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左側が彦島、右側が本土。その間の海峡が「小瀬戸」。 提供:下関市 |
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関門・関釜の両連絡船が運行 |
下関港は、関門海峡を挟んで九州に近接し、国内外の交通の要衝として古くから栄えてきた。源平両氏による壇ノ浦の戦い(1185年)や、宮本武蔵と佐々木小次郎の巌流島(舟島)の決闘(1612年)の舞台にもなり、日本の歴史とともに発展してきた。 江戸時代には、商業港湾として著しく発展。毛利氏の統治下で培われた北前船による諸国物産の集散地としての機能は、現在の下関港の基礎となっている。明治時代には、関門・関釜の両連絡船の基地が置かれ、1905(明治38)年に関釜連絡船が就航、1907(明治40)年には第一種重要港湾に指定された。 朝鮮半島や台湾などとの貿易が盛んになるにつれ、港湾施設の整備も順次拡充された。1914(大正3)年には豊前田町に関釜連絡用桟橋が築造され、1921(大正10)年から1929(昭和4)年までの9年間を第1期修築工事として唐戸から岬之町に至る東港区が築造された。また、1937(昭和12)年に着手された第2期修築工事(6年間)では、下関の本土と彦島の間の海峡「小瀬戸」が締め切られるとともに、第一突堤が築造された。 戦後、大陸貿易が途絶え出入船舶数が激減したものの、1950(昭和25)年の朝鮮戦争を契機に再び増加。1951(昭和26)年には特定重要港湾に指定され、港湾施設の整備も再び開始された。 1958(昭和33)年に関門国道トンネルが開通したことなどから、連絡港としての性格は薄れていったが、1970(昭和45)年に関釜航路が再開。わが国最初の国際定期フェリー航路として脚光を浴びた。その後、中国・青島航路、上海航路(現在蘇州太倉航路に変更)などが開設されるとともに、1992(平成4)年には韓国・釜山港とのコンテナ航路も就航し、現在韓国に週4便のコンテナ船が航行している。 |
韓国と中国に週11便が運航 |
下関港は現在、「本港」、「岬之町」、「西山・福浦」、「長府」、「東港」、「新港」の6地区に分かれている。 このうち、中心的な役割を担うポートエリアが本港地区となる。戦前に整備された第1突堤に加え、戦後に第2突堤と細江ふ頭が建設された。現在13の岸壁(−4.5m〜−13.0m)が供用されている。関釜フェリー航路や日中フェリー航路の発着施設となる国際ターミナルや税関をはじめとする海事官公庁、多様な貨物に対応できる倉庫、冷凍冷蔵庫などの施設もある。国際ターミナルはJR下関駅とペデストリアンデッキで結ばれており、駅から徒歩5分で行ける。高速自動車道の下関インターチェンジ(IC)にも15分と近く、JR貨物下関駅も隣接している。 ![]() 本港地区から関門橋側に隣接しているのが岬之町地区。コンテナターミナル地区で、4つの岸壁(−5.5m〜−10.0m)とガントリークレーン1基、ストラドルキャリア1台、CFS(荷さばき場)2棟、上屋・くん蒸庫などがある。 現在、韓国の釜山港・馬山港に週4便の定期コンテナ航路が就航中。輸出では産業機械や工学・医療用器械、電気機械など、輸入では衣服・履き物などの生活用品、水産品、野菜・果物などが取り扱われている。 |
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提供:下関港湾事務所 本港地区細江ふ頭 |
下関港の各地区の機能 |
東港地区で進むウォーターフロント |
彦島の先端にある西山・福浦地区は両地区でそれぞれ機能が異なる。西山ふ頭は主に木材の輸入基地で、−12m岸壁1バース、−5.5m・−4.5m岸壁各1バース、木材用野積場(5万3,000m2)がある。福浦地区はプレジャーボートの海上係留施設や陸上保管施設などがある。 周防灘に面した長府地区は、港湾背後地に下関市東部の臨海工業地帯が位置し、多くの企業が立地している。北米や豪州との定期貨物航路が運航し、輸移出では大型タイヤ、輸入では製材や非鉄金属などの貨物を主に取り扱っている。 門司港の対岸となる東港地区は、下関港の発祥の地で、現在関門海峡の景観を生かしたウォーターフロント開発エリアとなっている。市立水族館となる「海響館」や5万トンクラスの外航旅客船が接岸できる岸壁などがある。また、隣接する唐戸地区には明治・大正時代のレトロな建物がそのまま残されているほか、下関の食文化を担う新唐戸市場、フィッシャーマンズワーフである「カモンワーフ」、門司港や巌流島への周遊船が発着する唐戸桟橋などもあり、休日には多くの人でにぎわっている。 |
国際コンテナを中心とした新物流拠点 |
北浦海域・垢田沖合に位置する新港地区は、新たに下関沖合人工島「長州出島」を整備し、港湾を核とした運輸・物流ゾーンとなる地区だ。長州出島は陸地から約1km離れた海域に約61.4haの広さの人工島を造成する計画。大型コンテナ船を中心とする多様な船舶を着岸させ、荷役作業を行うための大規模なふ頭用地をはじめ、貨物をストックする保管施設用地、業務施設用地、下水処理場用地、緑地、道路・橋梁用地などを整備する。 1995(平成7)年に工事着手し、2008(平成20)年度には−12m岸壁1バースと関連施設が供用を開始している。 下関市港湾局の阪田参事は「長州出島の多目的国際ターミナルは、東アジアの新たな物流拠点を担う施設として期待しています。将来的には岬之町地区のコンテナターミナル機能や本港地区の一般貨物の取扱機能をこちらに移し、アジア航路の拠点港を目指す」という。 現在、長州出島と下関市内を結ぶ国道191号下関北バイパスを含めた関連道路の整備も進められており、背後圏のアクセスの強化とともに、下関港の新たな国際ゲート・ポートとして長州出島がその役割を果たしていくだろう。 |
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提供:下関市 東港地区。右側の白い施設が水族館「海響館」 |
風力発電のハネ部となる大型ブレードも取り扱っている。 提供:下関港湾事務所 |
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下関港の取扱貨物量(2011年速報値) 出典:『下関港統計年報』 |
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提供:下関市 下関港沖合人工島「長州出島」。 |
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