を行うための大規模なふ頭用地をはじめ、貨物をストックする保管施設用地、業務施設用地、下水処理場用地、緑地、道路・橋梁用地などを整備する。
 1995(平成7)年に工事着手し、2008(平成20)年度には−12m岸壁1バースと関連施設が供用を開始している。
 下関市港湾局の阪田参事は「長州出島の多目的国際ターミナルは、東アジアの新たな物流拠点を担う施設として期待しています。将来的には岬之町地区のコンテナターミナル機能や本港地区の一般貨物の取扱機能をこちらに移し、アジア航路の拠点港を目指す」という。
 現在、長州出島と下関市内を結ぶ国道191号下関北バイパスを含めた関連道路の整備も進められており、背後圏のアクセスの強化とともに、下関港の新たな国際ゲート・ポートとして長州出島がその役割を果たしていくだろう。
 
 
提供:下関市
東港地区。右側の白い施設が水族館「海響館」
風力発電のハネ部となる大型ブレードも取り扱っている。
提供:下関港湾事務所
 
下関港の取扱貨物量(2011年速報値)
出典:『下関港統計年報』
「急ぐ貨物・高価な貨物」が得意
 下関港は、韓国の釜山港まで約230km、中国の商業港(上海、青島、大連)まで約1,000kmとアジアの主要港と海上距離が短く、国内の鉄道や高速道路網とのアクセスも良いのが特徴だ。また、国際フェリー基地の特色を生かすため、年中無休の通関体制を国内で初めて確立するなど、迅速な輸送を可能にしている。
 取扱貨物量は2000(平成12)年に入りほぼ900万トン前後を維持してきたが、リーマンショックの影響を受け2009(平成21)年は571万トンに激減。ただ、2010(平成22)年には前年比13%増の645万トンに回復している。
 下関市港湾局の阪田参事は「国際フェリー便を活用し、生鮮食料品等スピードを重視する物資を今後積極的に取り込んでいき、取扱貨物量を増やしていきたい」という。すでに韓国産の野菜の輸入シェアは6割を越え、切り花も約8割近くあり、スピードが求められる物資の取り扱いは増えている。また、精密機械、自動車部品など高価な物資の取り扱いも増加。「急ぐ貨物」や「高価な貨物」を今後も積極的に取り扱っていく方針だ。
 
多様な利点を生かし「長州出島」の顧客を開拓
新物流拠点となる下関港沖合人工島
提供:下関市
下関港沖合人工島「長州出島」。
 下関港は海岸事業などの工事が一部実施されているが、主力の工事は、新港地区の人工島「長州出島」建設工事だ。人工島は1991(平成3)年3月と1999(平成11)年3月の港湾計画改定で計画が位置付けられ、1995(平成7)年度から物流ゾーンの工事に着手。
2006(平成18)年度には泊地(−12m)の整備にも入った。
 2007(平成19)年度には陸地と人工島を結ぶ橋梁が暫定2車線で完成し、2008(平成20)年度末には−12m岸壁1バース(延長240m)と関連施設が供用を開始している。
 人工島の造成は、関門海峡の航路浚渫土砂を利用。1−1工区と1−2工区に分けて行い、現在人工島西側の1−2工区の護岸(防波)の上部コンクリート工事と−12mの泊地浚渫工事を実施中だ。2012(平成24)、2013(平成25)年度で仮締め切りを行い、その後浚渫土砂を投入。完成は平成20年代後半を予定している。下関市港湾局は、長州出島の利用者の拡大に力を入れている。長州出島の特徴である▽強制水先規制が適用除外され、現ターミナルより港費が安価▽関門海峡外にあるため、大陸との所要時間を本港地区に比べ1時間短縮▽水深12m岸壁2バースを整備し、3万DWT級のコンテナ船・貨物船も接岸可能などをPRし、顧客の獲得に努めている。
 下関市港湾局の阪田参事は「現在、入港料・岸壁使用料・荷さばき地使用料・荷役機械使用料について減免制度を導入し、多くの方々に長州出島の利用を呼びかけています」と述べるとともに、下関港が地理的な優位性だけでなく、スピーディな輸送手段、検査体制を確立しているため、他港に比べ「より安く、より速く、より便利な港だ」と強調する。従来の国際フェリー基地の機能と合わせて、「今後は長州出島を国際コンテナ貨物を中心とした国際物流拠点に発展させたい」としている。
 

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